2.3 ベトナム経済構造の高度化の実現
2.3.1 産業構造の高度化に資する主な政策
つぎに、日本が援助を本格的に再開した1992年度から現在まで、どのようにベトナムの経済構造が高度化したかを示したのが次ページの図である。国内生産を構成する各部門とも生産額(付加価値額)を増加させているが、とくに工業部門の伸びが著しい。1992年当時は、農業部門が工業部門の生産を上回っていたが、1999年にはこれが逆転した。農業国から工業国への移行が着実に進んでいるとも言える。
ある国の経済成長を達成するには、どうしたらいいか。通常、少なくとも以下の3つの政策が有効とされている。なお、すでに分析したことからも分かるように、ベトナム政府の開発戦略及び日本の援助方針・計画も、これらの政策に沿って策定されていると言える。
● | 国内の産業構造を高度化(高付加価値化)する。第1次産業(農業)を着実に伸ばすとともに、それ以上に第2次産業(工業)を伸ばすことが重要。 |
● | 国内総生産を決定する3つの要素として、(1)資本、(2)労働力、(3)技術水準があげれらる。このうち、(2)労働力(労働人口)は通常変更できないので、(1)資本増加のために投資を促進する(公共投資、民間投資の双方)。(2)技術水準の向上のために、国内の教育・訓練の充実と、高度な技術をもたらす海外直接投資の促進を図る。 |
● | 国内で生産されたものを消費する需要サイドは、「内需」(国内総需要)と「外需」(輸出需要)から成り立つ。国民の所得水準が低いことによって制限される「内需」に対して、先進国を含む世界を相手とする「外需」(輸出需要)の潜在的購買力は非常に大きい。したがって、「外需」(輸出需要)を獲得するように努力する。 |