ODAとは? ODA予算・実績

平成11年度ODA予算の概要

平成11年3月

(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 予算額 増減額 伸率
一般会計予算 10,473 ▲10.4 10,489 16 0.2
事業予算(ネット) 13,891 ▲17.1 15,452 1,561 11.2
事業規模(グロス) 17,321 ▲14.0 18,864 1,543 8.9
(参考)円レート 118円 - 120円 - -
(参考)ODA予算について

1.ODA予算(いわゆる事業予算(年度ベース))は、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が毎年公表するODA実績(暦年)と同様ネットベースとなっている。
 また、その年度の事業規模を表すものとしてグロスベースを用いている。

2.事業予算の財源は、国の一般会計予算と円借款の原資となる財政投融資資金、国際開発金融機関に対する出資国債による払い込み、各省の特別会計予算等を加えたものである。

1.一般会計ODA予算

(1)11年度予算は、アジア支援に関する我が国への期待の増大、国際機関分担率の上昇等に対応しつつ、引き続き重点的・効率的な配分を実施し、政府全体の一般会計ODA予算(17省庁に計上)は、対前年度比0.2%(16億円)増の1兆489億円となった。

(参考)11年度一般会計予算
(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 予算額 増減額 伸率
一般歳出 445,362 ▲1.3 468,878 23,516 5.3
 うちODA 10,473 ▲10.4 10,489 16 0.2
   公共事業
   防衛
   社会保障
   文教・科学
その他
合計
89,853
49,397
148,431
63,457
331,330
776,692
▲7.8
▲0.2
2.0
0.0
2.6
0.4
94,307
49,322
160,950
64,731
333,549
818,601
4,454
▲75
12,519
1,274
2,220
41,909
5.0
▲0.2
8.4
2.0
0.7
5.4
(2)一般会計ODA予算1兆489億円のうち、贈与が対前年度比1.8%(129億円)増の7,363億円、借款が同3.5%(▲113億円)減の3,126億円となっている。

贈与の主な内訳は、
(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 予算額 増減額 伸率
二国間贈与 6,043 ▲5.8 6,041 ▲3 ▲0.0
 経済開発等援助
 食糧援助等
    計
1,995
541
2,536
▲9.4
▲11.6
▲9.9
1,998
497
2,495
3
▲45
▲42
0.1
▲8.3
▲1.6
  無償資金協力
  貿易保険特別会計への繰り入れ
2,403
134
▲8.8
▲25.5
2,379
116
▲24
▲18
▲1.0
▲13.1
 技術協力
 うちJICA
3,507
1,762
▲2.7
▲1.8
3,546
1,770
39
8
1.1
0.5
国際機関出資・拠出 1,190 ▲8.3 1,322 132 11.1
 国連等諸機関
 国際開発金融機関
755
435
▲0.6
▲19.2
802
519
48
84
6.4
19.3
合計 7,233 ▲6.2 7,363 129 1.8
(注)11年度国際開発金融機関には「アジア通貨危機支援資金(仮称)」200億円が含まれる。
借款の主な内訳は、
(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 予算額 増減額 伸率
借款 3,239 ▲18.4 3,126 ▲113 ▲3.5
 うちOECF 3,239 ▲18.0 1,277 ▲1,962 ▲60.6
 うち国際協力銀行(仮称) - - 1,849 1,849 皆増
(注)10月1日にOECFと日本輸出入銀行を統合し、新たに設立する国際協力銀行(仮称)にその業務を引き継ぐ予定である。
となっている。

2.ODA事業予算

(1)政府全体のODA事業予算(事業規模から円借款等の回収金を差し引いたネットベース)は、対前年度比11.2%(1,561億円)増の1兆5,452億円となっている。一方、事業規模(グロスベース)では、対前年度比8.9%(1,543億円)増の1兆8,864億円となった。

(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 構成比 予算額 増減額 伸率 構成比
贈与
借款
事業規模計
8,863
8,458
17,321
▲14.6
▲13.4
▲14.0
51.2
48.8
100.0
9,284
9,581
18,864
420
1,123
1,543
4.7
13.3
8.9
49.2
50.8
100.0
回収金
合計
▲3,431
13,891
 - 
17.1
 - 
 - 
▲3,413
15,452
 - 
1,561
 - 
11.2
 
(2)「贈与」全体では、対前年度比4.7%(420億円)増の9,284億円であり、その概要は、次の通りとなっている。
(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 予算額 増減額 伸率
二国間贈与 6,296 ▲6.0 6,288 ▲398 ▲0.1
 経済開発等援助
 食糧援助等
   計
1,995
541
2,536
▲9.4
▲11.6
▲9.9
1,998
497
2,495
3
▲45
▲42
0.1
▲8.3
▲1.6
  無償資金協力
  貿易保険特別会計への繰り入れ
2,403
134
▲8.8
▲25.5
2,379
116
▲24
▲18
▲1.0
▲13.1.
 技術協力
 うちJICA
3,760
1,762
▲3.1
▲1.8
3,794
1,770
34
8
0.9
0.5
国際機関出資・拠出 2,567 ▲30.3 2,995 428 16.7
 国連等諸機関
 国際開発金融機関
757
1,810
▲0.6
▲38.1
806
2,189
49
379
6.5
20.9
合計 8,863 ▲14.6 9,284 420 4.7
(A)開発途上国の民生の安定と住民の福祉の向上を目的とし、その経済・社会開発を支援するための「経済開発等援助」は対前年度比0.1%(3億円)増の1,998億円を計上した。
 国際社会の期待に応えるため、アジア支援として経済構造改善努力支援無償15億円及び社会・経済インフラ整備26億円を別枠として計上し、債務問題が深刻化しているアフリカ諸国に対する債務救済措置を拡充すべく、債務救済無償の対象債務・対象国を拡大することとし、予算を充実した(324億円→330億円、6億円増)。また、地球規模問題へ積極的に取り組むため地雷犠牲者支援及び地雷除去活動への支援のための対人地雷対策無償(22億円)を新設し、将来の世界を担う子供達の健康を守るための子供の健康無償(26億円→52億円、26億円増)、植林・森林保全協力を積極的に行うための植林無償(10億円→20億円、10億円増)の拡充を図った。
 この他、人造り協力の強化のため、我が国への留学生派遣を支援する留学生支援無償(3億円)、人造り支援の拠点の設立等のための人造り拠点支援無償(20億円)を新設し、さらに、NGO支援を拡充し、民間との連携の強化を図るとの観点から草の根無償資金協力の拡充
 (57億円→70億円、13億円増)を行うなど、前年度に引き続き重点的・効率的な配分となっている。

(B)「食糧援助等」においては、国際的小麦価格の変動により食糧援助が同12.4%(▲18億円)減の127億円、食糧増産援助が同3.5%(▲9億円)減の254億円、また、サミットプロセスで合意されたサブサハラの最貧国に対する債務削減等への対応に伴う貿易保険特別会計への繰り入れ(通産省所管)が同13.1%(▲18億円)減の116億円を計上したことにより、全体で対前年度比8.3%(▲45億円)減の497億円となっている。

(C)「技術協力」については、3,794億円を計上し、対前年度比0.9%(34億円)増となっている。平成10年7月の総理よりの指示を踏まえ、ODAの透明性・効率性の向上を図るためインターネットを通じた情報公開(1億円)、一般市民によるODA事業のモニタリング(1億円)を盛り込んだ他、国費留学生の新規受入数の増(250人増)、学習奨励費の拡充等(1,250人増)による留学生受入施策の充実(494億円→509億円、15億円増)を図った。また、アジア支援として国際協力事業団(JICA)による研修員受入(100人増)、専門家派遣(50人増)の別枠を設けた。
 また、JICAへの交付金・出資金等を計上する外務省が7割弱(67%)にあたる2,537億円を計上している。
 技術協力の中心的実施機関であるJICAの予算(対前年度比0.5%(8億円)増の1,770億円)においては、上記アジア支援の他、外部機関による評価を新設し、無償資金協力の実施・監理体制の抜本的強化等を図るとともに、本部事業部門を中心に大幅な機構改革を行うこととしている。

(D)「国連等諸機関への出資・拠出」は、対前年度比6.5%(49億円)増の806億円を計上している。これは、分担率の上昇に伴い、分担金が増加したことが主な要因である。

(E)「国際開発金融機関への出資・拠出」は、対前年度比20.9%(379億円)増の2,189億円となっている。その主な要因は、一般会計においてアジア諸国の資金調達のためのアジア通貨危機支援資金(仮称)200億円の新設等により対前年度比19.3%(84億円)増となっていること等による。
 また、出資国債において国際開発協会(IDA)への第12次増資のための出資金が対前年度比36.1%(261億円)増の984億円、同じくアフリカ開発基金(AfDF)への第8次増資のための出資金が対前年度比36.1%(39億円)増の146億円となったこと等による。

(3)「借款」の事業予算(事業規模から円借款等の回収金を差し引いたネットベース)は、対前年度比22.7%(1,141億円)増の6,168億円となっている。一方、事業規模 (グロスベース)で見ると、海外経済協力基金(OECF)が対前年度比55.6% (▲4,504億円)減の3,596億円となっているが、これは、10月1日にOECFと日本輸出入銀行を統合し、新たに設立する国際協力銀行(仮称)に業務を引き継ぐ予定となっているためであり、このため国際協力銀行(仮称)として5,600億円を計上している。
 この結果、OECFに国際協力銀行(仮称)を加えた事業規模は9,196億円となり、そのほか、JICAなどの機関を加えると借款全体で対前年度比13.3%(1,123億円)増の9,581億円となる。

(単位:億円、%)
  平成10年度 平成11年度
予算額 伸率 予算額 増減額 伸率
借款 8,458 ▲13.4 9,581 1,123 13.3
 うちOECF 8,100 ▲13.8 3,596 ▲4,504 ▲55.6
 うち国際協力銀行(仮称)  -   -  5,600 5,600 皆増
回収金
▲3,431
5,027
 - 
▲21.3
▲3,413
6,168
 - 
1,141
 - 
22.7

(参考)

<経済協力費と一般会計ODA予算>

 一般会計における主要経費である経済協力費の一部、例えば国際連合分担金は、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の規定により、分担額の一定割合部分のみがODAと定義 されているため、経済協力費の全額がODA予算となるわけではない。
 一方、経済協力費以外の主要経費のうち、上記の規定によりODAと規定される部分があり、一般 会計ODA予算は、これを加えたものとなっている。

 平成11年度予算における主要経費別内訳は、次の通りとなっている。

(単位:億円)
  平成11年度
政府案 うちODA分
社会保障関係費 160,950 0
(1,900万円)
文教及び科学振興費 64,731 89
経済協力費 9,877 9,392
エネルギー対策費 6,531 18
その他の事項経費 53,671 990
  10,489
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