ODAとは? 実施体制・援助形態

1.この報告書について

 平成14年12月、自由民主党より提出された報告『ODA改革の具体策-国民に理解されるODAを目指して-』において、自由民主党作成の『国際機関への拠出金に関する報告書』(平成12年度版)と同様の内容の報告書を、外務省を中心に政府全体として取りまとめ発表するとの提言がなされたことを踏まえ、ここに、『国際機関等への拠出金・出資金に関する報告書』(平成15年度版)を取りまとめ、発表する運びとなった。
 グローバル化が急速に進展する中、国際社会は貧困、紛争、難民、感染症、地球環境問題等、様々な脅威に直面している。このような問題を一国のみで解決することは困難であり、国際社会の一致団結した取組が求められている。こうした中、国際連合をはじめとする国際機関等の果たす役割は益々重要となっており、日本は各種機関への協力を通じ、広範な問題の解決に向け、知的、人的、財政的貢献を積極的に行ってきている。このような日本の貢献は、国際社会の平和と安定に寄与するとともに、我が国自身の平和と安定にもつながっている。
 その一方で、昨今の厳しい経済・財政状況の下、国内世論において日本の国際貢献のあり方について厳しい意見・批判が出されていることも事実である。特に、国際機関等への財政的貢献については、日本の拠出金・出資金がその目的に沿うよう真に効果的・効率的に活用されているのか、当該機関の財政・事業運営が適正かどうか、財政的貢献に見合った邦人職員数・ポストが確保されているかが問われている。このような要請に対し、政府として従前以上に十分な説明責任を果たすとともに、関係府省庁が互いに連絡を密にしつつ、各機関の実態を正確に把握し、一層整合性の取れた政策を行う必要がある。
 このような問題意識も踏まえ、本報告書では、政府全体の国際機関等への拠出金・出資金の全体像が把握できるように努めるとともに、個別の拠出金・出資金に関する資料を掲載している。本書に掲載されている拠出金は、日本が当該機関の活動や事業を有益と認め、日本の知恵を生かす場として相応しいと判断する場合に、相応と考えられる金額を拠出するもの(任意拠出金)である。また、出資金は、世界銀行やアジア開発銀行など、我が国が加盟国となっている国際開発金融機関に払い込まれているもので、出資額は、各機関の事業活動規模の予測に基づき、負担割合を加盟国間で調整した上で決定されている。これらの拠出金・出資金について、過去3年間(平成12年度~14年度)の支払額及び可能な限り拠出率(日本の拠出が全体に占める割合)を掲載するとともに、当該機関(信託基金等に対する拠出の場合は、当該基金等)に対する日本としての評価、当該機関における合理化・機能強化のための改革の有無等を掲載している。特に、日本の評価については、当該機関の政策に対する日本の意見の反映度も含め、評価すべき点についてはきちんと評価し、見直すべき点についてはきちんと見直すとの姿勢を明確にするように努めた。実際、これらの評価は、平成15年度予算においては、支援委員会をはじめとして国際連合職員安全信託基金や国際下痢性疾病研究センター等、政府全体で計33の拠出金・出資金を皆減とするなど、メリハリある予算編成に反映されている。
 また、邦人職員については、邦人職員数、邦人職員が職員全体に占める割合、邦人職員が占めている幹部ポスト等の情報を掲載するとともに、可能な限り邦人職員の増強についての具体的な計画も記載している。国際機関における邦人職員数は、我が国の財政的貢献に比して著しく少ない状態にあることから、引き続き、政府全体として邦人職員の増強に努めていくこととしている。
 本報告書の内容については、今後、関係諸方面のご指導・ご批判を仰ぎたい。本報告書の発表が、我が国の国際機関等への財政的貢献を理解する一助となり、今後とも一層のご支援を賜れば幸いである。

平成15年8月
外務省


このページのトップへ戻る
目次へ戻る