3-3 NGO事業補助金制度のプロセスの概要
NGO事業補助金のプロセスは、(1)申請手続き、(2)書類審査、採択の決定、(3)完了報告書、補助金の支払いから成る。そして、(4)プロセス全体を通じての関連する情報公開が課されている(平成14年度の募集要領は別添11参照)。
補助金交付を受けるNGO事業の事業実施期間はその年の4月から翌年3月までであり(いわゆる4月から翌年3月までの我が国会計年度と同じ)、その期間内であれば、実施期間や実施時期については、制度上は特段の規定は設けていない。事業によっては前年度からの継続事業もあれば、数週間だけの短期事業もある。
補助金申請・応募より、審査、完了報告、補助金支払いまでのスケジュールは概ね次の通り。9
(1)申請手続き
主な応募要件は、我が国のNGOで自ら人員を派遣して、ODA対象国である途上国で開発事業を行っている団体である。対象事業の種類は11種類に分かれており、農漁村開発、人材育成、女性自立、保健衛生、医療、地域産業向上、生活環境改善、地域総合振興など、NGO事業の多様性に対応し用意されている。また、対象事業の要件として、単年度事業であること、常時連絡可能な責任者がいること等の要件がある。
補助金交付の条件は、同一事業への支援は原則3年まで、合理的理由があるときは5年までとしている。また、補助金の補助率及び交付上限額は2分の1以下、1事業1,000万円まで、1団体としては5,000万円までとなっている。補助対象経費の費用項目も募集要領の別添で定められているが、様々な項目が用意され、特に、人件費、渡航費、事業管理費を認めているところが、NGO事業補助金制度の特徴である。
申請に際し、応募NGOは、所定の申請書、事業計画明細書、見積書、案件概要票、団体概要などの書類と、団体設立趣意書、定款、寄付行為、規則等、過去2年間の事業及び収支報告書、役員名簿等の書類の提出が義務付けられている。
(2)審査方法
外務省民間援助支援室が開発事業の適性と団体の適性を審査した後、在外公館の担当者に、対象地域のニーズ、計画の妥当性、NGOの現場での評判などを照会し、総合的に判断する。
具体的には、開発事業の適性については、4つの「基本的な考え方」(1)政府レベルでは対応が困難な草の根レベルの事業であり、途上国住民に対する人道的及び環境保護の観点からの配慮がなされており、かつ、経済・社会・地域開発、民生の安定につながること(わが国NGOが途上国NGO、政府等と協力して行う事業も対象とする)、(2)地域社会のニーズが十分把握されていること、(3)地域住民の自助努力による自立を促し、地域住民の参加があること、(4)援助の効果が対象地域の女性にも被益するよう配慮されていること、を基準に審査している。
また、団体の適正については、(1)団体として事業遂行・組織管理能力(団体の実績、財政規模、職員数等を含む)、(2)事業内容、(3)経費積算、(4)従事する要員、(5)総合的評価や、前年度の完了実績報告書や事業の内容等、本補助金を受けて実施した過去の事業内容や事務処理状況等も、翌年度以降の補助金審査の参考とする。
(3)完了報告書、補助金の支払い(4月中旬までに報告書提出、4月中に支払い)
事業完了後に、事業完了報告書の提出を義務付けられている。これをもとに、補助金交付金額の確定が行われ、4月中に支払いが行われる。
外部監査については、適切な会計処理を確保するために、開発協力事業の全案件に、平成14年度から義務付けが行われた。外部監査経費は補助金対象費目である。
(4)プロセス全体(情報公開)
従来より補助金を交付した案件については、翌年度において団体名、事業区分及び交付金額を外務省ホームページおよびパンフレットに掲載している。平成14年度からはより透明性を高めるために、申請締め切り時における申請状況の公開、補助金交付決定段階における案件概要の公開、事業完了報告書をNGO自身のホームページでの公開、を行うこととした。
9 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/shien/hojyokin.html