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5.5 インパクト分析のまとめ

分析結果のまとめは以下の通りである。

1) 90年代の対ニカラグァ開発援助は同国の開発のボトルネックである貯蓄不足を補い、経済開発分野に重点的に配分されているなど、経済開発にとって重要な役割を担った。

2) マクロ経済的観点から見ると経済効果の高いODAセクターは、(1)電気通信、港湾、建設などの経済インフラ分野、(2)組織・制度整備、強化などの分野、(3)貧困対策、ハリケーン復興などの社会開発プログラムへの援助、そして、(4)鉱業、漁業、農村開発庁によるその他のプログラムを含む生産セクターなどが効果的であると判断される。これらのODAセクターは経済的な波及効果も高いと認められる。

3) 効果的な援助のためには、限りある貴重な開発資源を総花的ではなく特定の分野へ集中させ、そのインパクトを他に波及させる戦略が必要である。本章で紹介したマクロ経済的インパクト評価は、わが国の戦略的な援助を論じる上で一定の示唆を与えるものである。

4) 言うまでもなく、開発援助の戦略策定においてはマクロ経済的なインパクト分析のみならず、人材育成や衛生環境の改善、脆弱集団への保護、社会的不平等の是正、良い統治や民主化促進など「ニ」国の社会・政治環境へのインパクトも分析する必要がある。今後の課題は、そのための分析モデルの開発である。



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