第7章 我が国援助に対する現地の評価と要望
7.1 被援助国関係者の評価と要望
我が国援助に対する「ニ」国側の評価と要望を確認するために、「ニ」国有識者及び一部関係者に質問票を配布し、我が国援助の認知度、評価及び今後の要望につき調査した。プロジェクト関係者へは直接インタビュー形式で行われ11票中9票の回答を得た。また、有識者にはCONPESを通じてアンケート100票が配布されたが、調査期間が選挙前後であったこと、選挙後の落ち着きを取り戻す頃にクリスマス及び新年の休暇の時期が来てしまったことから、CONPESを通じた調査票の回収が難しくなり、質問票回収率は21%(回答者全体は30名)に留まった。
回答者の属性としては、男性15名、女性16名、年齢は20~70代であり、うち30代が9名で最も多い。また、職業については93.3%の回答を得ており、50%がサラリーマン、21.4%が公務員である。また、回答者の96.7%が中学校卒業以上の学歴を持ち、うち62.1%が大学卒業以上の学歴保持者である。収入に関しての回答は93.3%から回答が得られたが、一家の所得がUS$100未満、US$100~250、US$250~500と答えた人は各17.9%、US$500~750は3.6%、US$750~1000は7.1%、US$1000~1500は14.3%、US$1500~2500は7.1%、US$2500以上は14.3%である。テレビ、ラジオ、冷蔵庫、アイロン、扇風機、コンロ、水道、電気については8割以上の人が所有しており、自動車についても46.7%の回答者が所有している。
- 1) 認知度
- 回答者30名中73.3%が我が国支援によるプロジェクトを承知していると答え、その情報源としてテレビ、ラジオ、新聞などのメディアをあげている。また、日本のODAポスターとODAマークについては、それぞれ63.3%、60%の回答者が見たことがあると答えている。記念切手に関しては全体の36.7%の回答者が聞いたことあるいは見たことがあると答えているが、実際に切手を見たのはわずか3人であった。
- 2) 援助の効果
- ドナー援助において、役立つ援助を行っている国の順に番号をつけてもらったところ、我が国の援助が最も役立っているとの回答が43.3%にのぼった。援助が役立っていると感じる理由として、供与額の大きさが挙げられている他、生活環境がよくなったあるいは便利になったという回答が多かった。また、援助案件が与えた最も大きなインパクトは、雇用の創出であったとの回答が60%、経済発展への貢献であったとの回答は46.7%であった。
- 3) 援助実施過程の評価
- 我が国の援助が実施される過程に係る質問では、プロジェクトの立案に関して「住民の意見が反映されている」との回答は全体の30%であり、逆に「反映されていない」との回答は23.3%であった。「案件が形成される過程が分かりやすいか」という質問に対しては、30%が「分かりやすい」と回答しており、「分かりにくい」と答えたのは20%であった。案件の立案から実施までの期間については、「短い」と回答した人は「長い」と回答した人と同数の26.7%であった。また、プロジェクトに問題が起きたときの日本の対応については、「まあまあ早くて対応が良い」等肯定的な回答は53.3%で、逆に否定的回答はわずか3.3%にすぎなかった。
- 4) 今後の要望
- 「今後どの分野で援助が必要だと考えられるか」という質問に対しては、教育や保健と答えた人が80%に達し、農林水産と答えた人は76.7%である。また、水供給、公衆衛生と答えた人も60%に達している。また、援助の課題については、雇用機会の創出が最も多く83.3%、次いで貧困緩和の73.3%であった。その他には環境保全(43.3%)、生活環境(40%)、マクロ経済安定(30%)、ガバナンス(30%)、債務救済(30%)などを援助が必要な課題としてあげている。