ODAとは? 実施体制・援助形態

1.この報告書について

 グローバリゼーションの進展に伴い、国際社会は貧困、紛争、テロ、難民、感染症など、一国では対処することのできない様々な課題に次々に直面している。そうした状況の中で国際社会は、一日1ドル未満で生活する貧困人口を、2015年までに半減するなどの達成目標を掲げるミレニアム開発目標(MDGs)の実現のため一致した取り組みを進めており、我が国もこれにコミットしている。また我が国としては、その外交理念の一つとして「人間の安全保障」、すなわち、人間の生存、生活、尊厳に対する脅威から個々人を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、人間一人ひとりの視点を重視した取り組みを進めている。国際社会の諸問題に取り組む上で役割を高めつつある国際機関の活動に対し支援を行うことは、二国間援助の活用と相互に補うものとして、国際社会が共有する課題に対処するための有効な国際協力の一手段となっている。

 国際機関を通じて行う日本の貢献は、財政面にとどまらず、人的貢献によっても積極的に取り組まれるべきである。国際機関における邦人職員数を拡大し、特に、幹部ポストへ邦人職員を送り込むことは、国際機関のマネジメントにおける日本の視点を強化するものである。以上の観点に基づき、政府全体としては引き続き、邦人職員の増強に努めている。
 この報告書は、以上のような考え方をもとに政府全体として実施している国際機関等に対する拠出金・出資金等の活用の実態を、国民に対して明らかにすることを目的とするものである。平成14年12月、自由民主党により作成された『ODA改革の具体策 ―― 国民に理解されるODAを目指して ――』において、自由民主党作成の『国際機関への拠出金に関する報告書』(平成12年度版)と同様の内容の報告書を、外務省を中心に政府全体として取りまとめ発表するとの提言がなされた。これを受け、平成15年度より『国際機関等への拠出金・出資金に関する報告書』として政府全体の取り組みを取りまとめた報告書を当省より作成している。今回(平成16年度版)は、各拠出金・出資金のあり方について、平成13年度から15年度の拠出実績を中心に、それが目的に沿うよう効果的・効率的に活用されているか、当該機関の財政・事業運営が適切になされているか等の観点から、府省庁横断的にモニターした。また平成15年度実績については、新たに、年度途中に発生した緊急のニーズに対処する等の観点から国際機関を通じて行われた無償資金協力実績についても反映することとした。このほか邦人職員数については、2004年初の時点のデータに改訂している。

 国際機関を通じた日本の国際貢献のあり方については、昨今の厳しい財政・経済情勢の下で、国民各層よりご意見やご指摘もあると思われる。当省としては、かかる声を受け、我が国の国際貢献が一層効果的になるよう改善に努めるとともに、その有効性についてご理解を得、一層のご支援・ご助力を頂ければ幸いである。

平成17年3月
外務省



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