(1998年2月、在フィジー大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1987年度、88年度 |
協力金額 | 2.90億円、2.70億円 |
相手国実施機関 | 公共事業省 |
協力の内容 | 首都ヌクアロファ市西側の商業地区の海岸沿いに約2.7キロメートル(第1期)、東側の住宅地区の海岸沿いに約2.5キロメートル(第2期)にわたり、石積護岸の復旧、拡充を行った。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
本プロジェクトは1983年に西ドイツ(当時)が実施したヌクアロファ市中央部における護岸復旧プロジェクトを東西に拡大したものであり、その点で補完関係がある。
2 目標達成度
本件完成後は現在まで(1998年2月)、サイクロン襲来時や高波発生時にも、護岸を越えて波が押し寄せるといった事態は全く発生しておらず、首都ヌクアロファ市を高波等から防護するという当初目標は十分達成されている。
3 インパクト
ヌクアロファ市における高波等による被害の発生回避という効果の他、海岸地区での観光、商業開発を可能とするための条件整備効果は大きい。
4 妥当性
トンガにとっては、首都ヌクアロファ市のサイクロンに対する備えは、国家の優先課題の一つであり、本件実施による効果は極めて大きいと認められるのでプロジェクトの選定は適切である。また本件護岸は海岸の景観や住民や観光客の漁業、遊泳等の活動にも支障となっておらず、石積護岸の供与という形態にも問題はない。
5 自立発展性
本件護岸の維持管理には、経費はほとんど必要ないものと認められ、万一何らかの修復などが必要となった場合には、公共事業省が別途予算措置を講ずることとしている。
6 環境への配慮・影響
護岸の内側に緑地帯や遊歩道といった施設の設置を可能とした副次的効果があった。
7 将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項
本件は高度な資機材、技術等を必要とせず、無償案件としての規模も小さいものであるが、その効果は大きく、効率性は高い。特に太平洋地域各国における人口密集地、産業・開発予定地において、防災の観点から類似の計画を検討、実施することは極めて有効である。