(1998年5月、ファルバ=ラシーヌ・サル(独立コンサルタント))
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1989年度、90年度 |
協力金額 | 8.56億円、8.25億円 |
相手国実施機関 | 保健衛生省 |
協力の内容 | 老朽化の進んでいるカオラック病院に対し、医療機器を供与することにより、医療サービスの質的向上を目指す。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
機器の納品はおおむね計画通り行われ、効率的に機器配置は行われたものと思われる。
2 目標達成度
各種医療活動の増加、加療期間の短縮、カオラックの住民へ確実に稗益していること等、同病院の医療サービスの質が確実に向上したことから、目標は達成できたといえる。
3 インパクト
本プロジェクトによる医療機器再整備により、国内のあらゆる地域からの、または、近隣国であるモーリタニアやマリからも患者を受け入れる医療施設に成長した。治療件数も恒常的に増加しており、広域をカバーする医療施設としての役割を果たしている。カオラックの住民は良質の医療と短縮された加療期間の恩恵を享受しており、加療期間の短縮は住民の経済的負担を軽減している。
具体的な各科におけるインパクトの例を挙げると、産婦人科では帝王切開、子宮外妊娠等の処置件数が年間約300~350件(1994年~96年実績)、眼科では94年には8,800件だった処置件数が97年には12,000件へ増加、外科では電気メス使用による感染危険性の低減および術後の入院期間の短縮等、が報告されている。
4 妥当性
大半の医師が日本より供与された機器類の使用に慣熟している。しかし、看護婦、医療補助員たちは一部の機器類の使用に困難を感じている。
5 自立発展性
現有の機器は一部使用できなくなったものを除き、全て使用されている。基本的に故障したものは、保守管理班の技術者か、外部の技術者が修理し使用しているが、交換部品が入手できないことが原因で修理できないものや、一部技術的に修理できないものもある。機械的故障は修理できるが、電子関係の故障は修理が困難なようである。
6 今後必要とされるフォローアップ
必要不可欠であって同病院が入手困難な交換部品の補充が必要である。
(1998年度にフォローアップ調査を行い、現在資機材購送手続き中)
7 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
使用者の技能レベルに適した、なおかつ、機器を使用した研修の可能性も考え合わせた機器供与が有効である。