ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[1]アルゼンティン


1.概 説

 (1)1989年に発足したメネム政権は、軍部を含む国内各勢力の融和を促進し、民主体制安定に成果を上げるとともに、経済面では、経済自由化、経済構造改革を進め、ハイパーインフレを収束させ経済安定化に成功した。95年には新憲法の下で大統領選挙が行われ、メネム大統領が再選された。
 外交面では、国連平和維持活動等への積極的協力として、旧ユーゴー、モザンビーク、湾岸地域等へPKO要員を派遣するほか、大量破壊兵器不拡散の分野では、93年にトラテロルコ条約(中南米地域における核不拡散条約)を批准し、95年2月NPTに参加している。また、95年に発足したメルコスール(南米南部共同市場)を中心に米州経済統合プロセスに積極的に取り組んでいる。
 (2)経済面では、アルゼンティンの伝統的産業は農牧業で、肥沃で広大な国土に恵まれ、現在も穀物類、皮革、冷凍肉、飼料等の農牧産品及び農牧加工品が総輸出額の約6割を占める。
 70年代には国民総生産に占める工業部門の割合は35%以上となり、いわゆるICS(新興工業諸国)と呼ばれるまでに工業化が進んだ。しかしながら、その後、長年の保護主義的工業育成政策が行き詰まりを見せたため、メネム政権は市場原理に基づく自由化・開放化政策を推進し、構造調整に努めている。
 94年末のメキシコ金融危機の影響により、95年は深刻な不況に陥ったが(95年経済成長率マイナス4.4%)、96年以降は順調に回復(96年4.4%、97年8.4%)し、貿易拡大が顕著となった。しかし、その後アジア、ロシア、ブラジルの金融危機、世界的低成長、一次産品をはじめとする商品価格の下落、高金利といった要因により、輸出は量的に増加しても収入は下落した。98年中頃から経済成長に陰りがみえ、99年もマイナス成長が

 (参考1) 主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 32,293 34,665 35,220 35,677

名目GNP

総額(百万ドル) 76,491 278,431 295,131 319,293
一人当たり(ドル) 2,370 8,030 8,380 8,950
経常収支(百万ドル) 4,552 -2,768 -3,787 -10,119
財政収支(百万ペソ) -226.1 -1,426.0 -5,233.6
消費者物価指数(90年=100) 100 302 309
DSR(%) 37.0 34.3 44.1 58.7
対外債務残高(百万ドル) 62,233 93,925 105,170 123,221
為替レート(年平均、164ドル=ペソ) 0.48759 0.99975 0.99966 0.99950
分類(DAC/国連) 高中所得国/-
面積(千㎞2 566.7

 (参考2) 主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命
(年)
71 73(97年) 乳児死亡率
(1000人当たり人数)
31 22(97年)
所得が1ドル/日以下の
人口割合(%)
  5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
35 24(97年)
下位20%の所得又は
消費割合(%)
妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
140(80-90年平均) 100(90-97年平均)
成人非識字率(%) 5 4(95年) 避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
74(80-90年平均)
初等教育純就学率
(%)
安全な水を享受しうる
人口割合(%)
65(88-90年平均) 65(96年)
女子生徒比率
(%)
初等教育 51 49(96年) 森林面積(1000km2 592 339(95年)
中等教育

予想されている。また、メネム政権下の経済改革の結果、経済安定と高度成長を達成した反面、構造改革の影響もあり失業率は高い水準(98年10月時点で失業率12.4%)で推移しているほか、ペソの過大評価が指摘される中で兌換法(カレンシー・ボード制、1ドル=1ペソの固定相場)をどこまで維持するか先行き不透明な状況となっている。
 (3) アルゼンティンは我が国と1898年に外交関係を開設し、伝統的に友好関係にあり、約3万人の日系人・在留邦人(ブラジル、ペルーに次ぐ規模)が在住している。要人往来も盛んで、93年にメネム大統領、96年にディ・テラ外相、97年5月にルカウフ副大統領が訪日し、94年には河野外務大臣、97年5月には天皇・皇后両陛下がアルゼンティンを御訪問された。特に、98年は日・アルゼンティン修好百周年にあたり、9月秋篠宮・同妃両殿下のアルゼンティン御訪問、12月メネム大統領の国賓訪日をはじめ、種々の交流行事が両国において成功裡に実施された。
 我が国からの投資は、アルゼンティンにおける経済の安定化もあり、94年にはトヨタ自動車の進出が発表され、97年3月に工場を開所しピックアップ・トラックを製造している。


2.我が国政府開発援助の実績とあり方

 (1) 我が国は、アルゼンティンが伝統的に我が国と友好関係にあること、89年以降の民主体制の定着及び経済の安定化に成功していることを踏まえ、アルゼンティンの所得水準が比較的高いことから技術協力を中心に協力を行っている。
 (2) 技術協力は、行政、農業、水産業、工業等の幅広い分野で主に研修員受入れ及び専門家派遣により協力を行い、また、第三国研修を実施している。プロジェクト方式技術協力としてこれまでに農林水産業分野等における協力を行っており、また、開発調査についても多くの協力実績があり、85~86年に開発調査として実施した「経済開発調査」(通称「大来レポート」)がアルゼンティンの経済社会開発に対し基本的な助言を与えるものとして高く評価され、94年度から96年度にかけてその第二弾としての調査を開始。96年6月に最終報告書をアルゼンティン政府に提出した。
 有償資金協力では、94年度にアルゼンティンに対する初めてのプロジェクト型の円借款として「レコンキスタ川流域衛生環境整備計画」の環境案件を実施した。
 無償資金協力は、水産無償を83、87、88、92年度に行ったほか、多くの文化無償を供与した実績がある。


3.政府開発援助実績

 

 (1)我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 贈与 政府貸付 合計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98
1.84(-)
0.53(1)
-(-)
-(-)
-(-)
23.21(-)
27.78(67)
22.13(-)
22.61(9)
19.11(-)
25.05(-)
28.31(68)
22.13(-)
22.61(99)
19.11(-)
3.63
20.91
2.66
6.01
4.50
-7.07(-)
13.40(32)
-3.11(-)
0.15(1)
-0.26(-)
17.98(100)
41.71(100)
19.03(100)
22.76(100)
18.85(100)
累計 40.93(11) 280.31(79) 321.24(90) 100.33 35.12(10) 356.35(100)

 (注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。

 (2)DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合計
95
96
97
日本 41.7
スペイン 34.1
日本 22.8
スペイン 38.0
日本 19.0
スペイン 16.8
ドイツ 20.5
ドイツ 10.3
ドイツ 10.8
フランス 9.1
フランス 7.8
フランス 6.6
スウェーデン 2.2
イタリア 7.0
カナダ 1.4
41.7
19.0
22.8
110.3
85.0
56.9
国際機関、ODA NET

(支出純額、単位:百万ドル)

暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合計
95
96
97
UNDP 82.2
UNDP 144.6
UNDP 124.8
CEC 26.8
CEC 18.5
CEC 13.9
UNTA 4.1
IDB 9.1
UNICEF 3.9
UNICEF 2.6
UNICEF 2.5
IDB 3.1
UNHCR 2.0
UNTA 2.1
UNTA 2.4
-3.1
5.9
4.3
114.5
182.7
152.3

(3)年度別・形態別実績

(単位:億円)
年度 有償資金協力 無償資金協力 技術協力
90年度
までの
累計

36.81億円

(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm))

40.52億円

(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm))

147.79億円

研修員受入 1,136人
専門家派遣 346人
調査団派遣 727人
機材供与 3,093百万円
プロジェクト技協 6件
開発調査 20件

91 なし

0.92億円

国立高等語学教育学院に対するLL・ビデオ作成機材 (0.44)
ブエノスアイレス市立プラネタリウムに対する視聴覚機材 (0.48)

18.51億円

研修員受入 133人
専門家派遣 42人
調査団派遣 89人
機材供与 204百万円
プロジェクト技協 3件
開発調査 3件

92 なし

14.75億円

国立水産研究所建設計画 (14.30)
国営ラジオ局に対する番組制作機材 (0.45)

20.43億円

研修員受入 122人
専門家派遣 45人
調査団派遣 97人
機材供与 488百万円
プロジェクト技協 3件
開発調査 6件

93 なし

0.45億円

国立サンファン大学に対する放送用機材 (0.45)

20.38億円

研修員受入 113人
専門家派遣 40人
調査団派遣 82人
機材供与 251百万円
プロジェクト技協 3件
開発調査 5件

94

81.50億円

レコンキスタ川流域衛生環境改善計画 (81.50)

0.50億円

国立高等音楽院に対する楽器 (0.50)

25.38億円

研修員受入 128人
専門家派遣 68人
調査団派遣 111人
機材供与 348百万円
プロジェクト技協 4件
開発調査 6件

95 なし なし

22.94億円

研修員受入 135人
専門家派遣 71人
調査団派遣 60人
機材供与 376百万円
プロジェクト技協 6件
開発調査 3件

96 なし なし

24.47億円

研修員受入 144人
専門家派遣 62人
調査団派遣 35人
協力隊派遣 13人
機材供与 603.4百万円
プロジェクト技協 5件
開発調査 1件

97 なし なし

20.99億円

研修員受入 136人
専門家派遣 60人
調査団派遣 58人
協力隊派遣 3人
機材供与 286.8百万円
プロジェクト技協 5件
開発調査 4件

98 なし なし

21.33億円

研修員受入 113人
専門家派遣 48人
調査団派遣 51人
協力隊派遣 3人
機材供与 405.3百万円
プロジェクト技協 5件
開発調査 1件

98年度
までの
累計
118.31億円 57.14億円

322.25億円

研修員受入 2,160人
専門家派遣 782人
調査団派遣 1,310人
協力隊派遣 19人
機材供与 6,056.8百万円
プロジェクト技協 12件
開発調査 27件

(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
   2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
   3.65年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ
     参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) 

 (参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件

案   件   名 協力期間
健康管理システム(91)
国立漁業学校(86)(87)(92)(93)
サンロケ病院消化器病診療研究センター(90)
国鉄中央研修センター(91)(93)
包装技術(91)
ラプラタ大学獣医学部(93)
情報処理研修センター(93)
水産資源評価管理計画
植物ウィルス研究計画
工業分野省エネルギー
人口統計
鉱山公害防止対策研究センター
77.4~82.3
84.4~89.3
85.4~91.3
85.11~90.11
89.3~93.3
89.3~96.2
91.12~97.6
94.12~99.11
95.3~00.2
95.7~00.6
95.9~00.9
98.5~02.4

 (参考2)98年度実施開発調査案件

案   件   名
HIPARSA社再活性化フィージビリティ調査(第2年次)

 



このページのトップへ戻る
次のページへ進む目次へ戻る