(1) ツチ族主導の現政権は、94年7月にツチ族及び穏健派フツ族の人々を大量虐殺した旧ルワンダ軍及びフツ族過激派民兵を武力で制圧し政権を獲得した。現政権は基本的にツチ族主導体制自体は維持しつつも、出身部族を示すIDカードの廃止、フツ族出身大統領及び閣僚の任命、地方選挙(村落レベル)の実施、女性の遺産相続を可能とする遺産相続制度の導入、国民和解委員会、人権委員会及び憲法委員会の設置等国民和解、民主化のための努力を行っている。他方、周辺国に大量に流出していた難民の帰還後の再定住、社会再統合の問題に直面している。
(2) 外交面では、コンゴー民主共和国をめぐる紛争に関して同国政権を攻撃している反政府勢力を支援していることから、多くのアフリカ諸国との関係が悪化している。欧米諸国との関係では、米、英との関係が良好であるが、旧ルワンダ政権を支持していた仏との関係が冷却化している。また94年の大量虐殺事件発生について国連を批判することも多い。
(3) 経済面では、農・牧畜業が基盤であり、GDPの約50%が農林業によって占められている。主要農産物はコーヒー(輸出収入の80%を占める)、茶等であり、特にコーヒーは国際市況の動向に大きく左右されている。
94年の内戦以降、治安悪化等もあり、経済は壊滅的打撃を受けたが、その後の援助国の支援もあり、ここ数年マクロ経済指標にも改善が見られ、安定した経済成長を達成できるかが今後の課題となる。
(4) 我が国は、ルワンダから茶等を輸入し(98年輸入額72万ドル)、同国に自動車、鉄鋼板等を輸出している(同輸出額1,189万ドル)。96年6月にはビジムング大統領が、97年4月にカガメ副大統領、98年10月にルウィジェマ首相が来日した。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 7,113 | 6,400 | 6,727 | 7,895 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 2,214 | 1,128 | 1,26789 | 1,680 |
一人当たり(ドル) | 310 | 180 | 190 | 210 | |
経常収支(百万ドル) | -108.1 | 57.5 | 0.7 | - | |
財政収支(百万ルワンダ・フラン) | -11,280 | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 14.0 | 20.4 | 19.8 | 13.3 | |
対外債務残高(百万ドル) | 712 | 1,029 | 1,043 | 1,111 | |
為替レート(年平均、IUSドル=ルワンダ・フラン) | 82.60 | 262.20 | 306.82 | 301.53 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 24.7 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) |
50 | 40(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
117 | 124(97年) | |
所得が1ドル/日以下の 人口割合(%) |
- | 45.7(83-85年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
198 | 209(97年) | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | 9.7(83-85年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
210(80-90年平均) | 1,300(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 50 | 39(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
10(80-90年平均) | 21(90-98年平均) | |
初等教育純就学率 (%) |
65 | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) |
50(80-90年平均) | - | |
女子生徒比率 (%) |
初等教育 | 50 | - | 森林面積(1000km2) | 2 | 3(95年) |
中等教育 | 36 | - |
我が国は、94年の内戦以前は、食糧援助、食糧増産援助、教育等の基礎生活分野及び運輸等の基礎インフラ整備に対する無償資金協力や、通信・放送、工業分野等での研修員受入、青年海外協力隊派遣等による技術協力を行ってきた。しかし、94年の内戦以降、同国の政治情勢の流動化、治安状況の不安定化のため、援助の実施は事実上停止し、難民の大量発生等ルワンダ情勢における緊急事態に鑑み、国際機関を通じた食糧・医療援助、現地で活動中のNGO支援等の緊急・人道的援助のみを実施してきた。
その後、治安状況の改善がみられ、ルワンダ政府が、難民帰還を促進し、部族対立の払拭に努める等国民和解及び国土復興に向けての着実な努力を行っていることから、97年には食糧援助、一般プロジェクト無償資金協力を実施した。今後の援助については、同国の治安状況を踏まえ、比較的容易な援助から、段階的に実施する方針である。
(1) 我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈 与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
16.32(99) 1.38(92) 0.39(71) 7.83(96) 8.57(95) |
0.16( 1) 0.12( 8) 0.16(29) 0.30( 4) 0.46( 5) |
16.47(100) 1.50(100) 0.55(100) 8.13(100) 9.03(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
16.47(100) 1.50(100) 0.55(100) 8.13(100) 9.03(100) |
累計 | 147.28(88) | 16.13(10) | 163.38(98) | 7.33 | 4.10(2) | 167.46(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(支出純額、単位:百万ドル)
DAC諸国、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
米国 101.0 ドイツ 45.6 オランダ 29.2 |
ドイツ 52.1 オランダ 41.1 ドイツ 26.0 |
オランダ 46.7 ベルギー 31.3 カナダ 21.4 |
英国 34.5 ノールウェー 24.5 ベルギー 21.0 |
スイス 17.8 カナダ 20.4 スイス 12.1 |
20.8 |
147.7 |
国際機関、ODA NET |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
WFP 150.7 WFP 183.8 WFP 145.0 |
UNHCR 100.2 UNHCR 87.1 UNHCR 112.8 |
UNICEF 32.7 CEC 55.4 IDA 47.5 |
IDA 29.0 IDA 38.1 CEC 46.0 |
CEC 17.9 UNDP 22.8 UNDP 29.1 |
42.6 34.0 31.9 |
373.2 421.2 412.4 |
(3) 年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度 までの 累計 |
46.49億円
内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
144.60億円
内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
20.60億円 研修員受入 90人 |
91 | なし | 16.21億円
中等技術学校建設計画(3/3期)(4.12) |
1.92億円 研修員受入 11人 |
92 | なし | 16.54億円
公共輸送力増強計画(10.44) |
1.20億円 研修員受入 9人 |
93 | なし | 8.52億円
ノンプロジェクト援助(3.00) |
0.24億円 研修員受入 7人 |
94 | なし
|
29.91億円
災害緊急援助(紛争被災民救済)(UNHCR,ICRC,WHO経由)(900万ドル=9.54) |
0.09億円 研修員受入 1人 |
95 | なし
|
10.33億円
国内被災民向け食糧援助(WFP経由)(5.00) |
なし |
96 | なし
|
14.91億円
食糧援助(3.00) |
0.22億円 研修員受入7人 |
97 | なし
|
8.30億円
緊急無償復興開発支援(UNDPルワンダ国連信託基金拠出)(4.49) |
0.36億円 研修員受入 10人 |
98 | なし
|
6.02億円
緊急無償地雷犠牲者支援(ICRC経由)(注4) |
0.15億円 研修員受入 2人 |
98年度 までの 累計 |
46.49億円 | 255.34億円 |
24.78億円 研修員受入 137人 |
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
3. | 74年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/b_v/odawp/index.htm) | |
4. | ICRC経由でアフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン等11か国への供与にて合計約1.7億円。 | |
5. | WFP経由でソマリア、スーダン、エティオピア等7か国への供与にて合計29億円。 |
(参考1)98年度実施草の根無償資金協力案件
案 件 名 |
カランガジ・セカンダリースクール建設計画 キブンゴ県キビンバ小学校再建計画 ムリンディ・セカンダリースクール建設計画 カムワンビ小学校再建計画 キブンゴ県ムラカンジェ小学校再建計画 カガサ小学校建設計画 ムササ小学校再建計画 キランビ小学校再建計画 キブンゴ県ルフンダ診療所再建計画 カレラ小学校再建計画 ギドブ小学校再建計画 |