3-1. 事業の仕組み
青年海外協力隊は、日本政府と相手国政府との間で締結される「青年海外協力隊の派遣に関する取極」に基づいて派遣される。この取極に基づき相手国政府から日本政府に対して協力隊員の公式要請がなされ、この要請に基づいて協力隊員の募集が行われる。募集は年2回、春と秋に行われ、一次選考と二次選考に合格すると、「隊員候補生」として79日間の派遣前訓練を受け、これを修了すると初めて正式な協力隊員となる。協力隊員たちは派遣国の省庁など関係機関やNGOに配属され、要請に従って原則2年間の協力活動を展開する。多くの協力隊員は、単独で派遣国政府機関に配属されるが、より幅広い協力効果を求められる要請については、協力隊員をチームやグループとして一括して派遣するプロジェクト形式の形態をとっている。
(1)要請背景調査
協力隊在外事務所は、相手国政府に対しブルーシート2に基づいた要請背景調査を実施し、その結果は受入希望調査票として取りまとめられる。
(2)募集
協力隊は公募制となっており、募集時期は毎年春と秋に行われる。春募集は4月10日~5月20日、秋募集は10月15日~11月20日までとなっている。
ポスター(電車内、駅構内等)、インターネット、新聞・雑誌、テレビ・ラジオ、各種広報誌等を活用して募集広報が実施され、全国約250ヶ所の公共施設において募集説明会が開催される。また大学などで特別募集説明会も行われる。
(3)選考
協力隊の選考試験は、隊員としての適正(健康、人物、語学、技術・技能)を総合的に判定することを目的としており、一次選考と二次選考とに分けられる。一次選考として筆記試験が各都道府県で実施され、科目は「技術」、「語学」及び「協力隊員適正テスト」である。加えて「健康診断(書類審査)」が行われる。二次選考は東京で実施され、科目は「技術面接」、「個人面接」及び「健康診断」である。
なお、二次選考合格者に対して、相手国からの要請により的確に応えることができるよう、協力活動の各分野において必要とされる実践的な技術・技能等の向上のための技術補完研修制度も設けられている。
(4)派遣前訓練
協力隊の派遣前訓練は79日間で、集合合宿制で行われる。青年海外協力隊訓練所は3ヶ所(広尾、駒ヶ根、二本松)であり、それぞれの訓練所で年3回(1次隊は4~6月、2次隊は9~11月、3次隊は1~3月)の訓練が実施される。
訓練総時間は603時間で、主な訓練は協力隊講座、選択講座(訓練所別)、任国事情講座、外国語学習、保健衛生、安全管理、体育、野外訓練、所外活動、事例研究及び自主計画である。外国語学習環境は非常に恵まれており、240時間に及ぶその学習時間は全体の約4割を占める。1クラス3~4名の少人数制で授業が実施される。
(5)現地訓練(語学研修を含む)
現地訓練は、派遣国着任直後、現地で行われる。派遣国によってその期間や内容は若干異なる。訓練期間は1ヶ月であるが、実践的な語学訓練(異文化理解学習も含まれる)と現地での生活に適応することを目的として実施される。
(6)現地支援体制
現地の支援体制として、在外事務所では特に協力隊事業について次のような業務を行っている。
1) | 協力隊派遣に係わる調査及び受入国関係機関との連絡調整 |
2) | 協力隊員に対する助言・指導・相談 |
3) | その他付帯する管理的業務 |
(7)帰国後のフォローアップ
JICAでは帰国後の隊員に対して、次のような側面支援を行っている。
1) | 帰国時プログラム
任期を終了した隊員は帰国直後に協力隊事務局にて帰国時プログラムを受ける。このプログラムは、帰国時オリエンテーション、帰国時研修、健康診断、報告会などで構成されており、通常3日間行われる。 |
2) | 進路開拓支援セミナー
帰国1~2ヶ月を目安に、円滑な進路開拓支援を目的に実践的な研修としてテーマ別に、有識者の講演、OB/OGの体験談等による「進路開拓支援セミナー」を開催している。 |
3) | 進路相談カウンセラー
帰国隊員の進路開拓支援のために、17名の進路相談カウンセラーを配置し、帰国隊員の進路開拓に関する相談を受けたり、必要に応じてカウンセリングを行っている。 |
4) | 進学・研修・補助金・奨学金制度の充実
キャリアアップやステップアップのために進学や研修受講等を考えている帰国隊員に対して各種支援制度が整備されている。 |
5) | 求人情報の整備
進路開拓に必要な最新の求人情報、会社案内等の就職に関する資料が、協力隊事務局をはじめ、すべての進路相談カウンセラーの執務室に備えられている。 |
2 相手国側が日本側に協力隊員の派遣を申請するために必要な隊員派遣申請書