4.3 主要ドナーの動向
前述のとおり、1990年から2000年における二国間援助額は、総額3,961百万ドル、年平均360百万ドル供与された。援助国別動向を図4.3-1にみると、米国は1995年から1999年に若干援助額が減少したものの総額1,011百万ドル(年平均91百万ドル)、二国間援助の内25.5%(2000年25.2%)を占めるトップ・ドナーであった。第2位には、日本が総額398百万ドル(年平均36百万ドルで10.1%を占めたが、1997年、1998年にはトップ・ドナーになっている。続いて、スウェーデンが総額384百万ドル(年平均34百万ドル)、台湾が総額326百万ドル、(年平均29百万ドル)支援してきた。以下、サンディニスタ政権時代から「ニ」国への支援を続けてきているデンマーク、オランダ、ノルウェー、フィンランドといった北欧諸国とドイツ、スペインの欧州諸国が主要ドナー10ヶ国に名を連ねており、上位10ヶ国で二国間援助総額の78.6%(2000年には95.1%)を占めるに至っている。
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(出典)Memoria de la Cooperacion Externa 1990-1996, Informe de la Cooperacion Externa 2000 |
図4.3-1 二国間援助国別援助額占有率 |
さらに、1997年から2000年における形態別動向を表4.3-1でみると、無償援助における二国間援助は、年平均210百万ドルが支援されており、総援助額の42.2%に当たる。日本がトップ・ドナーとして年平均44百万ドル、無償・二国間援助の内20.9%、総援助額の内8.8%を占めている。続いて、米国が年平均42百万ドルを支援しており、日本・米国の両国で無償・二国間援助の41.4%、総援助額の17.4%を占めている。また、有償援助におけるニ国間援助は、年平均42百万ドル、総援助額の8.5%が融資されてきた。この援助形態では、台湾が年平均31百万ドル(総援助額の6.3%)を占めていることが特徴として挙げられる。これは、「ニ」国が台湾を主権国家として認知しているという政治的背景によるものである。
表4.3-1 ニカラグァ国形態別援助受取額(1997~2000年)(PDF)
(1)米国(USAID)
USAIDが実施する開発援助の特徴は、ガバナビリティに欠けていることを理由として政府を通さず、国際・現地NGOを活用して多様な事業を繰り広げている点にある。重点3分野としては、(1)ガバナビリティの促進(地方行政レベルでの人的資源開発、等に43百万ドル)、(2)小規模生産者の強化(47百万ドル)、(3)基礎的な保健・衛生、教育分野の向上(52百万ドル)を取り上げている。また、ハリケーン・ミッチ災害復興プログラムにおいても保健、教育、食糧、経済再生といった幅広い分野に103百万ドルを支援し、即効性のある援助を実施している。
今後もNGO支援活動を主体とした開発協力を継続する予定であるとされる。USAID現地事務所は、貧困削減ペーパー(PRSP)の実施においても、生産部門、民間部門に関してほとんど討議されていないとして計画の妥当性に懐疑的であり、PRSPとは一線を画した米国独自の開発援助を実施していくと表明している。
(2)スウエーデン(SIDA)
1997年から1999年における対ニカラグァ開発援助額の支援分野別割合は、下表のとおり民主化支援への援助額が31.7%と最大である。続いて、社会セクター(16.8%)、経済改革(13.0%)、工業・都市インフラ(12.2%)に重点が置かれている。
表4.3-2 スウェーデンの対ニカラグァ開発援助額(1997~1999年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
(百万SEK) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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出典:Regional Strategy - Central America and the Caribbean 1 January 2001 - 31 December 2005 |
2001年から2005年の5ヶ年計画においても、下表の通り「ニ」国はホンジュラスと並んで中米諸国において開発援助が最も優先される国の一つと位置づけ、長期的な開発協力が必要であると認識している。特に、民主化支援、貧困対策に重点を置くとしている。
表4.3-3 スウェーデンの中米・カリブ開発援助5ヶ年計画(2001~2005年)における援助額の割合予定 | ||||||||||||||
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出典:Regional Strategy - Central America and the Caribbean 1 January 2001 - 31 December 2005 |
(3)ドイツ(GTZ)
これまでGTZは、(1)農村開発・天然資源開発分野、(2)民間企業育成・就業促進分野、(3)国家制度の近代化と参加型開発分野、の3分野を重点に支援してきた。過去の援助実施の教訓として、 (1)不適当なドナー間協調、(2)政治的理由によるカウンターパート職員の目まぐるしい交替、(3)ニカラグァ側の資金不足、を主な問題点として挙げている。今後は、PRSPの方針に沿って、(1)国家制度の近代化と地方分権化、(2)経済・就業機会促進、(3)持続的資源管理、(4)水供給・公衆衛生を重点分野とした開発援助方針を採るとしている。