(1999年4月、在ジョルダン大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1995年度 |
協力金額 | |
相手国実施機関 | アカバ港湾公社 |
協力の内容 | アカバ湾岸の環境汚染対策、とくに船舶事故による油汚染対策。オイルフェンス、油回収機材、油処理システム、回収油収納システム、他。 |
1.効率性
本件プロジェクトの実施は、1994年ジョルダン・イスラエル和平条約等を背景とした地域内情の改善を踏まえ、かつこれを後押しするという観点からいち早く行われたものであり、かつ、我が国が議長を勤める中東和平会議での環境作業部会での議論を踏まえ、エジプト(EU支援)、イスラエル、ジョルダン(日本支援)の協同プロジェクトとして実施されたことから、政治的意義の高いものであった。
2.目的達成度
当初計画どおり供与、設置された。また、本プロジェクト実施後に発生した油流出事故では、本プロジェクト策定の際に行われたリスク分析に基づいて設定された想定最大油流出以下にとどまっており、適切な対処がなされている。また、作業能率製、効率性も著しく向上した。
3.インパクト
アカバ湾での油流出事故に備えて、イスラエルとの打合わせ合同演習が行われ、イスラエルとの間で緊密な連携関係が構築され、相互理解を深めるという効果を生んでいる。
4.妥当性
当初の規模(~200立米)流出事故を想定した設計は妥当であり、適切な想定の下に概ね適切に機材が選定されたと言うことができる。ただし、オイルフェンス、クレーンの電源等、細部について、当地の気象条件や実際の作業上の便宜をより考慮する余地はあったと思われる。
5.自立発展性
港湾公社において本プロジェクトに従事する人員については、油汚濁の発生時を含め、十分な数が確保されており、維持管理費についても概ね適切に支出されていることを確認した。消耗品の購入につき、若干の遅延が見られる。
6.今後必要とされるフォローアップ
仮に対イラク制裁が解除され、アカバ湾を航行する船数が飛躍的に増加すれば、プロジェクト全体の再検討が必要。
7.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
(イ)機材の選定にあたっては、現地の気象条件等を十分に配慮する必要がある。(ロ)多国間協力案件においては、他国コンサルタントの設計に設計内容引きずられる傾向があるが、我が国としての検討を十分に行い、必要があれば、他国間協議の場に適切にフィードバックをし、柔軟に設計変更を行う必要がある。
![]() オイルフェンス |