広報・資料 報告書・資料

前のページへ / 次のページへ

パキスタン 北西辺境地域橋梁建設計画


(1999年7月、経済省)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1992年度、93年度、94年度、95年度
協力金額 8.60億円、11.91億円、2.30億円、2.99億円
相手国実施機関 北西辺境地域公共事業局
協力の内容 北西辺境地域は、高地であり地形の起伏が大きく十分な道路網が整備されていないので、同地域内の各地域間の連絡を目的とした11の橋梁を建設した。


〈評価要旨〉

(日程の制約及び交通事情から9つの橋(ナライ、パソライ、バニバ、カイドン、ビルババ、カール、トタカン、サカコット、ジャハズナ)を調査した。)

1.効率性

 全ての橋梁のコンディションは良好であり十分に活用されている。

2.目的達成度

 これらの橋梁の建設により、この地域の社会経済状況は大きく改善している。以前、北西辺境地域内の開発地域から分断されていた人々は、現在、これらの橋梁を使って他の地域にある学校、病院などへ行くことが可能となった。

3.インパクト

 ナライ橋では約25万人、パソライ橋では6万人以上、パニパ橋では7万人以上、カイドン橋では6千人以上、ビルババ橋では2万人以上、カール橋では5万人以上、トタカン橋では約10万人、サカコット橋では5万人以上、ジャハズナ橋では4万人以上の受益者がいる。

 住民は、よりよい交通インフラを使って農産物や材木を市場に出荷することができるようになった。 4.妥当性

 本件は、北部辺境地域の各地域を連結するというパキスタン政府の要請に合致している。

 但し、サカコット橋とジャハズナ橋については既存のコンクリート製の橋を改修することとし、同時に別の橋を建設する可能性を検討してよかった。

5.自立発展性

 これらの橋梁の状況は総じて良好で定期的なメンテナンスは必要ない。公共事業局による修理予算の手当は極めて厳しい状況であるが、緊急に補修が必要な場合は予算は確保できる。また、住民は、自ら、カール橋では橋の片側の道路建設、ジャハズナ橋では修復工事を行っていた。

6.環境への配慮・影響

 ナライ橋では、鉱業の発展により住民の生活水準は上昇したが、反面で、その鉱石(大理石)の粉塵による大気汚染や水質汚濁、野生生物への悪影響も発生している。また、カイドン橋では、農業と林業生産が拡大したが、それに伴う耕作地の増大により一層森林伐採も進んでおり、野生生物への悪影響が発生している。

7.今後必要とされるフォローアップ

 ナライ橋では、10キロメートルのアプローチ道路がジープが走行するような道路であり、早急に舗装する必要がある。ナライ橋は良好な状態であるが、その土台の小規模な修復が必要である。

8.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項

 本件は社会開発のために非常に有益なものであり、将来も優先度をもって、この種のプロジェクトが実施されるべきである。しかし、この種の施設のメンテナンスをいかに行うかについて実施前に考えておく必要がある。


前のページへ / 次のページへ

このページのトップへ戻る
目次へ戻る