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3) 基礎教育分野  

 基礎教育分野については、1996年以前は協力隊の活動を除きほとんど目立った協力活動を行っていない。しかしながら、基礎教育がDAC新開発戦略のひとつの柱となった結果、1997年基礎教育分野における協力を拡充するためのプロジェクト形成調査団が派遣され、さらに、1998年第2回東京アフリカ開発会議(TICADII:Tokyo International Conference on African Development)におけるイニシアティブに基づき、「アジアの経験をアフリカに」をモットーに人材育成に関する協力を展開していくことが計画された。

 基礎教育分野は、外務省の国別援助計画においては、「他の援助国・機関との連携にも配慮しつつ、セクター別開発計画の中に適切に位置づける形で無償資金協力による学校整備を検討していく」としている。JICA国別事業実施計画においては、「EU、英国をはじめとする主要ドナーも教育セクター開発計画の共通枠組の中での協力を実施あるいは模索してきている。JICAとしてもセクター別開発計画の動きに十分留意しつつ、開発計画の策定段階及びその後のプログラム/プロジェクト実施の段階において必要なインプットを行っていく必要がある」としている。

 タンザニアの教育セクター開発計画の中では、教育情報管理システム(EMIS: Educational Management Information System)の向上を目的として、スクール・マッピングの実施が優先付けられている。我が国はUNESCOが実施したのに続いてスクール・マッピング案件を開発調査として1999年から約2年間かけて実施した。全対象地域数(120県)の半分においてスクール・マッピングを実施することは、拡大HIPCによる債務削減の条件にもなっており、我が国はそのうちの25%にあたる30県で同案件を実施した。同案件の目的はスクール・マッピングによる情報収集に加えて、郡レベルの教育プログラムの策定支援(マイクロプランニング)、地方教育行政官の能力強化(キャパシティ・ビルディング)も含む。

 その他、現在実施中の案件としては教育セクター開発計画の支援のための我が方体制強化として、企画調査員の派遣、基礎教育分野の在外専門調査員の雇用を行った他、地方教育行政強化を目的とした環境社会セクター・プログラム無償(無償資金協力)、学校環境改善を目的としたダル・エス・サラーム市小学校施設改善計画・基本設計(無償資金協力)、学校保健(開発福祉支援事業)、理数科教師専門家、青年海外協力隊員の派遣等がなされ、1997年のプロジェクト形成調査団の派遣以降、同分野の開発に力を入れてきている。

 タンザニア側も教育分野においてはすでにセクター別開発計画が実施されていることもあり、同分野の開発に対して強い力点が置かれていることから、我が国としてはスクール・マッピング案件の経験から得た同分野の開発計画実施に係るタンザニア政府の調整能力や事業実施能力等のキャパシティに対する知見を、今後の同分野への支援方針に生かしていくことが重要である。



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