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フィリピン 大工養成のためのYMCA職業訓練センター建設事業


(1999年2月、在フィリピン大使館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 草の根無償資金協力
協力年度 1995年度、約3.3万ドル
相手国実施機関 セブYMCA(広島YMCA国際コミュニティーセンターを通じて)
協力の内容 漁師の副収入源となり得る大工技術訓練の提供及び住宅建設・修復に従事できる大工の養成、更に中学をドロップアウトした青少年を対象に大工技術を習得させるためのセンターの建設及び資機材の供与。


〈評価要旨〉

1.効率性

 訓練コースは、土曜及び日曜に一回当たり6時間ずつ計20日にて実施された。大工技術に興味を持ち、かつ通える距離に住む漁師に対する大工技術訓練が一巡したことから、現在は、青少年や遠隔地の住民への技術訓練について検討している。また、センターの有効活用のため、教育文化スポーツ省と協力して、学校に行かない子供たちのための算数の授業に開放されている。

2.目的達成度

 本件協力が計画通り実施された結果、大工技術訓練に必要なセンター及び機材が整備され、1996年より訓練コースが開始された。

3.インパクト

 本訓練センターで訓練を受けた漁師は、着実に大工としての技術を身につけており、当該家族の収入の増加に繋がった。例えば1996年の第一回目のコースを終了した10名の内、9名が大工で収入を得ることが可能となった(内5名は大工を本業として自立)。

4.妥当性

 セブ州タリサイ町(特にポブラシオン地区)は、漁業に依存している住民が多いが、近年の漁獲量の減少から収入が低下してきており、安定的な収入源を確保する必要があったこと、また、毎年同地を襲う台風被害による家屋の修理に対応できる人材を養成する必要があったことから、本件協力の実施は妥当であった。

5.自立発展性

 直接の運営を行っていたタリサイYMCA(セブYMCAの支部)の財政難により、訓練コースは1998年から中断されたが、再会に向けて運営に必要な経費の安定的確保のため、(1)実施機関であるセブYMCAがセンター全体の運営を管理する、(2)大工技術の指導官をセブ州立科学技術大学より派遣する、(3)大工技術の指導官(TESDAより派遣)の給与をタリサイ町が支弁する、ことが検討されている。

6.今後必要とされるフォローアップ

 コース再開に向けて検討されている諸方策を確認しつつ、早期の訓練実施に向け働きかけを継続する必要がある。更なるセンターの有効活用のため、籐家具の製作、貝細工などの加工技術の訓練を行うのも一案であると思われる。

 なお、1999年3月にタリサイYMCA、教育スポーツ省セブ分局、セブ州立科学技術大学及びタリサイ町との間で、タリサイ町が大工訓練指導者に補助金を交付する等の合意が結ばれ、経費の安定的確保が可能となり、99年5月から訓練が再開されている。

7.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 安定的な運営資金の確保がプロジェクトのサステナビリティーにとって重要。


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