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パラグアイ 中部パラグアイ森林造成


(1997年12月、在パラグアイ大使館)


〈プロジェクト概要〉
 援助形態  プロジェクト方式技術協力
 協力期間  1987年6月~94年12月
 相手国実施機関  農牧省林野局カピバリ林業センター
 協力の内容  パラグアイの森林資源の維持増大と国上の保全に資するため、砂質土壌地域における森林技術の改良を行うとともに技術普及に必要な人材を養成することを目的として、適合樹種の選定、育苗・造林・森林経営の技術の開発改良、人材の育成を行った。


〈評価要旨〉

1 効率性

 カピバリ林業センターでは、供与施設や機材の大部分は現在も有効に活用されている。また、本プロジェクトが「南部パラグアイ林業開発計画」及び「カピバリ地区森林造成計画」の成果を活用した上に、本プロジェクトの成果を現在実施中の「東部造林普及計画」で活用しており、林業分野の技術協力の提携を図ることにより援助の効率は相当高まった。

2 目標達成度

 1989年のクーデターに伴う林業政策の転換(産業造林重視から環境保全重視へ)により、協力期間の途中で協力内容の一部を見直し、郷土樹種による更新や天然林施業等の活動項目が新たに追加されたものの協力期間が2年半延長されたので、全分野について目標をほぼ達成できた。

3 インパクト

 パラグアイでは、森林が減少し続けているが、減少速度は近年鈍化する傾向にある。これは、1990年代に政府が伐採規制を強化する一方、民間の植林を積極的に推進してきた現れであり、その背景には本プロジェクトの適合樹種選定と造林技術が林野局等を通じて広く普及したことが影響している。

4 妥当性

 1980年代半ば、パラグアイでは国土の半分を占める砂質土壌地帯での植林の推進は緊急の課題となっていたので、本プロジェクトを実施したことは極めて妥当であった。なお、89年のクーデターに伴い林業政策が転換され協力内容の一部も見直されたが、プロジェクトの計画段階では予測不可能であり止むを得なかった。

5 自立発展性

 カピバリ林業センターでは苗木生産、造林等の活動が、規模は縮小しているもののプロジェクト終了後も引き続き実施されている。当時のカウンターパートも7名残っており、移転された技術の継承・活用が行われている。今後も必要な予算(特に事業費)と人員(特に大卒の技師)が確保されれば、自立発展は可能である。

6 環境への配慮・影響

 本プロジェクトの適合樹種選定、造林技術は近年の植林面積の増加に貢献している。

7 今後必要とされるフォローアップ

 プロジェクト開始より11年経過し試験林の大半は最終的な判定が可能なので専門家を派遣し成果のとりまとめの指導を行うことが適当である。また、供与機材の更新や部品の補給を現在実施中の「東部造林計画」の中で対応あるいはアフターケアで対応するかどうか検討する必要もある。

8 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 本プロジェクトは、クーデターによる林業政策の変更という計画段階では予測不可能な事態に遭遇したが協力期間の延長等柔軟に対応した結果、高い成果をあげることとなった。

 計画段階で対象国の状況を十分検討することが重要であることは言うまでもないが、不測の事態に対しては柔軟に対応してゆくことが必要である。


(写真)苗畑


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