外交政策

平成25年9月6日
1 冒頭
  • 成長の強化と雇用創出が最優先課題である。
  • 世界経済の目下の課題は,(1)強い回復と財政の持続可能性の確保の両立,(2)失業及び不完全雇用,(3)長期投資ファイナンス,(4)自由でルールに基づく貿易,(5)税源浸食・利益移転への対処,(6)金融改革,(7)開発,(8)腐敗対策,(9)エネルギー政策及び気候変動への対処・環境保護,(10)包括的な成長戦略の策定。
2 世界経済と強固で,持続可能かつ均衡ある成長のためのG20フレームワーク
  • 多くの重要な政策を実施し,テールリスクを抑え,金融市場の状況を改善し,回復を持続させることに貢献した。
  • 米国では民需が強まり,日本,英国では,成長が強まっている。ユーロ圏では回復の兆候が見られ,新興市場国では成長が続いているものの,その一部では,減速している。
  • 世界経済をより強固で,持続可能かつ均衡ある成長の道筋に乗せるため,従来の取組に加え,サンクトペテルブルク行動計画に記載された新たな措置を策定した。
  • 先進国において財政の持続可能性を確保しつつ,より強固で持続可能な回復を実現することは,引き続き重要である。全ての先進国は,信頼に足る意欲的な各国個別の中期的な財政戦略を策定した
  • 金融政策の在り方の将来的な変更については引き続き慎重に調整され,明確な説明がなされる。
  • 通貨の競争的な切り下げを回避し,競争力のために為替レートを目標とはしない。
  • 長期にわたる強固で,持続可能かつ均衡ある成長の基礎を強化するために,種々の構造改革にコミットした。
3 質の高い雇用を通じた成長
  • 失業及び不完全雇用(特に若年層)は最優先事項。
  • より多くの,質の高い雇用を促進するための広範囲にわたる行動をとること(成長重視の構造改革,技能への投資,雇用条件の改善等)にコミットした。
  • 本年初めて開催された雇用労働大臣・財務大臣合同会合の提言を承認する。
  • 少数派や,脆弱層に対し,生産的で働きがいのある仕事を見つけるための動機づけ及び支援の両方が与えられていることを確保する重要性を認識した。
4 投資のためのファイナンス
  • 長期投資が持続可能な成長,雇用創出に果たす重要な役割を認識した。
  • 長期投資ファイナンスにとってより好ましく,特にインフラや中小企業向けプロジェクト実施の効果的な増加につながるような国内投資環境を確実に改善するための措置を特定し,実施することにコミットした。
5 多国間貿易の強化
  • 全WTO加盟国に対し,第9回WTO閣僚会議(MC9)で前向きかつ均衡のとれた成果を出すために,必要な柔軟性を示すよう求める。
  • 世界貿易及び投資に対する障壁や障害の排除について更なる進展を得ることに完全にコミットし,スタンド・スティルのコミットメント(注:新たな保護主義的措置を設けないとの約束)を2016年末まで延長し,新たな保護主義的措置を是正するとのコミットメントを再確認した。 
  • WTOにおける地域貿易協定に関する作業を継続することにコミットし,「地域貿易協定の透明性向上」を共有する。
6 税源浸食・利益移転 (BEPS)への対処,自動的情報交換の促進
  • 税源浸食・利益移転(BEPS)に対処することを目的とした野心的で包括的なOECDの行動計画を全面的に支持する。OECD/G20 BEPSプロジェクトの設立を歓迎し,全ての関心のある国が参加することを奨励する。
  • 新しい国際基準としての,自動的情報交換にコミットし,OECDの作業を完全に支持する。
7 国際金融制度改革,金融規制改革等
  • 2014年1月までにIMFのクォータ(注:加盟国の出資割当額)計算式に合意し,第15次クォータ見直しを完了することに引き続きコミットした。
  • 国際的に合意された期限にスケジュールに沿ったバーゼルIIIの実施,「大きすぎて潰せない」金融機関の問題に係る法制度改革,店頭デリバティブに関するクロスボーダーの問題の解決の加速化にコミットした。
  • シャドーバンキング・システムの監督,規制のための勧告に関する作業の進展を歓迎し,勧告の時宜を得た実施を求める。
  • マネー・ロンダリング,テロ資金供与対策に関する金融活動作業部会(FATF)の取組へのコミットメントを再確認した。
8 万人のための開発の促進
  • 食料安全保障,インフラ,金融包摂,人材開発,包摂的なグリーン成長,国内資金の動員に関し,本年達成された進捗を歓迎する。
  • 食料安全保障と栄養は,引き続き最優先事項である。
  • 2010年複数年ソウル行動計画の採択以降に達成した進捗を示す「サンクトペテルブルク説明責任報告書」を歓迎する。主要な優先事項,新たなイニシアティブ及び継続中のコミットメントに言及した「サンクトペテルブルク開発アウトルック」を承認する。
  • ミレニアム開発目標(MDGs)実現に向けた実質的な進捗を歓迎する。MDGs実現に向けた進捗の加速化に引き続きコミットする。
  • 国連で継続中のポスト2015年開発目標策定の取組を支持する。このプロセスに積極的に参加し,主要原則や方向性について議論を行っていくとともに,時宜を得た妥結に向けて効果的に貢献する。簡潔で実施可能かつ測定可能な目標が設定された統合されたポスト2015年開発アジェンダの合意を求める。
9 持続可能なエネルギー政策と世界の一次産品市場の強靱性等
  • 市場の透明性・効率性を高めるために,「石油に関する共同機関データイニシアティブ(JODI-Oil)」強化にコミットする。ガスに関するJODIが可能な限り早急に立ち上がることを期待する。
  • 非効率的な化石燃料補助金の合理化及び段階的廃止へのコミットメントを再確認する。
  • 強固な原子力安全及び核セキュリティの文化を醸成するために,最大限高い水準の原子力安全の達成に向け努力すべき。原子力損害賠償責任に関する国際的な制度の達成に向けて多国間協力を進めるよう奨励する。
  • 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下での合意結果の完全な実施と現在継続中の交渉の支持にコミットする。
10 腐敗との闘いの強化
  • 腐敗対策の分野で金融活動作業部会(FATF)が進めている取組への支持を表明する。
  • 採取産業透明性イニシアティブ(EITI)への自発的参加を含む,採取産業の透明性向上を目指したイニシアティブを歓迎する。
  • 「サンクトペテルブルク戦略枠組」を,腐敗対策作業部会の取組を導き,行動計画の基礎を成すものとして承認する。

外交政策へ戻る