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ガーナ 食糧増産援助


(1998年12月、Ramata Al-Hassan ガーナ大学博士、間遠登志郎笹川アフリカ協会プログラム・オフィサー)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1992~95年度
協力金額 14.5億円
相手国実施機関 食糧農業省
協力の内容 食糧増産のために必要な農業資機材の調達のための資金を供与し、ガーナ食糧農業省が必要な農業資機材を調達する。


 本件食糧増産援助は、食糧増産のために必要な農業資機材の調達のための資金を供与し、ガーナ食糧農業省が必要な農業資機材を調達することを内容とする。今回評価調査における主要な聞き取り調査の概要は以下のとおり。

1.西部州谷底稲作開発プロジェクト

 妥当性及び目標達成度:本件は西部地域農業開発プロジェクトの一部として位置づけられており、当該上位計画の実施に貢献している。調達された資機材は評価調査実施時点ですでに概ね配布され、現在も良好な状態で使用されていることが確認された。

 効果:単位あたり収穫量は0.8トン/エーカーから1.2トン/エーカーに増加したとの報告がある。また、灌漑ポンプも野菜栽培に貢献している。運搬機材は収穫された農作物の運搬に一般的に利用されるようになっている。脱穀機と乾燥機も出荷される米の質的向上に大きく貢献している。また、農民は、米作による収入増により、配布された資機材の維持管理費用を自ら支払うことが可能となった。

 自立発展性:農民は収益率の高い米作に興味を示しており、今後の米作の自立的発展が見込める。

2.ブロング・アファロ地域開発公社

 妥当性及び目標達成度:資機材は公社に適切に配布された。調達した機材を使用して公社は農産物の輸送を実施しており、この点から食糧増産に貢献していると言える。また特に、トラクターはメイズ生産に使用されているほか、約60人の農民による耕作にも使用されている。

 効果:農産物の増産に貢献した。とくに食糧とパーム・オイルの運搬について、女性の労働軽減に役立っている。

3.東部州アクセ・クポング農場

 妥当性及び目標達成度:資機材は農場に適切に配布された。調達した機材が活用されていることが現地で確認された。調達機材であるトレーラーは、肥料、農民、収穫された米の運搬等に利用されている。米質の検査機材は、収穫された米の品質検査に利用されており、市場での販売に貢献している。一方、トラクターと耕運機は、現地の地質等の制約により、十分に活用されているとは言い難い。

 効果:資機材調達が、農産物の増産に貢献した程度を見積もるのは難しいが、一般的には生産をかなり増加させていると言える。また、特に女性が享受する裨益は大きい。

 自立発展性:数年に及ぶ食糧増産援助は、資機材の維持管理の文化を植え付けていたと言える。

4.クワマ遠隔地銀行

 妥当性及び目標達成度:外資で作られた貯蔵施設を無駄にする事なく大規模農業を目指そうとしたのも、その時代背景からは理解できる。サイトの選定に関しても、当該地域はガーナのメイズ・ベルトの一部で確かに小規模灌漑を行えば生産が安定することから妥当であったと言える。調達されたトラクターやトラックは本計画において作物の運搬に使われ、また、ピックアップは農業省の普及員がプロジェクトの管理に使っていた。しかし、主食メイズの増産計画の頓挫に伴う広大な耕地のうち250エーカーが利用されているが、食糧増産の目標が達成されているとは言い難い。また、プロジェクト・サイトが町から離れているため、19人程度の周辺住民しか参加できていない。

 自立発展性:当初の計画時には考えられなかった大きな環境の変化と受け入れ側の資源不足からプロジェクトは本来の規模を維持しておらず、善後策の検討が必要である。


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