「国別援助方針」は今後「国別援助計画」にその役割を取って代わることが決定されており、ここにある提言は今後策定される「国別援助計画」に活用されることが期待される。
提言1:「国別援助方針」とODA大綱やODA中期政策との位置づけ及び策定基準の明確化
第3章での分析において、「国別援助方針」はわが国援助の上位政策であるODA大綱やODA中期政策と十分な整合性を持ち、かつその重点セクター及びサブセクターもスリランカ側のニーズに合致するものであった。
しかしながら、「「国別援助方針」の重点分野にある鉱工業開発はスリランカ側のニーズにはあるが、ODA中期政策が掲げている南西アジア地域の開発重点分野には挙げられていない」、「「国別援助方針」とODA中期政策の保健分野の内容が必ずしも一致していない」、ということが確認された。
これは、「国別援助方針」の位置づけ及びその策定基準に明確でない部分があることに起因していると考えられる。例えば「国別援助方針」がODA中期政策の下位にあり、ODA中期政策を具現化するものであるという位置づけであれば、「国別援助方針」の重点分野はODA中期政策の南西アジア地域における重点分野に合致しているのが望ましい。また「国別援助方針」が相手国の国家開発を最上位の目標とするものであれば、スリランカ側のニーズに整合していることが優先されることになろう。
したがって「国別援助方針」がわが国援助政策全体の中でどのような位置づけにあるのか、また「国別援助方針」は何に準拠して策定されるべきであるのか、策定基準の優先度も含めて明確化し、これらを関係者に周知することが望ましい。