(1998年1月、在ボリビア大使館)
援助形態 | プロジェクト方式技術協力 |
協力期間 | 1987年9月~94年9月 |
相手国実施機関 | ガブリエル・レネ・モレノ大学家畜繁殖改善センター |
協力の内容 | 人工受精技術の確立・普及を通じた牛の品種改良、飼養管理技術と診断予防技術の確立・普及を図り、畜産業の発展に資する目的で、専門家派遣(長期14名、短期23名)、資機材供与(約2.85億円相当)、研修員受人(40名)、人工受精士研修(約200名)、巡回指導調査団派遣(5回)等を行った。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
個別専門家の派遣により本プロジェクトの開始前からボリビアの畜産業の実態、技術的課題等が把握されていたので、カウンターパートの配置が遅滞なく行われていたならば円滑なプロジェクトの推進がされたものと想像される。また、プロジェクト実施中に無償資金協力(「家畜増殖改善計画」、1990年度、7.24億円)による施設整備が行われ、各専門家の技術的助言により極めて機能的な施設整備を行うことが出来たが、完了したのがプロジェクト完了間際であった。
2 目標達成度
プロジェクト開始時にはカウンターパートの配置が遅れ、当初計画通りの技術移転が進まず完了時(1992年9月)には各分野とも課題を残すこととなり、フォローアップを行わざるを得なくなったが、プロジェクト開始後3年9ヵ月後には予定以上のカウンターパートが配置されたこともあり、全ての分野において当初の目標を達成することが出来た。
3 インパクト
本プロジェクト終了後も、家畜繁殖改善センターは円滑に運営されており、徐々にではあるが成果が一般農家にも普及してきており、ボリビアの畜産業の発展に寄与している。
4 妥当性
当初は、カウンターパートの配置の遅れによる技術移転の遅れもあったが、カウンターパートのみへの技術移転だけでなく当初より生産者団体を核とした運営委員会が設置されていたことにより移転された技術の現場への普及は比較的円滑にすすめることができた。
5 自立発展性
技術面では、カウンターパートは、完了後も積極的な活動を行っており今後も同センターは畜産業の技術開発、普及の中心的な役割を担って行くと考えられる。施設機材面では、同センターの生産物売却利益の一部を施設機材のメインテナンスのために積み立てるシステムが確立していることから、最新の大型機材の新規講入は無理としても現状レベルは今後も維持できる。
6 環境・ジェンダーへの配慮・影響
効率的な畜産業の普及を図ることにより森林の荒廃、乱開発防止に寄与している。農家の所得向上、生活改善につながり間接的には農村部の女性の生活向上に寄与している。
7 今後必要とされるフォローアップ
家畜の改良は日進月歩の分野であり、本センターが今後ともボリビアの畜産業の中核センターとして活動するためには、専門家派遣、研修員受入による最新技術の紹介、移転が必要である。一部大型機材の補修等に関しては、今後フォローアップ事業の導入を検討する必要がある。
8 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
連携案件の場合は、無償資金協力実施のタイミングが極めて重要であることから、プロ技の事前調査段階でどのタイミングで無償案件を実施すべきなのか十分に検討する必要がある。