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ケニア 大ナクル水供給計画


(1997年10月、在ケニア大使館)


〈プロジェクト概要〉
 援助形態  有償資金協力(円借款)
 協力年度  1986年度
 協力金額  50.17億円
 相手国実施機関  ケニア水資源開発省
 協力の内容  ナイロビ北西部約110キロメートルにあるナイバジャ湖流域のマレワ水系タラシャ川を水源とする浄水場をギルギル市郊外に建設し、ナクル市を中心とする大ナクル地域東部地区の上水道を整備することにより、同地域(ナクル市及びギルギル市)の水不足を改善し生活水準の向上および経済発展を図る。


〈評価要旨〉

1 目標達成度

 本件の上水道整備に対応して、当初、想定していなかった下水処理施設も拡張されたことから、汚水が流出していたナクル湖の水質改善に役立っており、本プロジェクトは当初期待されていた以上の成果を達成したと評価しうる。

2 インパクト

 上水部分はプロジェクト完成後フル稼働しており、給水能力も大幅に向上したことから、本プロジェクトは稗益対象住民の生活水準の向上に大きく貢献したと評価できる。

3 妥当性

 人口増加等の要因でナクル市周辺地域は生活用水不足の問題に直面していたが、本プロジェクトの実施により地域住民などへの給水サービスが飛躍的に改善されたことから、本プロジェクトは当初の目標を十分に達成したと評価できる。

4 自立発展性

 上水道の維持管理・安全管理は、水量モニタリング、異常の有無の確認、約6時間ごとの水質(透明度・pH値等)のモニタリング、月ごとの沈殿度チェック・洗浄等を実施しており、満足な状況であるといえる。下水道の維持管理は処理施設のグリットの除去・洗浄、ラグーンについても雑草の除去等を毎日実施しており、特に問題のないものと思われる。

5 環境への配慮・影響

 上下水道工事実施の中で、ナクル市の既存下水処理施設のみでは本プロジェクト運転開始後の下水増加の対処が困難となることが判明し、世界的なフラミンゴの聖域であるナクル湖への汚水流入が懸念された。しかしながら、同下水処理施設の拡張を本件上水道後工事と同時に行ったことから、現在ナクル湖の水質汚濁やフラミンゴ生息数の減少等の問題は生じていない。

6 今後必要とされるフォローアップ

 本プロジェクトの上水部分は最大能力で稼働している状態であるが、現在のところ上水の供給不足に関する問題は生じていない模様である。しかし、ナクル市における人口増加割合は計画時と比べて早いペースで増加していることから、需要量の増加状況を今後も注意深く把握しつつ、適当なフォローアップの必要性が認められる。


(写真)ギルギル浄水場


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