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インド ウジャニ水力発電所計画


(1999年2月、在ムンバイ総領事館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 有償資金協力
協力年度 1985年度
協力金額 15.00億円
相手国実施機関 マハラシュトラ州電力庁(1997年3月まで:マハシュトラ州潅漑局)
協力の内容 マハシュトラ州ショラプール郡ウジャニ村を中心とした地域の潅漑用ポンプの電化、電力系統の中での消費ピーク時の需要に対応すべく、ウジャニダムに揚水発電所を建設する。


〈評価要旨〉

1.効率性

 発電所建設の過程で、地質状況による計画変更、モンスーン、地震等の天災による工事遅延等が重なり、結果として、完成が大幅に遅れ、かつ事業費(内貨分)も、当初予定を大幅に超過した。

2.目的達成度

 同発電所建設は、諸要因により大幅に遅れ、本格的な運転が開始されたのは1996年8月からであるが、現在(99年2月)では、当初の予定通り12MWの発電を実現し、ショラプール郡における潅漑の電化を進め、多くの耕作地が開拓された。更に、同地域の消費ピーク時の電力需要にも大きく貢献した。

3.インパクト

 建設工事中の雇用創出(含む女性)、耕作可能地の拡大、電力の消費ピーク需要時に対する供給体制の向上、更には、地域の工業化推進にも貢献し、地域経済の活性化という面で大きなインパクトあり。

4.妥当性

 農業従事者が大半である地域の潅漑の電化を目的としての地形を活かした発電所の建設という発想は、極めて的確であり、実際にかなりの成果を上げている。

5.自立発展性

 1997年3月以降、発電所の管理運用は、マハラシュトラ州潅漑局より同州電力庁に移管された。但し、資金面は引き続き潅漑局が担当し、必要に応じた支援体制が敷かれている。現在21人の技術者達が24時間3交代制でオペレーションを行っており、日本からの輸入が必要なパーツ交換を除き、殆どのメンテナンスを自ら行い、能力は高い。

6.環境への配慮・影響

 同発電所の建設は、既存のダムを利用したものであるため、新たに開拓した土地面積は最小限であり伐採した樹木は少なく、大気・水質汚染につながる有害物質は放出されておらず近隣の生態系にも影響を与えるようなことはない。

7.ジェンダーへの配慮・影響.

 同発電所の建設中に女性がエンジニアとして2名、事務職として10数名が採用され、土木工事でも多くの女性が雇用された。

8.今後必要とされるフォローアップ

 メンテナンスに必要な部品が、必要に応じ日本から速やかに調達できるよう、日本側発電装置供給元との連絡体制の確立が必要である。日本のプレゼンスを高めるための広報活動も必要であろう。

9.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項

 一般論として工期の管理は重要であることから工期管理のためのコンサルタント導入を徹底していくことが重要である。


(写真)発電所外観
発電所外観
(写真)放水路
放水路


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