(1998年3月、在メキシコ大使館)
援助形態 | 開発調査 |
協力年度 | 1989年度~92年度 |
相手国実施機関 | エネルギー鉱山国営企業省鉱物資源局(CRM) |
協力の内容 | 塊状硫化物鉱床(黒鉱)の状況を把握するため、地質調査、ボーリング調査、坑道調査、選鉱試験を行った。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
機材の搬入、専門家派遣、カウンターパートの対応等が適切に行われ、効果的な調査が実施できた。また、最終的に商業化につながる調査が1年延長したことは、有効であったと評価できる。
2 目標達成度
詳細なボーリング調査等の実施により、鉱床の連続性、鉱量を確認することが出来た結果、ティサバ地区については民間ベースの鉱山開発に必要なデータが得られるとともに、メキシコにおける黒鉱タイプの鉱床に関する知識レベルの向上が見られた。
3 インパクト
ティサバ地区の鉱山開発に成功し、国有鉱区の民間開放が促進された。黒鉱探鉱ブームを生み、第2の黒鉱鉱山であるレイ・デ・プラタ鉱山の開発に結びついた。
4 妥当性
メキシコ政府の進める開放経済政策の一環として、国有鉱区の民間開放を進める上で必要な詳細な鉱床データ調査について本件調査で協力したことはメキシコ政府の政策に100%合致するものとして計画の妥当性は高い。
5 自立発展性
調査地区のうちティサバ地区については、既に商業ベースの鉱山として操業中であり、自立発展性は極めて大きい。また第2の黒鉱鉱山であるレイ・デ・プラタ鉱山の開発に結びついたことも、自立発展性の高さを示している。
6 環境・ジェンダーへの配慮・影響
本件調査をきっかけに開発されたティサバ鉱山は、メキシコでは画期的な「環境に配慮した鉱山開発」として注目されており、環境への影響は少ない。
また、鉱山開発をきっかけに周辺村落初の病院が建設され、女性が安心して出産できる環境が整備された。
7 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
資源開発調査では、有望な鉱床を発見出来ず最終的には鉱山開発まで結びつかないことが多いが、対象国の予備調査等によりある程度鉱床の存在の可能性が高い地区を選ぶこと、当初のボーリング調査地点を多めに設定し、その後詳細調査地点を絞ること、期間延長を柔軟に行う等の臨機応変な対応をとることである。