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パプア・ニューギニア 第1期ラジオ放送局改良計画

(1999年3月、ジョン・コル財務計画省国家計画庁二国間援助課日本担当官)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1986年度
相手国実施機関 国営放送公社(NBC)
協力の内容 全国網を有する当国唯一の全ラジオ放送メディアであるNBCの維持継続に協力すべく、17放送局に対して放送用機材の更新、設置を行った。


〈評価要旨〉

1.効率性

  各放送局は、1960年代から70年代始めに設立されたため、機器の老朽化が著しく、安定的な放送サービスの供給に支障が出始めていた。かかる状況を背景として、本件機材は供与されたため、同機材の導入時期は適正と判断され、また、本協力によりほぼ全ての国民に放送サービスを提供出来るようになり、投入の規模に見合った成果があったといえる。

2.目的達成度

  本協力による新しい短波放送設備の設置により、電波の届く範囲が広がり、遠隔地域も含めたパプア・ニューギニア全土をカバーエリアとして、ニュース、教育、農業、道徳、健康、伝言、災害情報などを主としたサービスを地域住民に提供することができるようになった。

3.プロジェクトのインパクト

  全国的規模での様々なラジオ番組の放送は、直接的、間接的にターゲット人口に大きな影響を与えた。教育及び文化的レベルの向上、社会経済開発、緊急時における治安の面等においても、非常にプラスのインパクトがあった。特に、98年のアイタペ津波災害の際には、24時間体制で生存者、伝言情報、災害直後の安否の情報等を提供する等多大な貢献を行った。

4.妥当性

  当国においては、国土の地形的制約から、人口の多くが遠隔地域で生活しており、道路、電話、電気等のインフラ整備も立ち後れている中、ラジオ放送が唯一の全国的なマスメディアである。こうした状況下、本プロジェクトによる機材の供与は、各放送局のニーズに適っており、効果的に遠隔地域にまで情報を提供することが可能となる等、プロジェクトの選定、供与機材の内容も適切であった。

5.自立発展性

  NBCは、本局、全国を4つに分けた地域センター及び各州都にある地方放送局の三段階の組織となっている。各放送局には、放送番組の責任者たる局長、局内の人員や物品等の業務管理を担当する副局長の他、放送機材全般の維持管理を担当する技術者等が配置されており、維持管理体制は整っており、保守管理状況は概ね良好である。

6.今後必要とされるフォローアップ

  ラジオウエスタンハイランド及びラジオウエスタンについては、送信機の出力用チューブと変調用バブルの劣化により所用の出力で運用できない状況にあり、早急に部品の交換が必要である。

7.他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 本プロジェクトのように短波送信機等の機材を供与する場合、その据え付けにあたっては専門家を派遣すると同時に各局に配置される技術者の訓練もできるだけ支援していくことが重要である。


(写真)地方の放送局
地方の放送局
(写真)放送用機材
放送用機材


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