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第1部 テーマ別評価:貧困 要約


1.貧困問題への国際機関の取り組み

 1990年代に入って途上国の貧困問題が再度注目を浴びてきた。火付け役となったのは世界銀行の『1990年世界開発報告』および国連開発計画の『1990年人間開発報告』である。さらに96年にDACは新開発戦略を発表「2015年までに極端な貧困の下で生活している人々の割合を半分に削減すること」を、最重要目標として提案した。

(1)1970年代までの貧困認識

 1940年代後半~60年代前半にかけて発展途上国の貧困問題に積極的に取り組んだのは国連諸機関である。市場メカニズムがまだできあがっていない途上国の経済発展のために政府が果たすべき役割は大きいと論じた。こうした構造主義アプローチを代表する議論は、輸出ペシミズム論と貧困の悪循環論である。「貧困の悪循環」論は、途上国とは資本が不足している国のことであり、そこでは「貧しい国は貧しいがゆえに貧しい」という貧困の悪循環が支配しているとした(ヌルクセ)。

 1970年代には、途上国でも先進国同様に「市場は機能する」という新古典派アプローチの有効性が主張された。新古典派アプローチの貧困認識は「途上国が貧しいのは、人的資本への投資が少ないためであり、また政府による過度の介入あるいは保護主義的な輸入代替工業化戦略の下で市場が歪められてしまったためである。したがって貧困問題を解決するためには、(1)人的資本への投資を促進し、(2)政府の介入を極力おさえ人為的に作られた市場の歪みを正し、(3)比較優位にそった輸出志向工業化戦略を採用することが必要である」と要約される。

 1960年代後半から雇用の増大、公正な所得分配、あるいはベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)の充足を援助政策の主要課題にすべきとする改良主義が大きな影響力をもつようになった。これはトリックル・ダウン仮説の妥当性に対する疑義から出発している。

 改良主義の先鞭をつけた国際機関はILOである。ILOは開発戦略の転換を強く求め、開発戦略の目的として、「生産的雇用の拡大、貧困の根絶、極端な不平等の縮小、および成長の成果のより平等な分配」が提案された。インフォーマル・セクターの経済活動へも積極的な評価がなされた。

 世銀は従来のインフラ建設重視型から大きく転換し、農村と都市の絶対的貧困撲滅に向けての援助理念を前面に押し出した。新しい開発戦略の対象となる貧困グループとして、農村のターゲット・グループである(1)小規模農民と、(2)土地無し労働者あるいは準限界的農民、および都市のターゲット・グループである都市の不完全就業者と、(3)都市の失業者、が特定された。

 ILOおよび世銀の雇用・貧困・所得分配問題への着目は、やがて開発目的としての「ベーシック・ニーズの充足」という大きな流れとなった。通常、BHN借款の対象分野として、栄養、健康、教育、水と衛生、住居の5分野がカバーされる。

 以上から読みとれることは、2つの異なったレベルでの議論が「貧困」という言葉にまつわりついているということである。「国民経済レベルでの貧困」と「個々人のレベルでの貧困」である。貧困問題を理解するにあたっての課題は、ミクロ(個々の経済主体)アプローチから見えてくる貧困問題とマクロ(国民経済)アプローチから見えてくる貧困問題をどう関連づけるかという点である。

(2)1980年代以降の貧困認識

 1980年代になると、IMF・世界銀行の構造調整プログラムの実施という形で、新古典派アプローチが開発経済学を支配するようになった。UNICEFはIMF・世銀の構造調整プログラムに批判的な立場を明らかにし、「人間の顔をした調整」を打ち出した(すなわち、経済成長の復興と「傷つきやすい人々」の保護を結びつける)。

 UNICEFの批判に対し、世界銀行は積極的に構造調整と所得分配・貧困問題に取り組みはじめ、世銀の構造調整プログラムには反貧困プログラムあるいは社会セクターへの融資が組み込まれるようになった。

 こうしたなかで、世銀は『1990年世界開発報告』のテーマに「貧困」を設定した。過去30年間にわたり発展途上国が著しい経済発展と福祉の改善をとげてきたにもかかわらず、なお「10億人以上の人々が貧困のなかにあること」に注意を向けた。

 アマルティア・センは、ケイパビリティ(潜在的選択能力)という概念を軸に「開発の意味」を問い直し、UNDPの『人間開発報告』に多大な影響を及ぼした。貧困とは個々人の基礎的ケイパビリティが欠如している状態のことであり、開発とは個々人のケイパビリティの拡大を意味するという考えである。『人間開発報告』では、「人間開発」とは「人々の選択の拡大過程」であると定義されている。

 ベーシック・ニーズ、人間開発指数等で示されている見方は、「貧困」は所得水準だけでは十分に測定できない複合的な現象であるというものである。したがって貧困対策も、分野を横断した多面的かつ包括的なアプローチが必要であるということになる。

(3)「貧困プロジェクト」の取り組みに向けて

 貧困撲滅のためにはミクロ、マクロ両面からの対策が有機的な関連の下に実施されることが必要である。あるいは、貧困撲滅のための「直接的ルート」と「間接的ルート」の双方が密接に関連することが不可欠である。「貧困プロジェクト」と呼ばれるものは、貧困撲滅のための直接的ルート(貧困層にターゲットをしぼったプロジェクト)を指す。

 DAC報告書が採用した「貧困」の定義は、「ある社会の基準でみて"reasonable minimum"と想定される物的な福祉水準を達成できない状態」を指す。「生活水準」アプローチあるいは「所得貧困」と呼ばれているものである。そのうえで、「それ以下では生存が脅かされる、様々な財(食糧、衣料、家屋等々)の消費水準(実質所得水準)」を示す貧困ラインを想定し、この貧困ラインに達しない個人あるいは家族を「貧困層」と定義するものである。

 貧困問題へ取り組むには、(イ)貧困統計の基礎となる家計消費調査等信頼に足るデータがない、(ロ)貧困は各国ごとに大きく異なりうる、(ハ)各国に固有の、貧困の社会的要因(エスニシティ、部族集団、カースト集団等)、宗教的な背景、地域格差、性差のありかた等を正確に把握することが必要不可欠である、等さまざまの点を理解する必要がある。

 貧困プロジェクトが成功するためには、プロジェクトの効率と効果を高める「制度設計」のありかた、あるいはインセンティブのつけかたが決定的に重要となる。貧困プロジェクトの代表的なものとしては、(イ)貧困層向けの信用供与プログラム、(ロ)貧困層向けの公共雇用創出プログラム、(ハ)土地改革、(ニ)農業の成長と技術、(ホ)健康および教育プログラム、(ヘ)食糧配給および食糧補助金、(ト)都市の貧困層対策、があげられる。

 いずれの方策が最も効果的であるか、あるいは実行可能であるかは、各国の具体的な事情によって異なるであろう。しかしいずれの方策をとるにせよ、受益層の参加が不可欠である。また、プロジェクトの制度設計という観点からみると、地方行政機関へと権限を分散すること(分権化)がより効果的であると主張されている。

 経済成長がなければ、貧困問題は解決できない。しかし経済成長は貧困解消にとって一つの不可欠の前提条件ではあるが、十分条件ではない。のみならず発展途上国および援助供与国の社会構造、経済構造、政治構造等の歪みの下で、経済成長あるいは構造調整によって引き起こされうる補助金削減等の社会的コストが、女性や子供や老人といった社会的弱者や貧困層等にしわよせられ、貧困問題が一層悪化する可能性がある。所得分配の悪化を伴うことなく、経済成長の成果が貧困層にもいきわたるような開発戦略を支持することが必要である。また経済成長によって引き起こされうる歪みを是正するためにも、意識的に貧困層をターゲットに据えた「貧困プロジェクト」を実施することが必要である。

 結局、途上国の貧困問題を解決するためには経済・社会インフラ開発プロジェクトと貧困層にターゲットを絞ったプロジェクトがバランスをとった形で、また相互に有機的にかかわりあう形で、実施される必要がある。また貧困対策援助を実施するにあたっても、個々の貧困プロジェクトだけに注目するのではなく、個々の貧困プロジェクトが当該国の開発戦略の中に、どのように、またどの程度有機的に組み込まれているかを見極めることが最重要な課題の一つとなろう。


2.カンボジアにおける貧困問題

(1)歴史的背景

 1975年4月、民族統一戦線のプノンペン入城により、カンボジアの戦乱は終わりを告げた。しかし、ポルポト派が実権を握り、以後3年8カ月あまりの期間、既存の文化や社会・経済システムはすべて破壊の対象となり、百万人とも二百万人とも推計される国民が死に至らしめられた。

 1979年初、ポルポト政権は打倒され、人民革命党政権が擁立された。ポルポト政権崩壊直後の惨状に対して国際社会は非常に寛大な人道援助を行ったが、82年、国連によって緊急事態の終了が宣言された。その後、人民革命党政権を承認しない多くの西側諸国はカンボジアに対する開発援助を行わなかった。こうした間、人民革命党政権はソ連やベトナム他の東側諸国、および各国NGOによる援助のみを頼りにするほかなかった。

 国際的な孤立状態は1991年10月にカンボジア紛争の政治的解決のためのパリ和平協定が調印されるまで、10年以上に及んだ。このように見ると、現在のカンボジアの貧困は、70年前後からおよそ20年以上もの長期にわたる戦乱と国際的孤立のために、暴力的破壊にさらされ続け、発展への方途を閉ざされてきた結果として生じていると言って過言ではない。

(2)カンボジアの貧困

 カンボジアの貧困は、「一日あたり2,100カロリーを摂取するために必要な食糧支出(=食糧貧困ライン)と、現に食糧貧困ラインと同額の支出を行っている家計における非食糧支出を合算した金額」が貧困ラインとして設定されている。

 この「所得貧困」ラインを基準とすると、カンボジアで貧困層と見なされる人々は、国民の4割近くに達する。また、国民の約8割が農村部に居住しているが、そうした農村部居住者の約4割が貧困層である。この結果、カンボジアでは貧困層と見なされる人々の9割近くが農村部に居住していることになる。貧困ラインのすぐ上とすぐ下とでは生活水準にそれほど大きな差はなく、国民の半数程度が貧困ライン未満ないしは貧困ラインと同程度の支出で暮らしていると想定してもあながち的外れではない。

 カンボジアの貧困の出現度を世帯主の職業ごとに見ると、世帯主が農業に従事している世帯で暮らしている人々の44%が貧困ライン未満の支出水準で暮らしており、貧困層全体の7割強がこうした人々によって占められている。したがって、政府が農業収益率の引き上げに資するような産業政策を実施すれば、カンボジアの貧困層の7割が何らかの所得の改善を見ることになる。

 また、カンボジアの特殊事情として、ポルポト時代、国民のケイパビリティが著しく制約された状態があった。その結果は、(イ)40代前半~半ばの層における男女比の不均衡さ、(ロ)30代の男女の学歴の低さ、(ハ)四肢切断者の多さ、(ニ)経済・社会インフラの貧しさ、など開発の制約要因となっている。

(3)カンボジア政府の貧困問題への取り組み

 カンボジア政府の貧困問題への認識、取り組みは次のように整理される。

  • (イ)カンボジアの貧困は国民全体の生活水準に関わる問題であると認識している。経済成長の波及効果に頼るだけでは、貧困問題の早期かつ完全な解決は見込めないし、経済成長なくしてはカンボジアの貧困は軽減されない。
  • (ロ) カンボジアにおける貧困軽減は産業政策と深く関わっている。政府は「経済成長率を持続的に引き上げ、かつ農村の貧困をかなりの程度減少させることは、農業とその関連分野(畜産、漁業、林業)の対GDP寄与度、および農産物加工業の対GDP寄与度をいかに引き上げるかにかかっている」としている。
  • (ハ)貧困と密接な関係があるカンボジアに特有の「傷つきやすさ」があること、そして「傷つきやすい」グループを特に対象としたプログラムないしは支援策が必要である。
     「傷つきやすい」グループとしては、歴史的経緯および経済・社会状況に照して、貧困と深く関わっていると想定される1)女性と子供のみからなる世帯、2)地雷被害者(四肢切断者)を含む世帯、3)プノンペンにおける貧困世帯と農村部における貧困世帯、4)地雷埋設地域に居住する世帯、をあげることができる。

 以上に加え、産業振興のみならず保健・医療や教育といった諸分野において、貧困層の中でも特に「傷つきやすい」グループを排除する結果にならないように常に配慮を払うことが必要である。ただ、カンボジアの公共支出サービスについては国内資金で賄われているのはわずか4割にすぎない。保健分野等の公共サービス支出はODA、NGOの援助によっている状況にある。

 カンボジアの貧困の特徴としては、第1に国民全体の所得水準の低さとして表れていることが指摘できる。したがってカンボジアでは、貧困軽減のためには経済成長、特に農業部門の拡大が求められている。第2に、経済成長のみでは貧困は解消されえないであろうと思われる「傷つきやすい」グループが存在する。こうしたグループに対する「貧困プロジェクト」を国家レベルの開発計画の中に適切に位置づけることが必要であろう。


3.カンボジアの貧困問題において重要な分野

(1)農業

 カンボジアの国民経済に占める農林水産業の割合はきわめて大きく、農林水産業がGDPの42.8%、労働力人口の75.4%を占めている(1997年)。一方、カンボジアにおける貧困層と見なされる人々の大部分は農村部に居住している。このことから農林水産業の開発が国民経済に大きな影響を与えることがうかがえる。

 カンボジアの農業は、主要作物の作付け面積の約9割が米作であるという特徴を持っている。したがって、米作の生産状況が農民の生活に大きな影響を与えることになる。耕地面積はほぼ1960年代と比較し8割以上に回復しているものの、人口増加のため国民1人当たりの耕地面積は60年代の0.42~0.47ヘクタール/人から0.23ヘクタール/人(96年)と約半分となっている。米の生産量は95、96年には340万トンを超え、60年代末の水準近くまでに戻り、ほぼ自給レベルにあると推計されている。ただ、道路網の未整備等により生産地からの集荷等流通に問題があり、消費地での不足分を若干海外から輸入している。

 耕地面積の減少は、1970~75年にかけての内戦による耕地の放棄、75~78年にかけてのポルポト時代の強制的集団耕作に起因する農民の疲弊等が要因となっている。これらが今日のカンボジアの農村部の貧困の背景にある。破壊されたのは農業部門だけではない。行政、教育、医療・保健等国民経済のあらゆる生活・生産基盤が破壊しつくされた。

 過去の負の遺産により、国民の多くが満足な生活に事欠き、「全般的な貧困」にあえいでいるといえる。

(2)教育

 カンボジアでは中等教育を受けた30代の年齢層の割合は、その前後の年齢の人々と比較し格段に低くなっている。ポルポト政権時代、負の遺産の結果であり、今日、カンボジアの教育システムは、ゼロどころか、マイナスからの出発を余儀なくされている。

 カンボジアの教育の現状は次のように概観される。

  • 都市(実質的にはプノンペン)と農村とでは、成人識字率に著しい地域格差が存在しており、都市の識字率が80%前後であるのに対して、農村の識字率は60%前後にとどまっている。
  • 男性の識字率が80%近くであるのに対して、女性の識字率は50%台の半ばである。
  • 初等教育は義務教育であり、公式には授業料は無料である。現実には、さまざまな経済的コスト負担を強いられ、親に負担能力がない場合には、子供がドロップ・アウトする。
  • 学校の居住環境は劣悪で、安全な飲料水が完備していない学校は、初等教育8割、前期中等教育5割、後期中等教育3割である。また、トイレが設置されていない学校は、初等教育8割、前期中等教育4割、後期中等教育2割にのぼっている。

 カンボジアでは、軍事(および治安)に関係する支出が経常支出の半分以上を占めている。教育セクターに対する支出は、8~10%ときわめて低い。しかも現状では、支出の大部分は給与の充当に当てられており、教育環境の整備・拡充、教育資機材の購入のための資金は絶対的に欠乏している。それでも教師の給与は月額15~20ドルにすぎず、教師によるストが起きている。

 政府は、重要政策課題として(イ)初等学校や中等学校の教育施設の整備・拡充、(ロ)教師の訓練に関するマスター・プランの作成・実施、(ハ)国家予算の15%を教育セクターに確保し、その3分の2を基礎教育部門に配分、等をあげている。

 今後、教育システムの再構築を確実に遂行するためには、良い統治や主体性の確保等に象徴される政治システムの改革が不可欠である。

(3)保健・医療

 第1次社会経済開発計画は、貧困は低所得だけではなく、食糧供給と現金収入の不安定性、および教育施設や保健サービスや水の供給設備が貧弱であることなども含む、としている。貧困をより広義に「社会的・経済的な幸福」の欠如とみなしている。「社会的・経済的な幸福」のなかには、個々人が与えられた資質のもとで十分に自己実現ができるような健康の水準にあること、そしてそうした健康の水準を保てるような適切な保健医療サービスが利用可能な状況にあることが含まれる。

 主要な保健医療指標をみると、5歳未満死亡率は千人当たり181人、すなわちおよそ5人に1人が死亡している。妊産婦死亡率は新生児10万人当たり473人と高く、女性に対する保健医療サービスが低い状況を示している。安全な水を利用可能な人々は、農村部人口の26%、都市部人口の65%にすぎない。

 こうした状況を改善すべく、保健省は1994年から、「診療地区を単位とした保健医療システムを実施することを通じて、プライマリー・ヘルス・ケアを向上させ、普及させる」ため保健医療システムの改革に乗り出している。


4.カンボジアの貧困軽減へ向けた国際機関、主要援助国、NGOのアプローチ

(1)国際機関、主要援助国、NGOの開発援助

 1992年の「カンボジア復興閣僚会議」から国際社会のカンボジアに対する本格的支援が始まった。96年の第1回カンボジア支援国会合以降、マクロ経済の安定、農業・農村開発、長期的成長に向けた環境作り、森林資源管理、キャパシティ・ビルディング、財政管理面の透明性と責任の確保等が援助の主要課題となっている。

 カンボジアの経済復興、開発を支援する国際機関や主要援助国による援助(実績)は、1992~98年の間で総額27億5,000万米ドルに達している。国際機関による援助が30.9%、主要な二国間援助が62.5%、NGOによる援助が6.8%である。二国間援助では日本が22.6%と最も多く、フランス、米国がそれに次いでいる。

 援助分野(実績)は、地域・農村開発が14.2%と最も大きく、開発行政、運輸分野がいずれも12%台、経済運営と人道援助・救済がともに11%台、教育・人的資源開発と保健がそれぞれ9%余、8%余となっている。行政・経済活動の基盤修復・整備を重視し、それを通じて貧困軽減を可能にする、といった内容になっている。

 この援助実績のうち1994~96年実績について地域別内訳を見ると、全国対象とプノンペンが80%以上を占め、農村地域はわずか14.7%にすぎない。NGOによる援助(実績96~98年)は、農村地域へ63.2%もの援助を実施している。

 援助対象地域に差がでるのは、カンボジア政府の援助吸収能力および援助実施能力の低さ、制度・組織などの未整備に加え、農村部における道路、通信、医療事情等が劣悪なため援助に関係する外国人が農村部深くには入り難い、などの事情があると思われる。NGOは現地に密着し農村部でも活躍しやすいといえる。

 NGOは1980年代に西側諸国がカンボジア援助を停止していた時代から活動を行ってきたという長い歴史をもっている。現在、カンボジアでは総計296のNGOが活動している。その内訳は、国際NGO133、ローカルNGO159、その他4団体である。各NGOが展開しているプロジェクト数、および資金総額は、国際NGOが356件〔7,560万ドル〕、カンボジアNGOが150件〔644万ドル〕、その他が5件〔82万ドル〕である(98年)。

 1998年におけるNGOの活動をセクター別に概観すると、保健(38%)、地域・農村開発(23%)、社会開発(21%)、教育・職業訓練/人的資源開発(10%)、農業(5%)、機構改革(1%)となっている。

 NGOが、社会開発や貧困軽減、農村開発と天然資源の管理、教育等の分野において活動していること、草の根レベルでの活動(農村信用制度を含む)の実施に経験・ノウハウを保持していること、等をカンボジア政府も評価している。

(2)農業分野

 カンボジア政府は下記を農業・農村開発の重要政策としている。

  • (イ)農場とマーケット間の道路、灌漑と用水供給システムを含む農業インフラストラクチャーを改修する。地元参加と運転・維持コストの自立運営をはかる。
  • (ロ)高収穫種子、化学肥料と農機具の普及を通じて生産性向上と多毛作化をはかる。
  • (ハ)農村の構造改革と強化、試験研究、普及サービスの改善、ゴム・プランテーションの民営化を視野に入れた復興と合理化をはかる。
  • (ニ)健全で永続的な農業信用の提供を強化する。

 こうした重点施策に対し、国際機関、主要援助国やNGOも農業・農村支援を重視している。ADBは「農業政策改革支援」や「特別リハビリ支援プロジェクト(灌漑施設の復旧)」その他のローン提供や技術協力プロジェクトを実施している。

 UNDPは9件の援助プロジェクトを実施中であり、それらは農村金融から職業訓練、貧困削減など多岐にわたっている。プロジェクト名に貧困軽減と明記した案件はUNDPの「貧困削減・食糧安全保障戦略」1件のみである。しかし、地雷撤去にかかわるプロジェクト、農村金融プロジェクト、農業政策に関するプロジェクト等、貧困軽減と関わるものは多い。

 二国間援助については、実施中のプロジェクトの件数ではフランスとオーストラリアが多く、援助の内容も、農業教育や調査研究から地雷撤去、食糧援助、農村金融等に至るまで多様である。オーストラリアは国際稲研究所(IRRI)と共同して稲作研究支援のため、1987年からカンボジア-オーストラリア-IRRIプロジェクトを実施し、稲育種、土壌養分管理、病害虫管理、稲増産技術、農業機械など多面的な試験研究を実施している。こうしたなかで貧困対策を謳っているのはオーストラリアの「貧困撲滅計画」のみである(所得向上、食糧増産支援)。しかし、国際機関による援助で指摘したように貧困軽減と関わるものは多い。援助形態はすべて無償援助である。

 NGOの農業・農民援助プロジェクトは多彩であり、主なものは(イ)インフラストラクチャー建設(灌漑運河の改修・建設、道路改修、井戸・ため池造成、ヘルスセンターの建設、小学校建設)、(ロ)信用事業(米銀行、牛銀行、小規模金融資制度)等である。

 灌漑運河の改修・建設は、乾期の稲作が可能となるなど農民の受ける経済的利益は大きい。道路改修は、市場へのアクセスが改善され、商人に売り渡す農産物の庭先価格が上昇し、農民の所得は向上したとされている。井戸・ため池造成は、きれいな飲み水を得ることを可能にし、農民たちの病気が減少し、医療費の節約ばかりでなく、病気で仕事を休むことが少なくなり所得機会を失うことも少なくなる、などの効果をあげている。小学校建設によって子供たちの就学が増大し、知識水準も向上して将来の生活能力が高まることも期待されている。信用事業は対象が現物であれ、現金であれ、従来高利貸の高い利子によって苦しめられてきた農民たちに大きな利益をもたらすものである。

(3)教育分野

 教育・人的資源開発部門に対する援助は、対カンボジア援助総額の9.31%(92年~98年累計)を占めている。

 ADBは、基礎教育用の教科書作りの支援や、職業・技術訓練促進のための技術指導を行っている。UNDPは、UNESCOと協力して、計画省や教育・青少年・スポーツ省で教育行政に携わる公務員の基礎的行政管理能力の向上を目的とするプロジェクトを展開している。NGOの多くも、教育プロジェクトに携わっており、その活動は、識字教育、インフォーマル教育、成人学級、教科書配付、教材作成の指導・支援、絵本の作成、教師の派遣、教師の訓練、校舎の補修・建設、印刷技術の指導、幼稚園の開設、職業技術訓練、英語教育、フランス語教育、日本語教育、女性の意識改革、移動図書館等多岐にわたっている。

(4)保健医療分野

 外国援助の保健医療分野への援助は8.32%である(1992年~98年累計)。国際機関は積極的に保健医療関連プロジェクトに協力しており、99~2001年の3年間に予定されているプロジェクトのうち、資本投資プロジェクトの49.5%、技術援助プロジェクトの36.7%を支援することになっている。

 保健医療分野への積極的な関与の基礎となっているのは、「人々が生活水準を向上させ、意欲的な社会構成員になることを確かなものとするために、社会開発においては教育と保健医療を強調する」との認識である。UNDPも保健医療システムの構築と国民の保健水準の向上は、貧困軽減のための取り組みの一環として位置づけている。

 NGOが保健医療分野においては重要な役割を果たしている。カンボジアの保健医療分野に対する外国援助のうち、1997年は実に6割以上、98年でも3割以上がNGOによる援助である。98年に保健省をカウンターパートとして活動している国際NGOは79団体、ローカルNGOは33団体で、計112団体である。


5.日本の対カンボジア援助と貧困問題


 日本は第1位の援助国である。我が国はカンボジアを重視しており、カンボジアの復興と発展を支援している。援助重点分野としては(イ)経済インフラ、(ロ)保健・医療等の基礎的生活分野、(ハ)農業、(ニ)人材育成などを位置づけており、また、1996年に採択されたDACの新開発戦略(21世紀に向けて:開発協力を通じた貢献)を具体的に実施する対象国としている。

(1)農業・農村開発援助

 カンボジアに対する援助の重点分野の一つとして農業・農村開発が位置づけられている。ほぼ毎年度食糧増産援助として5~6億円が供与されているほかは、「バッタンバン農業技術センター修復計画」が治安悪化のため中断されており、現在進行中の無償資金協力による農業・農村開発プロジェクトは残念ながらない(1992年2月より「カンダール州メコン河沿岸灌漑施設改善計画」(詳細後述)が実施されている)。食糧増産援助も無償資金協力に占める割合は6.3%と小さい(92~97年)。今後、バッタンバン農業技術センターへの支援が再開されれば、優良稲種子の生産・配布が増大し、稲作を発展させることができ、農業・農村開発として有意義であると思われる。そして、帰還難民の農業支援、さらに農民の貧困軽減対策としても有効である。

 農業分野の効果的な協力例として「カンボジア難民再定住・農村開発プロジェクト(いわゆる「三角協力」)」がある。日本の専門家、青年海外協力隊員とASEANの専門家が共同でカンボジアにおける農村・農業開発に対して協力するものである。

 これは1991年のパリ和平協定締結後、タイ国境からの帰還難民等を農村に再定住させ、農業によって安定した生計を確立させようとするものである。コンポンスプー州、タケオ州で実施されており、第1フェーズでは農村基盤整備事業として、農道改修、貯水池整備、農村開発センター整備、圃場整備、公共施設(集会所、職業訓練、井戸)、教育施設(小学校等)等の整備がはかられた。その後、農村開発普及活動が中心となり、稲作・漁業、畑作・家畜、生計向上(洋裁、美容/理髪、手工芸等)・教育および公衆衛生(ヘルス・ワーカーのトレーニング、学校保健・衛生、栄養指導、安全な水の利用、病気予防、母子保健等)の4分野で協力している。緊急救済支援型の援助から広域なコミューン(10~15カ村からなる)を対象に、農民組織および資機材回転貸付制度等を支援するインテグレーテッド・プロジェクトに発展したといえる。この「三角協力」は、生産の増大、生活の改善を通じ貧困軽減に効果をあげている。生計向上プロジェクトでの職業訓練は、農外収入の機会を増加させる。さらに公衆衛生の改善や学校教育の整備といったプログラムによって農村社会の発展と農民生活の向上が実現されつつある。今後、カンボジア側のカウンターパートに行われた技術移転の成果が、彼らを通じてカンボジア各地に波及するような体制作りが望まれる。

 カンボジアの伝統的灌漑農法としてコルマタージュとよばれる灌漑方法がある。コルマタージュ灌漑はメコン川の定期的増水、水位の上昇を利用し、増水期の水を水門を通じて耕地に導入する伝統的な灌漑農法である。メコン川の中下流域に多数展開している。しかし、保守整備が行われず、灌漑効率が低下して農業生産の減退をきたしているところが多く見られる。貧困層の大部分が農村に居住している状況では、当面、農業生産の拡大が貧困軽減へまず必要な方策であり、荒れたコルマタージュ灌漑施設が修復されれば、カンボジアにとって極めて重要な米の生産をはじめ、各種の農作物の生産増大に多大の効果をもたらす。カンダール州でコルマタージュ灌漑の修復・整備を日本の無償援助で行う計画が最近検討されていて、農業の生産増大、貧困軽減に貢献すると期待される。

 カンボジアのように貧困が広範に存在する場合は、小規模の多数のプロジェクトによって、きめの細かい対応をはかることが重要である。この意味から草の根無償は有効な援助形式である。1991~98年度の間に110件に及ぶ協力が行われている。そのうち49件が文化・教育を対象とし、31件が医療・保健、15件が職業訓練関連である。貧困・福祉を直接対象とするものは比較的少ないが、教育、保健医療等は究極的には貧困軽減へも効果をもたらすものである。

 草の根無償資金協力は、農業・農村開発を重視しなければならない現在のカンボジアの課題に最も即しているように思える。カンボジアの農村地域は社会的・物理的インフラストラクチャーの整備が遅れていることなどが原因で、多くの外国人を動員しなければならない大型の援助案件を実施する舞台としてはまだなじまない。比較的少額の資金を活用して、知識と経験の豊富なNGOや地元の団体などがその利点を発揮しうる舞台である。貧困・福祉、農林水産、環境などの分野はまだ手薄だが、今後これら分野に草の根無償資金協力を提供するならば、貧困軽減という命題に応えつつ、緊急を要する農業・農村開発を大いにすすめることが可能になるであろう。

 貧困問題は、所得の向上のみならず、保健・医療、人材育成等広範な領域と関わり、かつ、地域的な広がりをもつ、包括的な課題である。こうした課題に対処するためには、地域における経験を持っているNGOとの連携が重要である。我が国はNGO活動を支援するためNGO事業補助金を支出している。こうした補助金を通じNGOの活動を継続的に支援していくことは重要である。

 さらに、新たに実施されている開発福祉支援事業もNGOと連携した援助方式として期待される。草の根レベルの福祉向上の支援を目的とするものであり、そのために地域住民のニーズをよく把捉している現地のNGO(現地で活動をしている日本および国際的なNGOも含む)とJICAが連携して事業を進めるものである。カンボジアでも2つのプログラムが実施されている。

(2)上水道分野

 安全な飲料水へのアクセスは、人間が生存を維持するために不可欠な基本的ニーズである。貧困軽減には、所得の向上とともに、人間の基本的ニーズを満たすための安全な水の確保、保健・医療の確保、教育を受ける権利等が優先課題として援助されなければならない。

 カンボジアで安全な水へのアクセスが確保されているのは、農村人口の26%、都市人口の65%にすぎない。プノンペン市の状況は、カンボジアの他の地域、とりわけ農村地域と比較して相対的に恵まれている。とはいえ、プノンペン市の上水道施設は老朽化し、改善が必要である。こうした状況に対し、世銀、フランス、日本等は浄水施設容量の回復、老朽化した管路の更新・漏水防止対策、運営維持管理能力の向上等に協力している。

 我が国はプノンペン市上水道整備計画を実施し、プンプレック浄水場の改修、人口密度が高い2つの地区に対する配水管網の整備を行っている。プロジェクトはプノンペン市の65万人、およびその周辺地区の人々に安全な水を供給し、生活の向上に貢献している。プノンペン市内2地区を対象とする配水管網の整備だけでも、2万7,000世帯、16万人の市民へ安全な飲料水の供給が可能になるとされる。

 また、プノンペン市水道局は貧困家庭へ、給水管敷設諸費用(本管から各家庭の水道メーターまで)の分割払いや、水道料金を安い設定の定額単価制度を適用するなど特別の配慮を行っている。プノンペン市の人々の生活の向上に大きく寄与しているといえる。

(3)保健医療分野

 我が国のカンボジアの保健医療分野に対する近年の援助案件に「母子保健センター建設計画」がある。これは、現在、日本がカンボジアに対して実施している唯一のプロジェクト方式技術協力である。プロジェクトの目的は、母子保健センターの管理運営能力の向上、母子保健センターの研修活動の強化、母子保健センターの診断、治療レベルの向上の3点である。母子保健センターはカンボジアの保健医療システムにおいては、産婦人科部門の頂点として位置づけられている。

 母子保健センターに対する技術協力の波及効果は非常に高い。妊娠・出産は他の特殊な疾病とは異なり、女性がそのライフサイクルにおいてほぼ必ず何回かは経なければならないプロセスであり、この意味において日常生活から切り離されたものではありえない。したがって、正常妊娠・分娩のための医療サービスは、できる限り生活圏において享受できることが望ましい。母子保健センターの機能を強化することは、各診療地区の産科サービスの向上につながり、ひいては地方の女性の「安全な母性」の確立に資するものと考えられる。

 草の根無償資金協力の保健医療分野に関する案件は、病棟の建設・修復のための供与がほとんどである。カンボジアの社会的インフラストラクチャーの現状に照らせば、病棟の新規建設ないしは既存施設の修復、および最低限の医療サービスを提供するための医療機材はなお必要が高いと思われる。こうした小規模インフラの整備は、草の根無償資金協力という制度が効果を上げやすいところでもあり、今後とも積極的な供与が望まれる。


6.貧困軽減に向けて

 国際機関、先進諸国は途上国の経済発展を援助してきたが、一部では途上国国内で富める者と貧しい者との経済格差を拡大させてしまった。こうした状況に対し、トリックル・ダウン仮説の妥当性に対する疑義が出された。

 そうした結果、雇用の増大、公正な所得分配、あるいはベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)の充足を開発戦略と援助政策の主要課題とすべきとされるようになった。そして持続可能な貧困克服対策として、第1に「貧困層が最も潤沢に有する資産である労働を生産的に利用すること」、第2に「貧困層に基礎的な社会サービスを提供すること」ことが提唱された。また、貧困とは個々人の基礎的ケイパビリティが欠如している状態との認識が広まり、「貧困」は所得水準だけでは十分に測定できない複合的な現象であるがゆえに、貧困対策も、分野を横断した多面的かつ包括的なアプローチが必要であるとされるようになった。

 経済成長がなければ、貧困問題は解決できない。しかし経済成長は貧困解消にとって一つの不可欠の前提条件ではあるが、十分条件ではない。途上国の貧困問題を解決するためには経済・社会インフラ開発プロジェクトと貧困層にターゲットを絞ったプロジェクトがバランスをとった形で、また相互に有機的にかかわりあう形で、実施される必要があることが認識されるようになった。

 カンボジアは労働力人口においても、GDPの構成比においても、農林漁業の比重が高い農業国である。しかし、農業の生産基盤は破壊され、農村部にカンボジアの貧困な人々のおよそ9割が居住している。

 こうしたカンボジアにおいては、貧困軽減のために、まず農業分野の生産基盤の復興、整備がはかられねばならない。ただ、生産基盤のみに焦点を当てただけでは貧困問題の解決は得られない。カンボジアの貧困軽減に向けた援助を行うにあたって次の点を考慮しなければならない。

 まず、第1は、政治的安定の確保、行政機構面の整備である。行政組織、行政制度、政策面の改革は重要であり、「良い政策と良い制度のもとでは援助は有効に機能する」との世界銀行報告の教訓をあらためて認識することが重要である。
 第2は、カンボジアに特有の「傷つきやすい」グループの存在である。カンボジアでは過去の不幸な時代のゆえに、貧困と深く関わっているグループとして、(イ)女性と子供のみからなる世帯、(ロ)地雷被害者(四肢切断者)を含む世帯、(ハ)プノンペンにおける貧困世帯と農村部における貧困世帯、(ニ)地雷埋設地域に居住する世帯という、社会的弱者が存在する。こうしたグループに対する「貧困プロジェクト」を開発計画の中に適切に位置づけることが必要である。ベーシック・ニーズの充足という形で、保健・医療、教育、水と衛生といった分野の整備がなされる必要がある。こうした分野の支援にはNGOとの連携が有効であり、草の根無償、NGO補助金、新しいスキームである開発福祉支援事業を活用すべきである。

 第3は、農業基盤の拡充にかかわるものである。農業生産基盤の修復、整備は早急に実施しなけらばならない課題である。これまで農業・農村には援助を必要とする多くの事項があるものの、現実には各種インフラストラクチャーの修復・整備が不十分なため、外国人が農村部深く入って農業・農村開発プロジェクトを展開することは容易ではなかった。

 カンボジアは中・長期的には、農業開発重視、とりわけ米作の発展、米の輸出能力の向上と、ゴムや木材など輸出可能な産物の安定的、かつ持続的発展を基礎とすべきである。と同時に、輸送に問題があっては集荷もおぼつかないため、道路網の整備も行われなければならない。

 今後の経済協力において以下を充実されることが望まれる。

(1)グランド・デザイン、ナショナル・プランの作成

  • (イ)インドシナ諸国をカバーする運輸・通信、利水・治水等の広域グランド・デザイン作成。
  • (ロ)カンボジア全土の医療・保健、教育・訓練、運輸・通信、利水・治水等のナショナル・プラン作成。

(2)本格的な農業・農村開発援助

  • (イ)灌漑施設の修復、整備と拡張。
  • (ロ)道路をはじめ運輸・通信施設の整備、拡張。
  • (ハ)教育・訓練、衛生、医療・保健施設の整備、増設。
  • (ニ)農業協同組合、農業共済制度等の組織化。

(3)草の根無償資金協力の強化

  • (イ)小規模灌漑水路、ため池の修復・掘削、井戸掘りを通じて農業生産基盤の整備と生活改善をすすめる。
  • (ロ)道路整備によりマーケットへのアクセスを改善する。
  • (ハ)米銀行など農村信用事業を振興し、貧困層に対する無利子融資、食糧補助・配給基金の創設を支援する。
  • (ニ)信用事業で小家畜、家禽類、肥料、優良種子、小型灌漑用ポンプ、役牛などの導入、普及をはかり、貧困層への無利子融資制度創設を支援する。
  • (ホ)小規模農産加工業の設立を支援して雇用創出に努め、貧困層対象の特別な雇用創出をはかる。
  • (ヘ)各種職業訓練を充実し、教育の普及・充実を支援する。
  • (ト)医療・保健・衛生事業を支援し、貧困層への無・低料金制医療の導入をはかる。

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