広報・資料 報告書・資料


3.4 国際社会の中で我が国ODAが果たした役割や意義

3.4.1 ドナー・コミュニティにおける我が国の貢献や地位向上

 ドナー・コミュニティ全体でベトナムへ供与した援助総額の約3分の1を日本が供与している。また、日本は、プロジェクト型の支援のみならず、政策立案へも積極的な貢献を行なってきた。これらの情報から、ベトナムの経済社会開発の進捗に対する我が国の貢献は、他ドナーから高く評価されているものと推察されるが、現地調査を通じて裏付け作業を実施した。

(1) 他の援助機関の援助動向と日本の貢献度合

 近年のベトナムへの主要ドナーは、日本、世銀、ADB(以上3者で全体の3分の2)のほか、フランス、ドイツ、デンマーク、豪州、スウェーデンなどである。この中で日本は、金額ベースでは1996年以降リーディング・ドナーとしての地位を確立してきた。特に二国間援助機関供与総額の内、55%(98年度ベース)までが日本による投入資金によるものである。

主要ドナーの対ベトナム援助実績(PDF)

ベトナムに対する各援助国の援助額の推移

(2)他の援助機関の対ベトナム援助戦略

 次ページに主要ドナーによる援助の重点項目一覧を掲載した。援助戦略や援助政策について資料を入手できたのは、世銀、ADB、UNDP、デンマーク、豪州、スウェーデン、ドイツである。

主要ドナーによる援助の重点一覧(PDF)

 国際機関についてまず見てみると、世銀は、「国別援助戦略(CAS)ベトナム 1999 - 2002」において、(1)成長の勢いの回復、(2)開発における質と持続性の深化を援助の目的に掲げ、7つの優先分野を示している。アジア開発銀行(ADB)は、「国別援助計画(CAP) ベトナム 2000 - 2002」及び「国別援助戦略1995」において、(1)行政改革における経済成長と民間セクター開発、(2)中等教育、保健、地方開発への投資を目的に掲げ、7つの優先分野を決めている。UNDPは、「国別協力フレームワーク(CCF) 2001 - 2005」において、「改革マネージメント、持続的発展、及び環境マネジメントの強化による持続的な貧困削減」を目的に掲げ、8つの優先分野を決めている。以上、国際機関は、抽象的な開発目標を掲げることが多いと考えられる。

 これに対して、バイのドナーはより具体的な援助方針を示していることが多い。デンマークは、「最貧グループの支援に重点を置いた社会・経済開発の達成を目指す政府を支援する」ことを目標に掲げ、農業、水、漁業の3分野で具体的な支援項目を定めている。オーストラリアは、「ベトナムとのパートナーシップの下で貧困削減と持続的開発を達成する」ことを目標に掲げ、教育・職業訓練、農村・農業開発、保健、ガバナンス、ジェンダーの5つの分野で具体的な支援項目を決めている。

 対ベトナム援助を行っているドナーは、それぞれ異なった分野に重点を置いている。しかし、ベトナム政府が作成した過去の5カ年計画の重点分野と、各ドナーの優先分野を重ね合わせてみると一致する点が多く、各ドナーがその時々の5カ年計画をベースに自らの援助戦略・計画を立案してきたことがわかる(下図参照)。

主要ドナーの援助の重点とベトナム国家開発計画の重点の重なり具合(PDF)



このページのトップへ戻る
前のページへ戻る次のページへ進む目次へ戻る