青年海外協力隊事業は、技術を有する我が国の青年が、開発途上地域の住民と生活・労働をともにしつつ、当該地域の「社会経済の発展に協力」することを目的とした事業である。1965年の発足以来、36年目を迎え、協力隊派遣取極め締結国は総計77ヶ国(平成13年7月末現在)、事業発足時からの累計では22,000名を超える隊員を派遣している。
しかしながら、本事業は、必ずしも一義的に技術移転のみを目的としたものではなく、青年のボランティア精神に基づく草の根レベルでの相互理解、国際交流活動、さらには日本青年の育成としての意義をも併せ持つものである。このため事業効果として、大きく以下の3項目があげられる。
(1) | 協力活動を通じて、相手国(派遣国)の社会・経済発展への寄与 |
(2) | 協力活動を通じた隊員と地域住民との相互理解に起因する国際交流・二国間関係の増進 |
(3) | 協力活動を通じた日本の青少年の人材育成および隊員の帰国後の社会活動を通じた日本社会への還元 |
これまで青年海外協力隊事業は、要請国の受入機関や地方自治体より高い評価を得てきた。また国内においては、協力隊事業の「顔の見える援助」「国民参加型事業」としての重要性が浸透しつつあり、同時に本事業が青年の自発性に基づく「ボランティア事業」という点からも、国民の期待と評価が高まっている。しかしながら、ODAの一環である以上、より効果的な事業の実施が求められており、事業の成果を重視する傾向及びその評価に対する関心も高まっている。
本事業評価調査は、青年海外協力隊事業の変遷、および本事業を取り巻く国内外の環境の変化に注目しつつ、本事業の実施により出される成果を明示し、それらに対する評価を行うことを目的としている。また、今後より効果的に事業を実施するべく事業の課題を抽出するとともに、21世紀に求められる、より戦略的な青年海外協力隊事業としての提言を導き出していく。