国連外交
第68回国連総会の際のG4(ブラジル,ドイツ,インド,日本)閣僚級会合共同プレス・ステートメント
平成25年9月26日
1. 2013年9月26日,第68回国連総会開会の際に,ブラジル外務大臣,ドイツ連邦外務大臣,インド外務大臣及び日本国外務大臣は,安全保障理事会の改革に関する意見交換を行うため,ニューヨークで会合を開催した。
2. 各国大臣は,国連が創設されてから70年近くが経過しており,安全保障理事会はとっくに改革されていなければならないことを強調。各国大臣は,安全保障理事会が現在の課題を含む国際社会の課題に対応できていないことが,21世紀の国際社会の地政学的現実をよりよく反映させ,安全保障理事会の代表性,効率性及び透明性をより向上させ,またその実効性,正当性及び安全保障理事会の決定の実行を強化させるため,安全保障理事会の改革の必要性をさらに明確にしたことで一致した。各国大臣は,10年近く前の2005年国連首脳会合の成果文書において国際社会の指導者が安保理改革の早期実現にコミットしたことを想起した。各国大臣は,遅くても2015年までに既存の合意を具体的な成果につなげるための取組を強化する必要性を強調した。
3. 各国大臣は,過去のG4共同ステートメントを想起し,今日の地政学的現実をよりよく反映するため,国際の平和及び安全の維持並びに国連の他の目的のために各国が行っている貢献,並びに,常任・非常任双方のカテゴリーにおける途上国の代表性の向上の必要性を考慮に入れ,改革された安全保障理事会に関する共通のビジョンを改めて強調した。G4各国は,安全保障理事会の新たな常任理事国を目指すとのコミットメント,及び各国が新常任理事国候補国として互いに支持し合うことを改めて表明した。また,G4各国は,拡大された理事会において途上国,特にアフリカが常任及び非常任の双方のカテゴリーにおいて代表されることが重要であるとの考えを再確認した。この文脈で,各国大臣は安保理改革についてアフリカ諸国との対話及び働きかけを強化する重要性を強調し,日本が本年6月に初めて開催した安保理改革に関する日・アフリカ首脳会合の取組を評価した。さらに,各国大臣は,2013年2月の「永続する安保理改革を実現するため一層の緊急性を持って取り組むこと」を求めるカリコム諸国首脳の決定及び政府間交渉プロセスを再活性化させるカリコム諸国のイニシアティブに謝意をもって留意した。
4. 各国大臣は,市民社会,メディア及びアカデミアが安保理改革に関する議論に一層参加する必要性を確認し,この文脈で,各国大臣は,本年4月に安保理改革の緊急性及び必然性に関する議論を拡大するためのセミナーを主催したブラジルのイニシアティブを歓迎した。
5. 各国大臣は,安保理改革に関する政府間交渉第9ラウンドの結果について議論を行った。各国大臣は,政府間交渉議長であるザヒール・タニン大使(注:アフガニスタン常駐代表)が交渉において果たしている重要な役割を強調した。タニン大使の役割の重要性は,特に2012年7月25日付の同大使による国連総会議長宛の書簡に表れており,各国大臣は,改めてその中の勧告を歓迎した。この文脈において,各国大臣は,圧倒的多数の加盟国が安全保障理事会の常任・非常任双方のカテゴリーの拡大について支持を表明していることを踏まえ,それが加盟国間の交渉過程において重要なパラメーターとなるべきとの考えを再度表明した。各国大臣は,政府間交渉議長の勧告に沿って,さらなる交渉の基礎となる簡潔な作業文書の作成を求めていくことで一致した。
6. 各国大臣は,達成された成果及び議長の勧告を基礎とし,第68回総会の非公式全体会合において政府間交渉のプロセスを直ちに継続するとの総会決定を歓迎した。各国大臣は,第68回国連総会会期において具体的な進展を達成する必要性を強調し,この文脈で,引き続き,真のテキストに基づく交渉の中で,他の加盟国,特にアフリカ諸国と柔軟性の精神をもって緊密に協力するコミットメントを表明した。
7. 各国大臣は,ブーク・イェレミッチ第67回国連総会議長及びザヒール・タニン大使(政府間交渉議長)の取組に謝意を表明した。各国大臣は,ジョン・アッシュ第68回国連総会議長及び政府間交渉議長と喫緊に必要とされている改革を実現するため,緊密に協力することにつき期待を表明した。
ルイス・フィゲイレド
ブラジル外務大臣
ギド・ヴェスターヴェレ
ドイツ連邦外務大臣
サルマン・クルシード
インド外務大臣
岸田文雄
日本国外務大臣