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第1章 評価調査の概要


1-1.国別評価の目的

 外務省による「国別評価」は、日本からの援助の主要受取国を対象に、日本からの援助が総体として当該国の経済開発及び民生向上にいかなる効果を上げているかを調査・分析することを目的に実施されている。


1-2.対象国の選定理由

 エルサルヴァドル共和国は21カ国目の国別評価対象国である。同国が選ばれた主な理由は、次のとおり。

  • (1)日本からの援助額が1997年度に中南米諸国の中で最高となったこと1
  • (2)日本がエルサルヴァドルにおいて、一位の米国と金額でほぼ肩を並べる第二位のドナー国であること2
  • (3)国別評価に限らず、これまで第三者による評価が行われていないこと。

1-3.調査方針

 評価調査における主な視点は以下の通りである。

  • (1)我が国のODAの実績を、歴史的経緯や、他のドナー国、特に米国との関係を含めて検証することとした。
  • (2)「国別援助方針」にあげられている次の四つの「援助の重点分野」を調査の重点分野とした。
    • (イ)生産部門活性化に資する分野(運輸・交通、農業生産基盤、エネルギー関連)
    • (ロ)社会開発分野(教育、保健・医療)
    • (ハ)環境(上下水道、廃棄物処理、水資源の有効利用)
    • (ニ) 民主化・経済安定化支援
       これらの分野の中でも特に、内戦終結後の民主化の促進に関するODAに注目した。他方、内戦やハリケーンの影響でアクセスの悪い地域及び治安の極端に悪い地域にある案件については、調査の対象から除外せざるを得なかった。
  • (3)聞き取り調査にあたっては、3月の大統領選挙の行方も考慮し、野党議員やマスコミ、聖職者、シンクタンク関係者等からも広く意見を聴取した。

1-4.調査団構成

団長
松下洋 神戸大学大学院国際協力研究科教授(総括、民主化)
団員
田中高 中部大学国際関係学部助教授(政治・経済、環境)
小池康弘 愛知県立大学外国語学部助教授(社会、保健・衛生・上下水道)
乾展之 外務省経済協力局評価室事務官(総括補佐)
長町昭 財団法人国際開発高等教育機構事業部調査役(農業、運輸・交通)
藤田伸子 同主任(教育)

1-5.現地調査日程

 現地調査は1999年2月7日から2月20日までの日程で行った。詳細日程は下記のとおりである。 

 また、調査結果をエルサルヴァドル側と共有し意見交換を行うための現地セミナーを、同年9月14日にサン・サルヴァドル市にて開催した。


1 供与先順位は、全被援助国中19位。(【『我が国の政府開発援助の実施状況(1997年度)に関する年次報告婦負性10年9月』による)
2 同国に対するODA総額は、支出純額で米国74百万ドル、日本70百万ドル。(1996年暦年、同上)



現地調査詳細日程

2月7日(日曜日) <乾、長町、藤田>
成田発
L.A.着
<松下、田中、小池>
名古屋発
L.A.着
2月8日(月曜日) <全員>
L.A.発 マイアミ着
マイアミ発 サン・サルヴァドル着
 
2月9日(火曜日) 大使館表敬、ブリーフィング
コンサルタント・通訳打合せ
国際協力担当外務次官表敬
JICA事務所訪問岩元大使公邸夕食会
 
2月10日(水曜日) <Aグループ>
外務省外資局(SETEFE)
「食糧増産援助」
BOLPROES視察
「サポティタン地区農村復旧計画」
<Bグループ>
厚生省
「看護教育強化計画」
FUNDACION BUEN CIUDADANO
「エルサルヴァドル選挙民主化I」
エルサルヴァドル市役所
「首都圏清掃機材整備計画」
エル・ディアリオ・デ・オイ新聞社
2月11日(木曜日) <Aグループ>
「道路整備計画」
「主要国道橋梁架け替え計画」
「東部主要国道橋梁架替計画」
「東部地域道路舗装用アスファルト・プラント設置計画」
<Bグループ>
「初等・中等学校建設計画」
2月12日(金曜日) <Aグループ>
FISDL(地域開発社会投資基金)
「飲料水供給計画」
<Bグループ>
WFP
SICA(中米経済統合機構事務局)
UNDP
IDB
2月13日(土曜日) 日本人専門家ヒアリング
協力隊員活動現場(国立工業高校)訪問・懇談
石井書記官ヒアリング
 
2月14日(日曜日) セミナー会場下見  
2月15日(月曜日) 国際協力担当外務次官ヒアリング
サルゲロ・グロス議員(ARENA)ヒアリング
カルデロン・ラム議員(PDC)ヒアリング
公共事業省訪問
FUSADES(エルサルヴァドル社会経済基金)訪問
 
2月16日(火曜日) サエンス大司教ヒアリング
教育省訪問
環境省訪問
厚生省訪問
 
  <Aグループ>
USAID訪問
<Bグループ>
GTZ訪問
2月17日(水曜日) 農牧省訪問
バジャラレスFMLN副大統領候補ヒアリング
大使館への報告
<小池>
サン・サルヴァドル発 L.A.着
2月18日(木曜日) <松下、乾、田中、長町、藤田>
サン・サルヴァドル発
L.A.着
L.A.発

成田着

2月19日(金曜日) L.A.発  
2月20日(土曜日) 成田着  


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