広報・資料 報告書・資料


1.2.7. ドッソ県 派遣目的:青少年活動

(1)派遣概要

相手国 ニジェール国
国別事業実施計画重点分野 重要課題外
開発課題  
協力プログラム  
派遣開始時期 1998年4月7日 ~ 現在2代目隊員活動中
ミニッツ調印  
業種名 青少年活動 2名
相手国実施機関 青年スポーツ国民連帯省青少年の家 ドッソ県ドゴンドッチ郡
青年スポーツ国民連帯省青少年の家 ドッソ県ドッソ市
任地名 ドッソ県ドゴンドッチ郡 1名、ドッソ市 1名
裨益対象 地域住民
PDM  
 目 標 ドゴンドッチ郡およびドッソ市にある青少年の家の活動を活性化させ、ニジェールの文化、青少年活動、スポーツ活動の発展に寄与する。
 個別活動目標 ドゴンドッチ郡:地域住民の日常生活の中から、地域住民が好む文化・青少年活動を模索し、地域の発展に寄与するものからそれらを活性化・定着化させる。
ドッソ市:劇団活動への参加や郷土調査・文化保存のための活動を通じ、地元に根付いた文化交流やアイデアの提供を行う。
 成果(活動分野) ドッソ市
成果1:劇団活動を中心に、地元に根付いた形での娯楽・情報提供の推進に寄与する。
 活動1-1:劇団活動の企画・運営
 活動1-2:ラジオ劇団活動の企画・運営
 活動1-3:各種式典の企画・運営
 活動1-4:私立専門学校での歌・劇の指導

成果2:郷土調査や文化保存に努め、資料や情報の収集・整理・作成を行う。
 活動2-1:村長へのインタビュー(昔話し、言い伝え、伝統的慣習 等)
 活動2-2:劇団の歌と歌詞の収録
 活動2-3:資料と記録の作成

ドゴンドッチ郡
成果3:地域の活性化につながる文化活動を地域住民に提示し、受入れられたものを定着化させていく。
 活動3-1:図書館の運営
 活動3-2:映画・ビデオ鑑賞会の開催
 活動3-3:ケルメス(祭り)の開催
 活動3-4:名物イベントや特産物の考案

成果4:地域のスポーツ活動の充実を図る。
 活動4-1:サッカー協会の支援 活動4-2:市民マラソン大会
 活動4-3:空手教室の活性化  活動4-4:卓球の普及
日本側投入実績  
 協力隊員 帰国隊員:青少年育成 2名
活動中隊員:青少年育成 2名
 隊員支援経費

(主な機材等)

サッカーボール4ヶ、卓球用具一式、椅子30脚、国旗用布、ビデオデッキ、テレビ、ビデオカセット、屋外用電飾 他
合計:      円
 研修員受入 0 名
ニジェール側投入実績  
 カウンターパート ドッソ市:なし
 協力隊員住居費用 ドッソ市 月額         CCF(月額) 支払:
ドゴンドッチ郡 月額      CCF(月額) 支払:
 予算措置総額  
国内支援体制 出身県
他の日本のODAとの関係 なし
他のドナーとの関係 なし
(調査団作成)


(2)5項目評価

1)妥当性

 ニジェール国における「青少年活動」の派遣は1998年4月(ドゴンドッチ郡)より開始され、これまでに延べ7名(内活動中4名)が派遣されてきた。初代隊員の受入希望調査票の要請理由には、各市町村にある「“青年の家”の活動を活性化させ、ニジェールの文化、青少年活動、スポーツ活動の発展に寄与する。」とある。この青年の家は青年スポーツ文化省が管轄する文化交流センターである。

 ドッソ県に派遣された2名の青少年活動隊員の活動結果からは、ほぼこの要請に沿った形で活動計画が立てられ、実施されてきたことがわかる。また、“活動”を模索するために、まずは地域住民と親密になり、ほぼ1年近くかけて現状を把握し、最後に住民に受入れられる活動を何度も試行錯誤して企画・運営を行っている。それだけに地域住民の満足度は非常に高く、協力隊の活動が日常生活に多くの潤いをもたらしたといえる。現在の“青年の家”所長は新任のため前任者の活動を実際には目にしていないが、その功績は伝え聞き高く評価していた。

 隊員の報告書に、青少年活動は「生活の隙間に入り込む活動」とあったが、こうした活動は協力隊だからこそ可能な活動ともいえる。毎日の生活に追われる地域住民のために、本気でまた真剣に娯楽、文化、スポーツなどの提供を模索する本派遣計画は地域社会の活性化に貢献しており、妥当であったといえる。

 一方、受入側にとっても青少年活動という業種がどのような活動を行うのか、配属先に明確に理解されておらずカウンターパートや、隊員の活動をサポートする同僚はなかなか定まらなかった。計画段階から配属先を巻き込み、もう少し明確なビションを配属先が持てるような配慮は必要であった。

2)有効性

 初代隊員であり、また青少年活動という新しい業種への取り組みであったため、活動を軌道に乗せるために多くの時間を要している。また隊員自身が立てる活動目標が多岐に渡っているため、総合的に目標達成度を測ることも非常に難しい。しかしながら現地での聞き取り調査から、隊員一人一人の活動が地域社会に受入れられ、地域住民のニーズを直接汲み上げながら活動し、その活動成果はかなり高く評価されていることから、青少年活動の初代隊員としての目標はほぼ達成されたと評価できる。

 その一方で、青年の家の所長をはじめ一部の同僚は、当初隊員達の活動にほとんど関心を示さず、非協力的であった。この点では、受入側に問題があったことは否めず、隊員活動の有効性を阻害する要因となった。因みに現在は所長が変わり、協力隊の活動に対しても期待を寄せており、青年海外協力隊事業の仕組みについてもある程度までは理解をしている。

 また、配属先が提供すべき隊員住居の準備が事前にされておらず、結果として着任後数ヶ月を経て任地を変更(ビルニンガウレ→ドッソ)する事態が生じた。これも一つの活動の阻害要因としてあげられる。

3)効率性

 隊員支援経費は、活動のために「必要最低限なものだけを購入する」という理念を全面に出して一部の隊員が活用していた。また購入したものも大切に使用するように隊員が指導していることから、これらの投入には特に問題はない。

 初代隊員の活動状況を把握する上で有益であったのは、分科会の存在であったといえる。隊員の派遣されたそれぞれの地域におけるニーズの発掘方法やその結果、配属先での問題点などの情報交換は、見えにくい「青少年活動」のあり方を模索する上で、自らの志気を高め、維持するという促進要因として効率的であったといえる。

4)インパクト

 「明日の食事にも窮する日常生活の中に、余興的な意味合いが強い青少年活動にどれだけ地域住民が関心をしめし、また本当にニーズがあるのか?」これは初代隊員の一人が赴任前より抱いていた疑問である。しかし結果として、地域に潜在するニーズを探るために、地域住民との信頼関係を築くことから活動を始めたため、地域住民との真密度が非常に高く、また活動内容についても、地域住民の満足度が高い。このため、地域住民のインパクトはある程度高かったと評価できる。しかしながら、隊員の知識や技術を地域住民に普及していくことは行われていない。

5)自立発展性

 現時点での青少年活動は、特に配属先から明確なニーズがないところで、隊員自身が地域を回り、ニーズを探し、活動を行うことが中心である。このため、自身の活動が今後も引き継がれことを想定して活動を行っておらず、多くの活動は、隊員の離任とともに停止してしまっている。隊員が集めたニーズの中で、相手国側にニーズとして認められたものについては1代限りでその活動を終わらせることなく、相手国に活動が浸透するまで継続した活動を検討していくべきである。単発の派遣だけの繰り返しでは、相手国に与える影響は著しく下がる。

このページのトップへ戻る
前のページへ戻る次のページへ進む目次へ戻る