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3-5. 現職参加の促進

 現職参加は、近年の日本の経済状況を反映しこの10年間で減少傾向にある。最盛期には全協力隊員の約3割を占めていた現職参加が、平成13年度には16.5%まで落ち込んでいる。特に民間企業からの参加は平成11年度が116名、平成12年度が92名、平成13年度が38名となっており、ここ数年はほぼ横ばいを保っていた参加人数が平成13年度極端に減少した(表3-4参照)。しかしながら、民間企業の中にはボランティア休暇制度などの休職制度を設ける企業は着実に増加する傾向にある。つまり、近年の“ボランティア”“企業の社会貢献”に対する認知度の向上により“制度”を設けることは比較的容易な状況にあるが、実際に参加や実施をさせることは経営上難しい、という矛盾が大きくなってきている。

表3-4 協力隊への参加状況
  平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度
協力隊参加者 987 (100.0%) 1093 (100.0%) 1248 (100.0%) 1135 (100.0%)
無職参加 475 (48.1%) 485 (44.4%) 413 (33.1%) 359 (31.6%)
退職参加 305 (30.9%) 405 (37.1%) 622 (49.8%) 589 (51.9%)
現職参加 207 (21.0%) 203 (18.6%) 213 (17.1%) 187 (16.5%)
現職参加の所属先内訳                
国家公務員 6 (2.9%) 4 (2.0%) 4 (1.9%) 3 (1.6%)
地方公務員 95 (45.9%) 106 (52.2%) 92 (43.2%) 92 (49.2%)
政府関係職員 1 (0.5%) 1 (0.5%) 1 (0.5%) 0 (0.0%)
民間企業職員 105 (50.7%) 92 (45.3%) 116 (54.5%) 92 (49.2%)
自家営業者 0 (0.0%) 0 (0.0%) 0 (0.0%) 0 (0.0%)
(出典:平成13年度版 ボランティア事業現況調査)

 一方で、平成13年度より教員特別参加制度を設け、現職教員の参加を促す体制を整えている。この制度の特長は派遣前訓練を4月より始め、通常2年の派遣期間を1年9カ月にすることで、翌々年度の4月より復職が可能になるというものである。文部科学省もこの意向に賛同しており、平成13年度の春募集では文部科学省より114名の推薦があった。しかしながら、健康診断による不合格者が4割近くあり、最終的には66名が平成14年度の春より訓練を受けることになっている。

 教員の参加は、生徒への開発教育、国際理解教育にも直結することから、途上国に行った経験が実際の教育現場でどのような形で生かされ、生徒達に還元されていくかを具体的に提示しつつ、文部科学省およびJICAとしては今後も応募人数の拡大に努めていく方針である。

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