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ベトナム 北西部植林機材整備計画


(1999年1月、在ベトナム大使館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1995年度、96年度
協力金額 8.04億円、5.71億円
相手国実施機関 農業農村開発省(当時:林業省)
協力の内容 ベトナムの最貧困地域であり、焼畑移動耕作により生計しているソンラ、ライチャウ省に対して貧困と森林消滅の2つの問題の解決を図るための機材を整備し、山岳少数民族の生活条件の向上と森林面積の拡大を図るために、農林産物生産用機材、研修普及用機材、農林産物加工用機材、林産物加工用機材、生産基盤整備用機材等を供与した。


〈評価要旨〉

1.効率性

 本件は機材供与のプロジェクトとして、日本側の調達は期間内に終了した。農林産物生産用機材(給水ポンプ、耕運機等)や生産基盤整備用機材(ブルドーザ等)のように有効に利用されているものもあるが、生活基盤整備用機材(給水ポンプ、ディーゼル及び水力発電機等)や林産加工用機材(丸鋸盤、帯鋸盤等)の一部はベトナム側の内貨不足により現地へ分配、機材の設置に手間取り十分な成果を上げていない面もある。

2.目的達成度

  大部分の機材は十分に使用されており、結果として本件の受益地ではほぼ100%の定住化が行われ焼畑移動耕作が殆ど中止されているので、本件が定住化の一部に寄与し目標の一部は達成されている。しかし、機材を設置するための地元の財政不足、国の電力政策の変更、木材伐採禁止令により原材料の入手が困難になっているため林産加工用機材の一部が十分使用できないという問題がある。

3.インパクト

 焼畑移動耕作が殆どなくなり、定住化農業が進行したことから、森林の減少に貢献している。貧困については、住民の現金収入が増えた効果がある。また、水や物の運搬が簡易水道建設や道路建設によって非常に楽になり労力の軽減につながっている。

4.妥当性

 山間部の貧困少数民族に対し、このようなプロジェクトを行うことは非常に有効である。しかし、計画の際には地域の財政や住民によるローカルコストの問題をもう少し詰める必要がある。地域がどの位プロジェクトに対し対応できるかをよく調査し、実施に当たっては、機材供与だけでなく現地での実施の指導を行うことも考慮すべきである。

5.自立発展性

 調査時には、道路建設が行われているところを確認でき、また一部の未設置の水力発電機に関しても少しずつではあるが、設置に向け準備中であることが確認できた。管理面で若干問題があるが、機材は有効に活用、維持されている。

6.環境への配慮・影響

 本件は、森林破壊減少に貢献するものである。

7.ジェンダーへの配慮・影響

 水、物資の運搬の際の女性の労力軽減に貢献した。

8.今後必要とされるフォローアップ

 本件により定住化農業が行われており、住民の所得は以前より若干裕福になったがスペアパーツが独自で買えるまでには至っていない。そのため機材の補修及びスペアパーツの補填が必要となろう。

9.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項

 当地のような貧困地域ではローカルコスト負担が大きすぎるため、それをよく調査して計画を決定する必要がある。また、機材を供与するだけではなく、機材の適切な設置、仕様に関する指導を行う人員を配置する必要がある。


(写真)トレーラー付耕運機
トレーラー付耕運機
(写真)水力発電施設
水力発電施設


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