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チェンナイ オスマニア総合病院医療機材整備計画


(1999年3月、在インド大使館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1994年度
協力金額 7.57億円
相手国実施機関 オスマニア総合病院
協力の内容 アンドラプラデシュ州の中・低所得者の医療サービス需要に応じるため、オスマニア総合病院の21の医療部門に計435の医療機材を供与し、管理部に救急車、コンピュータ、焼却装置等9機材を供与した。


〈評価要旨〉

1.効率性

 予定された調達期間はほぼ達成され供与は効率的に行われた。ただし、付属部品が欠落したり、機能していない機材が若干ある。

2.目的達成度

 本協力での医療機材の利用により、高度医療サービスの提供がオスマニア総合病院でも低・中所得者を対象として可能になった(例えば心臓内科集中治療室入院患者数は機材供与前543人であったものが1998年には2,070人となった)。しかし、プロジェクトの目標は供与機材の据付後、ほぼ達成されたが、評価時点で、未稼働機材、故障機材の割合が供与機材全体の約2割も占めているので、目標達成度の維持が危ぶまれる状況にある。

3.インパクト

 目標達成度が低下しつつあることを考慮しても、正のインパクトが非常に大きい。組織面では、165人の要員スタッフが機材を操作することとなった。人的資源開発の面では、供与された医療機材を使った臨床実習、医科大学生・卒業後研修を通じ、高度な医療技術を身につけた医師を養成している。経済的な面では、低・中所得者が最低料金で高度医療サービスを享受できることとなった。

4.妥当性

 本件は「全国民が医療施設を利用できるようにする」とのインド政府の第8次国家開発5カ年計画(1992~97年)の目標に合致するものである。また、アンドラプラデシュ州政府は、オスマニア総合病院を州立病院の中の最高の医療施設として位置づけ、その機能強化と公共医療サービスの充実を図っており、本件は、この政策にも合致する。

5.自立発展性

 一部の供与機材にスペアパ-ツの確保、故障時の修理で困難が生じ、稼働できない機材が増加しつつある。病院は、患者から最低料金しか徴収していないので、料金収入で経費全額を賄うことができず、州政府保健省からの予算配分(年間約3,000万ルピー~3,700万ルピー)に依存する体制となっている。

6.ジェンダーへの配慮・影響

 本件は、男性のみならず女性(医師、臨床医、医学実習生、女性患者)も裨益するものである。

7.今後必要とされるフォローアップ

 一部の機材のスペアパーツ供与、故障機材の修理チーム派遣、機材の使用法に関する指導員の派遣等を早急に実施する必要がある。

8.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 インド国内でのスペアパーツの入手可能性が低く代理店サービス体制も整っていない供与機材が多かった点については十分な計画の妥当性の検討があったとは言い切れない。


(写真)総合病院新館
総合病院新館
(写真)人工透析装置で透析を受ける患者
人工透析装置で透析を受ける患者


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