(1999年3月 フランクリン・マーフィ 農業・労働省水産局)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1990年度 |
相手国実施機関 | 農業産業労働省水産局(現農業労働水産局) |
協力の内容 | セントビンセントの水産部門において、マグロ、メカジキ等の外洋性魚種の捕獲能力の向上、漁獲物の取り扱い及び維持管理能力の向上を目指して、漁船、訓練・調査用機材、漁具、トラック等の機材供与、維持管理等のための作業場の建設を行う。 |
1.効率性
本件協力により建設された施設及び供与された機材は、概ね良好に維持管理、活用されている。
たとえば、マグロ延縄漁船は、地元の漁師が購入し、漁業で大いに活用されており、これらの船の中には、稼働時間が6千時間を越えるものもある。一部の機材については、稼働状況が必ずしも良くないが、水産局内でその有効利用の検討が進められるなど自助努力が認められている。
2.目的達成度
延縄漁船はマグロやその他の価値の高い魚種の輸出の増加に貢献し、また、調査船は試験漁航海をしており、訓練及び地図の作製等に大きく貢献している。また、建設されたその他の施設、供与された機材等も当初の予定通り利用され、本件計画の目的は達成されている。
3.インパクト
本件協力は、価値の高い大型外洋魚の水揚げと輸出の増加、漁船所有者と納入業者の所得の増加、内陸部への魚の流通の広範化及び維持管理能力の向上をもたらした。
4.妥当性
本計画は、セントビンセントの開発計画(第1次産業の多様化と地元経済の振興)に対応している。この開発計画には、大型外洋魚資源の開発、水産部門の維持管理能力の向上、全国の魚の取り扱い及び流通の改善に関する多数の勧告が含まれておりその要請に応えるものである。
5.自立発展性
各船の維持管理については、自立的運営がなされており、今後も継続されるものと期待される。また、吊り上げ装置を装備したピックアップトラック、クレーン車及び維持管理センターについては、水産局の管轄下にあり、海洋ディーゼルエンジンと冷蔵の部門にかかる訓練・作業のために利用されている。
6.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として生かされるべき事項
これまでに、水産無償案件として、キングスタウン魚市場を始めとして、ベキエ島、ユニオン島、キャリアクア島(本島)、カヌアン島にそれぞれ地域特性を考慮した水産施設が建設されており、現在本島西岸のバルアリ、シャトーブレアーにおいても水産施設が建設中である。今後の協力の案件としては、すでに整備された漁業施設を拠点とする活動を強化するための機材や既存施設の拡張並びに技術協力に力を入れるべきものと考える。