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エジプト 上エジプト灌漑施設改修計画(第1次)


(1999年3月、在エジプト大使館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1991~93年度
協力金額 12.99億円
相手国実施機関 公共事業水資源省電気機械局
協力の内容 老朽化の激しいポンプ施設を緊急に更新することにより、灌漑用水不足を解消する。これにより農業生産を安定・向上させることを目的とする。10箇所へのフローティングポンプ機材(ポンプ、電動機、配電盤、台船等)の供与を行なった。


〈評価要旨〉

1.効率性

 フローティング式ポンプ場の形式を採用としたことで、土木工事部分(陸上部)が簡素化され、エジプトの負担、技術レベルで十分対応できることから土木工事部分をエジプト側の施工範囲とし全体事業費を押さえることが可能となった。また、既存のポンプ場と同形式であり運転管理技術の継続・発展性の確保が図られている。

2.目的達成度

 当初計画どおり10箇所にフローティングポンプ機材が供与され、安定的に灌漑用水が供給されている。1箇所について使用開始が遅れたが、日本側の指摘を受けて対応がなされ、現在は所期の機能を発揮している。

3.インパクト

 安定した灌漑用水が十分に得られるようになり、安定した農業生産活動が可能となったほか、サトウキビ、野菜等への作物転換も容易となり、農家所得の向上にも貢献している。

4.妥当性

 食糧の増産・安定供給は、爆発的な人口増加を背景にエジプト政府の最重要課題の一つとなっており、灌漑用水を安定的に供給し、農業生産の安定化を図ることを目的とする本計画は、その開発目標合致したものとなっている。また、上エジプト地域には、アスワンハイダムの建設により、移転を余儀なくされたヌビア人農家も多く入植しており、安定的な灌漑用水の確保は、農業収入の安定を意味し、この地域の民生安定の面からも不可欠であった。

5.自立発展性

 協力終了後も日常管理、定期点検が問題なく行われている。日本での研修、JICA専門家に技術移転により円滑な技術移転が図られた。

6.今後必要なフォローアップ

 施設の運転管理は適切に行われているが、機会を捉えての農業・灌漑関連分野の専門家による指導・助言は、維持管理レベルの維持に有効な手段と思われる。

7.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 ポンプ場には、日本とエジプトの国旗が描かれており、観光船の乗客に対するPR効果は大きい。


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