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ドミニカ共和国 沿岸漁業開発計画


(1998年2月、在ドミニカ共和国大使館)


〈プロジェクト概要〉
 援助形態  無償資金協力
 協力年度  1992年度
 協力金額  3.88億円
 相手国実施機関  農務省
 協力の内容  ドミニカの沿岸漁業を開発し、漁業生産の拡大と水産物の国内自給率の改善、沿岸零細漁民の生活向上を目的として、正確な資源量把握と適切な漁具・漁法の開発並びに効果的な流通体制の確立のための漁業資機材を供与した。


〈評価要旨〉

1 効率性

 本プロジェクトの調査訓練船(19メートル)は、漁業資源調査と併せて漁労技術の向上・改善のための訓練を行うものであり初期の目的を果たしているが、零細漁民の訓練については、当地の実情にあった小型漁船の導入があれば、より一層成果が上がったであろう。

2 目標達成度

 訓練調査船を使用した試験操業を通じ、未利用資源の開発、新漁法の導入により、漁獲率は飛躍的に向上した。漁獲物の品質管理の向上により、消費者の信頼度も増し、販売・流通ルートが整備されてきている。

3 インパクト

 零細漁民の船1隻あたりの年間漁獲量は約0.67トンであったが、プロジェクト実施後約4.6トンに増大し、漁民の収入増加、生活向上をもたらした。

4 妥当性

 当国における水産業の低い位置づけと財政状況からみて、調査訓練船をはじめプロジェクト活動に関わる維持管理・運営費を先方政府が負担するのは難しい状況であった。計画当初から、当国の水産業及び財政事業を十分に勘案の上、調査訓練船の規模及び漁業訓練センターの運営方式につき現地の実情に配慮した計画を立案することが重要であった。

5 自立発展性

 当国政府のプロジェクトに対する予算面での支援は不十分であるが、センターの独立採算方式の導入及び人員の配置状況を勘案すると、今後自立発展してゆくことは可能である。

6 今後必要とされるフォローアップ

 センターで訓練を受けた漁民が習得した技術を最大限活用できるような体制・組織づくりを支援することにより、将来にわたってプロジェクトの効果が発揮され定着される。(なお、平成9年度には資機材購送(冷凍用コンプレッサー、電圧安定器、船舶用バッテリー、船舶用アンカー)を実施した。1999年7月まで専門家チームを派遣中である。)

7 将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項

 計画段階から、プロジェクト実施後に先方ローカルコスト負担が不十分であり活動が円滑に進まない場合を事前に想定し、その対応策を綿密に検討しておく必要がある。


(写真)サマナ漁業訓練開発センター


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