
第1回兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)専門家会合の開催
(概要と評価)
平成23年2月17日
2月14日から16日まで,ジュネーブの国連欧州本部において,日豪両政府共催による兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関する専門家会合が開催された。今回は「定義」問題をテーマとし,議長はウールコット豪軍代大使,副議長はペロー元IAEA保障措置担当事務次長が務めた。
1 概要
- (1) 日豪両政府は,2月14日から16日まで,FMCTに関する専門家会合を開催した。これは,ジュネーブの軍縮会議(CD)においてFMCT交渉を開始できない状況の中で,専門家によるFMCTに関する実質的な議論の進展を目指すために,CDのサイドイベントとして実施したもの。
- (2) 本件会合は,CD加盟国及びオブザーバー国を対象に開催され,約45か国が出席。このうち,我が国のほか,豪州,米国,英国,ドイツ,カナダ,オーストリア,韓国,スウェーデン等は本国から専門家が出席。
- (3) 本件会合では,FMCTが対象とする「核分裂性物質」や「生産」の定義を中心に,あり得べき定義のオプションについて,活発な議論が行われた。
- (4) 共催国である我が国は,須田軍縮代表部大使ほか専門家が出席し,同大使がオープニング・ステートメントを行って我が国の考え方を提示するなど積極的に発言し,活発な議論に大きく貢献した。また,須田大使は参加者を対象にしたレセプションを主催した。
- (5) 今次会合の結果は,日豪両政府からCD公式本会議に報告される予定。第2回目の専門家会合はFMCTに関する他の論点をテーマに今後数か月内に開催される予定。
2 評価
- (1) 本件会合では,FMCTの主要論点の一つである「定義」に焦点を当て,技術的かつ専門的に突っ込んだ議論が行われ,我が国も積極的に貢献した。会合の結果がCD公式本会議に報告されることにより,将来のCDにおける交渉の議論に資することが期待される。
- (2) CD加盟国及びオブザーバー国中,約45か国が出席し,また一部主要国からは本国の専門家を派遣することで,FMCT交渉開始に向けた各国の熱意がうかがわれた。他方,中国や,唯一交渉に反対しているパキスタンが欠席するなど,交渉開始に向けた見通しは予断できない。
- (3) 我が国は,FMCTの他の論点についても専門家会合での準備を継続することが必要と考えており,共催国の豪州とともに,FMCTの議論が継続されているとのメッセージを発信し,交渉開始に向けた気運を高めるべく引き続き努力していく考え。