(1999年4月、在スリランカ大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1995年度、96年度 |
協力金額 | 4.10億円、2.95億円 |
相手国実施機関 | モルディヴ電力公社(当時:モルディヴ電力庁) |
協力の内容 | モルディヴの南の開発の拠点であるアドゥ環礁のフルフドゥ・ミドゥー島に発電所建設及び配電用資機材調達、同環礁のヒタドゥー島に配電用資機材調達を行った。 |
(以下の評価はフルフドゥ・ミドゥー島の発電所を中心に実施。)
1.効率性
本件協力による機材、人員、資金など投入の技術レベルは適当であった。1999年度に、同島の発電所に協力隊員が短期で派遣される予定であり更なる効果が期待できる。
2.目的達成度
ミドゥー地区の電力供給率が25%から100%に上昇した。また対象全地域において安定した電力の供給が行われるようになった。
3. インパクト
安定した電力供給により、フルフドゥ・ミドゥー島では、小学校の2部制の開始、車修理・大工の作業所の開業、衣料工場の設立等の波及効果が生じた。
4. 妥当性
同島の人口は3,579人であり約半数(主に男性)は他の島に出稼ぎに行っていることから本件の実際の裨益人口は限られており、またフルフドゥ地区は、本件実施前から既に100%の電化が達成されており、現時点(1999年4月)における本件の費用対効果は必ずしも高いとはいえない。
しかし、本件実施により、安定的電力供給が達成されたこと、モルディヴの国家開発戦略において、アドゥ環礁が南の開発拠点として定められており、将来の電力供給能力強化という観点から、本件は有意義であった。本件の妥当性については、アドゥ環礁の開発の様子も見つつ判断されるべきである。
5. 自立発展性
非常によく維持管理されており、新投資のための予算確保は難しいものの、発電所を滞りなく運営するだけの予算は確保している。
6. 環境への配慮・影響.
ディーゼル発電で使用されたオイルはそのまま廃棄されるのではなく、木製品磨きとして住民に販売され再利用されている。
7. 将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項
モルディヴは約200の人の居住する島からなる国家であり、将来我が国がモルディヴにて他のプロジェクトを実施する際には、モルディヴ政府の国家開発戦略を注視しながら、それと整合性のとれた協力を行っていくべきである。
今後の協力を行う際には、多くの国民に平等に裨益するような案件選択を心がけるべきである。
![]() 11キロワット配電盤 |
![]() ディーゼル・エンジン発電機 |