(1998年2月、在モロッコ大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1993年度 |
協力金額 | 14.66億円 |
相手国実施機関 | アガディール海洋漁業高等技術学院(ISTPM) |
協力の内容 | 漁業訓練船の建造及び漁業関連機材の供与により、沖合漁業訓練の改善を図る。 |
〈評価要旨〉
1 目的達成度
本プロジェクトにより、国際基準に基づく技能訓練が可能になるなど、沖合漁業訓練の質的向上という目標は達成できた。
2 インパクト
国際基準(STCW)に基づく洋上実習漁業訓練を受けたISTPMの卒業生が沖合大型漁船船舶職員の有資格者として乗船就職している。計画実施当初は沖合大型漁船の船舶職員の資格を有するモロッコ人は半分に満たなかったが、本評価時点で全体の70%程度まで促進された。また、漁業訓練船の導入により、アフリカ諸国の留学実習生を受け入れることが容易となり、西アフリカ地域でのリーダー的な役割を果たすことができるようになった。
3 妥当性
本プロジェクトが実施される前は、1979年度無償資金協力により建造された訓練船が、洋上訓練船として使われてきたが、右訓練船では乗船定員不足等の問題があることから、1993年にISTPMに開設された沖合大型漁船の船舶職員養成コースに沿った実習生の乗船訓練を行うことが困難となってきた。このような状況を踏まえ本プロジェクトにより漁業訓練船が供与されることとなり、供与先のISTPMはそのカリキュラムに基づき洋上訓練を着実に行い、現在ではこれら沖合大型漁船の船舶職員有資格者を輩出するまでになっている。このように、供与先のニーズに合致して着実な成果を上げていることから考えても、本プロジェクトは妥当であったと考えられる。
4 自立発展性
評価時点では本プロジェクトにより供与された漁業訓練船は良好に運営・維持管理されており、特に問題点は見あたらなかった。同訓練所の運営・維持管理費用については、政府予算と洋上での漁獲実習訓練の際に獲れた漁獲物の水揚げ収入によって賄われている。
5 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
本プロジェクトについては、その利用が開始されて、未だ日が浅いが、現時点では特に問題もなく円滑に運営・維持管理され、それなりの成果をあげている。これは供与先であるISTPMに対して従来から日本の協力が行われてきており、本プロジェクトを実施するに際してISTPMの教育内容等の受け入れ体制・能力を十分把握していたことが理由として考えられる。