(1999年3月、在アルゼンティン大使館)
援助形態 | プロジェクト方式技術協力 |
協力年度 | 1989年~94年 |
相手国実施機関 | 国立ラ・プラタ大学獣医学部 |
協力の内容 | 同国の基幹産業の一つである牧畜業の発展に資するため、国立ラ・プラタ大学獣医学部家畜伝染病・公衆衛生分野において研究協力を行い、これらを通じた研究者の養成をおこなう。 |
1.効率性
日本でのカウンターパート研修を通じて、我が国の研究手法を習熟することにより、技術移転がスムースに進行するなど、効率的運営が図られた。
2.目的達成度
本案件は、研究協力とそれを通じた研究者の育成に加え、アルゼンティンの畜産・食品衛生施策に寄与するとともに、養成された人材による第三国研修の実施(1996年、97年、98年度)及び第三国専門家の派遣(97年度3名、98年度5名)へと繋がっており、目的は十分達せられた。
3.インパクト
日本でカウンターパート研修を受けた者が、帰国後、全員がフルタイム勤務に振り替えられるなど、研究者の育成、日本型研究手法の導入という観点でのインパクトは大きい。
4.妥当性
口蹄疫問題が解決されつつある中、アルゼンティンが牛肉輸出の拡大を推進する上で、畜産・食品衛生の強化が極めて重要となっているところ、本案件におけるわが国の協力がアルゼンティンの畜産・食品衛生施策にも寄与しており、適正な案件の選定・形成であったといえる。
5.自立発展性
プロジェクトの供与機材の稼動及び利用状況については、維持・管理が行き届いている。
人員配置については、プロジェクト当時のカウンターパートの学部に残る定着率は100%である。また、第三国研修の実施及び第三国専門家派遣に見られるように、中南米の獣医学研究の中心として自立発展性を有している。
6.今後必要なフォローアップ
当学部においては、臨床部門が、当案件での協力部門等より技術レベルが劣ることから、当学部を中南米の獣医学研究の核とするとの当プロジェクトの方針に沿ったアフターケアないし新たなプロジェクトの立ち上げが必要であると考える。
(尚、アルゼンティン側から、家畜感染症・疾病の診断技術の更なる向上及びこれらの技術の臨床応用の強化を通じた南南協力の拠点としての整備が要請されている。JICAでは、2000年度にアフターケア調査団を派遣し、要請内容の検討、相手側関係者との協力体制や活動内容に関する協議を行った上で、2ヶ年に亘ってアフターケア協力を実施する予定。)
7.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として生かされるべき事項
当プロジェクト当初から同学部を「中南米の獣医学研究の核」と位置づけたことが極めて大きな成功要因であったと考えられ、このようなインセンティブを与えることが、他のプロジェクトでも有効に働くものと思われる。
![]() モデルインフラ整備事業で建設された動物実験施設 |