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スリランカ コロンボ市ごみ処理改善計画


(1999年3月、在スリランカ大使館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1995年度
協力金額 1.83億円
相手国実施機関 地方自治・伝統医学省
協力の内容 ごみ収集・運搬機材の整備によりコロンボ市内のごみ収集運搬能力を向上させ、ワークショップ用維持管理機材を充実させ、機材の稼働率を高め、1998年のごみの予想量648トン/日をほぼ全量収集し、同市の衛生環境を整える。


〈評価要旨〉

1.効率性

 コロンボ市清掃局では、車両・機材の運用記録の管理、ごみ収集計画の立案等が適切になされていた。ワークショップの技術者は板金加工、機械加工、コンテナ製作の技術に優れていた。したがって、供与されたコンパクタートラック、マルチローダ用コンテナ、ダンプトラック、ピックアップキャブ等の機材の技術レベルは適切であった。

2.目的達成度

 同市の統計によれば、計画実施前の1994年では、ごみ発生量600トン/日、収集量400トン/日、収集率66%だったのが、98年はごみ発生量625トン/日、収集量605トン/日、収集率96.8%とほぼ全量収集できており、収集率の向上という目標は達成されつつある。

3.インパクト

 従来の機材のみによる予測ごみ収集量は、1998年177.8トン/日であり、ごみ発生量の625トン/日の28.5%に過ぎない。機材購入により、ごみ収集量は605トン/日に向上し大幅な改善が見られた。

 本計画がなければ、市内1,000カ所のごみ収集カ所の約7割は回収されずに取り残され、害虫の発生、悪臭、汚水の流出など、町の環境悪化は計り知れないものになっていた。

4.妥当性

 運搬機材については、1998年のごみ推定発生量から既存機材による予測収集可能量を差し引いたごみ量を収集するために必要な機材としたが、この予測は、現在の収集量及び稼働状況からみて妥当であった。

5.自立発展性

 納入機材の管理主体はコロンボ市当局であり全体を統括している。また市内駐車場及びワークショップに各々管理責任者が配置され、管理上問題はない。

 清掃局の予算は要求通り配分されており、供与機材の維持管理を含み支障はないとされているが1998年には、コロンボ市の予算総額の25%を占めており大きな負担となっている。

6.環境への配慮・影響

 今回の機材は、ごみの収集運搬及び維持管理機材であることから、ごみの収集の促進という観点から、環境向上を目的としたものである。

 なお、本件事前調査の段階で日本側から暫定処分場のオープンダンピング方式の処理方法について、汚水、悪臭、害虫発生等の近隣地区への衛生上の問題、また汚水流失による地下水への混入等の危険性について指摘している。

7.今後必要とされるフォローアップ

 コロンボ市の最終ごみ処理場建設が未設置のため、ごみ収集効率は大幅に向上したものの、収集したごみの処理能力は限界に近づいており、新たな改善計画の策定・実施が緊急の課題となっている。同市は、事業の一部外注化を具体化する案を作成中である。

8.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項

 コロンボ市におけるごみ処理問題は優先課題となっていることから、我が国無償資金協力により機材を導入し、ごみ処理効率の大幅な向上を図ったことは時宜を得た適切な対応であり、インパクトも大きい。


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