(1999年3月、在ミャンマー大使館)
援助形態 | 有償資金協力 |
協力年度 | 1979年度、80年度(工場拡張)、81年度(輸送増強) |
協力金額 | 61.60億円、36.00億円(工場拡張)、25.80億円(輸送増強) |
相手国実施機関 | 第一工業省窯業公社 |
協力の内容 | ミャンマー国内で最大規模のチャンギン・セメント「工場のセメント生産能力を向上させ、それに伴うセメント工場への原材料の輸送及び河川港までのセメント製品輸送の能力をミャンマー初の電気機関車を導入し増強する。 |
1.効率性
円借款により整備されたセメントクリンカーの生産効率は、過去3年間平均で71%である。円借款以前に整備されたものの生産効率が55%~59%であり、定格能力を下回るものの事業実施による生産性向上が認められる。
2.目的達成度
チャンギン・セメント工場は、ミャンマー政府独自の資金により調達され、1975年度からセメント生産を開始し79年度には19万トンを上回るセメントを生産していた。しかし円借款によるプロジェクトが完成する前年の84年度には12万トンまで生産が落ち込んだ。しかし、工場拡張プロジェクトが完了してから生産量は28万トン以上を記録し、その後増減はあるものの一貫して安定的なセメント生産を続けている。
3.インパクト
ミャンマーには現在5つのセメント工場があるが、チャンギンセメント工場はその中でも最大で、同国全体のセメント生産量(約40万トン)の約75%(約30万トン)を生産しており、同工場のインパクトは極めて大きい。
4.妥当性
同工場は国内最大のセメント工場であり、イラワジ川にも近いことから、その拡充を図る計画は、生産の効率性、輸送の容易製といった観点から妥当であった。
5.自立発展性
同工場は現在も24時間体制で稼働しているが、円借款による機材導入から既に15年近く経過しており、機材が老朽化しており、自助努力による維持管理の徹底を図っている。電気機関車については、メンテナンスも非常に良好であり、旧式ではあるが外見は新品同様に見える。しかし、スペアパーツ不足は深刻である。
6.環境への配慮・影響
同工場の周辺に民家は少なく公害問題は顕在化していない。しかし生産の過程でセメント灰が工場内の一部に撒き散らされており従業員の健康管理に何らかの対応が必要である。
7.ジェンダーへの配慮・影響
同工場は力仕事が多いが、袋づめ作業等女性にも適したセクションでは女性の労働機会の提供が図られている(従業員合計2,034名うち女性212名、約10%)。
8.今後必要とされるフォローアップ
機材の老朽化が著しく、今後も現在の生産量を維持してゆくためにはかなりの補修が必要である。1986年にOECF(現JBIC)が実施したSAPS(援助効果促進業務)では、機材の改修等、スペアパーツ購入等に関わる提言を行ったが、資金不足によるスペアパーツ不足は深刻で、中国やタイから安い部品を緊急的に購入しているようであるが、寿命が短く、対応に苦慮している。
9.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項
スペア・パーツ不足が深刻であるが、借款当初から長期にわたるスペアパーツを購入することは不可能であるので、追加的支援は自助努力との兼ね合いで検討すべきである。
![]() チャンギン・セメント工場全景 |
![]() 電気機関車 |