(1997年12月、コウイチ・ウォン 国家資源開発省 国家計画官)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1984年度、85年度 |
協力金額 | 2.70億円、4.86億円 |
相手国実施機関 | 国家資源開発省公共事業局 |
協力の内容 | アイメリーク発電所と首都コロール・バベルダオブ島全州をつなぐ送電線の建設とそれに伴う発電所の設備を取り付けた。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
本協力により、アイライ発電所からマラカル発電所へ34.5キロメートル送電線を拡張しマラカル発電所とアイメリーク発電所が連携して機能するようになった。現在2つの発電所は、コロール・バベルダオブ地域に対し、配電網が網羅する限り電力を供給している。
2 目標達成度
本協力により、パラオ政府は、コロール、アイライ、アイメリーク、ガスパン州に安定した電力を供給するという目標を達成した。
3 インパクト
本協力により、観光業やビジネスの発展、パラオの一般的な福利向上を通じて、雇用、生産性、収入増に良いインパクトをもたらしていると推測される。
4 妥当性
日本が当時新設されたアイメリーク発電所から電気を引くために送電線を建設するための支援を決めたのは、非常に時宜を得たものであり、本協力がなければ、パラオの社会的・経済発展は大きな後退を余儀なくされていたであろう。
5 自立発展性
1994年に本プロジェクトは公共事業局の施設部発電課より公共施設会社へと移管されたが、現在の電話料金では、公共施設会社は運営費と必要な資本支出に対して補助金を受け続けなければならない。
6 環境への配慮・影響
本協力により、送電線でアイライ・コロール地区へ電力が安定して供給されたので、コロールの下水処理施設は滞りなく機能するようになった。
7 今後必要とされるフォローアップ
変電所の変圧器の日常的なメインテナンスの問題に関しては、施設の精密検査、技術者の訓練、メインテナンス作業スケジュールの確立などが望ましい。
8 将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項
本協力には当てはまらないが一般的事項としては以下が考えられる。(1)パラオの自然環境に耐える機材やシステムの採用、(2)技術者の訓練、(3)援助国が被援助国に対し、保守の職員が十分な資格を有すること、適切な運営と管理のための予算的措置を毎年講ずること、施設などが被援助国国民のために運営・管理されることを要求する了解覚書を作成すること、(4)環境に影響があればプロジェクトの工事は影響を最小限にする方法で進められること。