平成19年5月30日
5月30日、ポツダムにおいてG8外相会合が開催されたところ、概要以下のとおり(議長:シュタインマイヤー独外相。我が国より麻生外務大臣が参加。議長国の招待により参加したアフガニスタン、パキスタンを含め、すべての国から外相が参加。)。今次外相会合の議論は、議長声明(英文(PDF)・和文概要)として発出された。
中東情勢、コソボ、ナゴルノ・カラバフ、法の支配が取り上げられた。
ガザの最近の状況を憂慮、すべての当事者が暴力を停止すべき、パレスチナ自治政府とイスラエルの双方が対話を継続し、和平プロセスのため前向きな行動をとるべき、アッバース大統領を支援していくべき、関係者の相互信頼や人と物の流れの自由化が必要、との意見が多く出された。麻生大臣からは、最近の情勢の悪化を懸念している、当事者に自制を求め、和平プロセスを前進させることが必要との観点からも、イスラエルとの和平努力を継続するアッバース・パレスチナ自治政府大統領を目に見える形で支援することが重要である旨発言した。また、麻生大臣より、貧困と絶望を根絶することが和平の基礎であると述べつつ、我が国が推進している「平和と繁栄の回廊」構想について説明し、3月、東京で4者の閣僚会合を主催し、この構想は具体的に動き出した、今後とも日本だからできるこの取り組みを進めていく旨述べた。
本件を引き続き推進していく必要性について議論があった。
最近の状況を憂慮しつつ、国内各派の対話促進の必要性、レバノン支援の実施の必要性、ハリーリ事件裁判問題の解決の必要性について議論が行われた。
アハティサーリ国連特使による解決案や安保理における協議状況を踏まえた議論が行われ、異なる意見も出されたが、引き続き、関係国間で問題の解決に向け協議を行っていくこととなった。
本件に関するG8外相宣言(英文(PDF)・和文骨子)が承認された。
スーダン/ダルフール、イラン、北朝鮮について議論が行われた。
人道状況につき懸念が共有され、政治対話の増進、国連とAUの共同展開部隊の展開の進展、今後の人道分野での更なる対応の必要性等について議論が行われた。
安保理決議1747の履行期限である5月23日を過ぎても、イランが濃縮活動を継続・拡大してきている点を踏まえ、議論が行われた。イランが濃縮関連活動の停止に応じていないことは遺憾であり、この状況が続けば、更なる措置をとる必要がある点について見解の一致があった。また、同時に、対話の継続については認識の一致があり、ソラナ上級代表の努力への支持が表明された。麻生大臣からは、イランが国際社会の要求を受け入れるように圧力をかけていく上では、全会一致による安保理決議での対応が最も効果的である、自分(麻生大臣)は、モッタキ外相に何度も働きかけてきたが、その際にもそう感じた、今後とも、対話の窓口は開けつつ、圧力をかける際には、可能な限り国際社会が一致した形でかけていく必要がある旨発言した。
麻生大臣が議論をリードし、北朝鮮は、すでに核実験を行ったという意味で、イランより深刻である、国際社会が強い意思を示し、安保理決議を着実に実施することが重要、北朝鮮が六者会合において合意済みの「初期段階の措置」をまだ実施していないことは極めて遺憾。我々の忍耐は無限ではなく、必要があれば北朝鮮に対する圧力を強化すべきであろう。我が国は、拉致問題を含む日朝関係で進展が得られれば、経済・エネルギー支援の分野でもより大きな役割を果たすことができる。したがって、拉致問題の解決は核問題の進展にも大きく関係する。この問題の解決のためにはG8をはじめ、国際社会の連携を強化していくことが必要である旨発言した。これに対し、拉致問題を含め、麻生大臣の発言を支持する旨の発言があった。
これを受けて、議長声明において、(1)核及びミサイルの廃棄、(2)初期段階の措置の速やかな実施、(3)拉致問題の早期解決を含む力強いメッセージを発出できた。
G8外相会合の最終セッションにアフガニスタン・パキスタン両国の外相が参加。治安、復興の両面において、G8諸国が支援を継続すること、及びアフガニスタンとパキスタンが様々な分野で協力することについて、今後G8が具体的に協力していくことで一致。麻生大臣より、アフガニスタンの復興の過程を逆戻りさせてはならない、我が国も、PRT(地方復興チーム)と連携して無償資金協力を進める仕組みを創設し、第一弾として、リトアニアが主導する地域における職業訓練の案件について実施を検討している旨発言。また、麻生大臣より、テロとの闘いの最前線たるパキスタンについてはFATA(連邦直轄部族地域)での小学校建設などを行っているとしつつ、支援の大幅増加を検討している旨発言。このセッションでの議論を踏まえ、G8、アフガンニスタン、パキスタン合同の外相宣言(英文(PDF)・和文骨子)が発出された。
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。