(1998年3月、在ブラジル大使館)
援助形態 | プロジェクト方式技術協力 |
協力期間 | 1980年10月~86年10月、90年5月~91年3月(アフターケア協力) |
相手国実施機関 | パラナ州尚工局パラナ技術研究所(TECPAR) |
協力の内容 | TECPARにおける日伯工業技術センター(CTI)を設立し、CTIに対する金属、機械、電気電子各分野における素材、部品、製品等に関する試験・分析・測定、民間企業への技術指導及び普及、技術研究開発、技術者育成の機能を付与する。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
ブラジル側経費負担による建物建設の遅れにより、協力期間の延長はあったが延長期間中におおむね計画通りの投入が行われた。ブラジル側においても、供与機材・研修員ともほぼ適切で効率的に運営されている。
2 目標達成度
依頼試験はCTI設立以降着実に増加しており、更にISO9001に基づくブラジル最初の公的試験機関としての承認、インキュベータの設置等を進めるなど、移転された技術の改善・向上を基盤として独自の発展を遂げており、目標は達成されている。
3 インパクト
依頼試験数の着実な伸びやCTIを中心とする工業団地への多数の工場立地よりパラナ州の工業の基礎作りに大きな影響を与えている。また、TECPARの新製品の開発や品質向上プロジェクトを通じ、ブラジルの工業部門での新産業創造、品質管理・生産性向上に大きな影響を与えている。
4 妥当性
本プロジェクトは中小企業の育成に対応した技術支援機関の整備というブラジル側の計画に合致したプロジェクトであったのみならず、その後の発展により中小企業の競争力向上という現在のブラジル側の政策にも合致している。ブラジル側の理由による計画の延期は止むを得ないものであったが、その後、先方の具体的なニーズに合わせて計画実施段階で柔軟で適切に対応している。
5 自立発展性
CTIは我が国からの移転技術を基礎として品質管理、生産性向上のための技術支援機関として独自に発展している。また、91年の組織変更により、TECPARの組織としての一体性が高まり効率化し、収入面も安定した独自財源を有している。供与機材は現在でもほぼ適切に管理され、CTI側としても必要な機材の購入に努めている。
6 環境・ジェンダーへの配慮・影響
化学分析で薬品を使用する場合は、浄化装置、排気装置等の必要な機材を設置している。TECPARは、女性の参加を奨励しており、CTI内でも女性技術者が活躍している。
7 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
採択以前から日・ブラジル間で綿密な連絡・協議が行われており、相手先のニーズや日本側の対応が可能である分野の摺り合わせが出来ていた。
また、協力先機関の協力後の自立的発展の観点から帰国後の研修員のその後のキャリアがどうなるのか、先方機関の財務状況についても考慮していくことが必要である。