(1998年2月、マガリ・テサウロ ベネズエラ経企庁国際技術協力局二国間協力課日本担当官)
援助形態 | JICA開発調査 |
協力期間 | 1992年度、93年度 |
相手国実施機関 | 環境天然資源省オリノコ・アプレ川プロジェクト推進総局(PROA総局)国立水工研究所 |
協力の内容 | 洪水軽減・河道安定化対策のガイドライン作成、河川工学の技術移転を目的とし、基本計画の策定、河川観測機器の設置と観測、河川測量機器の供与と使用法の技術移転河川工学の技術移転を行う。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
本調査後の事業執行での効率性は、ベネズエラの各年度事業予算の不足、アプレ川の水運に対する振興政策の停滞、河川改修方法が技術的・資金的に難しいことから良くない。
2 目標達成度
本調査は河川安定対策(水運のための河川改修基本計画)と氾濫防御対策の2つの目的について河川改修計画を策定したものである。本調査後、河川安定対策については、PROA総局の予算が不十分で工事費がアプレ川沿いの集落・都市の洪水対策に使用されたので建設工事は2000年まで2ヵ所のみとかなり遅れている。氾濫防御対策については、本調査の計画の通り1999年度より建設を実施段階に移す予定である。
3 インパクト
本調査は、PROA総局のアプレ流域開発事業を一段と進めた。また水運事業の発展にあわせて川沿いの各州における産業開発が活発になってきている。
4 妥当性
本調査は、水運計画では河道の安定のために必要最小限の改修計画を示した。氾濫対策についても土堤防の設置というベネズエラの技術に合致した妥当なものであった。
5 自立発展性
PROA総局は今後とも継続され、各年度予算が手当されるので自立発展性については問題なく、プロジェクトの維持管理・運営は継続される。
6 環境への配慮・影響
PROA総局は河川開発にあたり建設開始以前に環境影響調査を必ず実施している。河川の形態と周囲の状況を改変させる工事はなく問題はない。流域の産業振興が進められるので就業機会の創出等間接的な影響はある。
7 今後必要とされるフォローアップ
アプレ川の改修は設計・施工において難しいので、河川改修施工手法等の技術協力的フォローアップが望ましい。(アプレ川改修計画調査に関連し、1999年6月現在オリノコ川河川総合改修計画調査を実施中。本件においては、アプレ川改修計画におけるC/P機関であった、環境天然資源省オリノコ・アプレプロジェクト推進総局をC/P機関とし、総合的河川改修に係るM/P及び優先プロジェクトのF/Sを実施する計画である(今年夏、インチリム・レポートを先方へ提出予定)。同案件の中で、より適切な河川改修工法が提案される予定であり、工法の選択等を通じ、C/Pに対する技術移転もより一層進むと思われる。
8 将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項
プロジェクト調査実施の際には、カウンターパートの機関だけでなく関係機関の技術者にも技術移転を図っておく必要がある。JICA調査の際には、対象国は監督するのではなく自ら参加する立場であることを明確にするべきである。