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シリア 食糧増産援助


(1998年3月、在シリア大使館)


〈プロジェクト概要〉
 援助形態  無償資金協力
 協力年度  1993年度
 協力金額  5.00億円
 相手国実施機関  農業農地改革省
 協力の内容  国家開発計画の最優先課題の一つである「高い人口増加率に見合った食糧増産体制の整備」を支援するため、同国北部の農業地帯であるラッカ県を対象としてトラクター等の農業機械を供与した。


〈評価要旨〉

1 効率性

 交換公文署名から資機材調達に至るまでの知識・経験が不足していたため、供与機材の配布・販売までに、当初計画よりも若干時間を要した。

2 目標達成度

 本件供与機材により効率的な農作業が可能になったことなどから、ラッカ県における農産物の収穫量は着実に増加しており、当初目的は達成された。

3 インパクト

 着実に増加している農産物の収穫量の内、小麦収穫量は1996、97年の2年間で、平均約10%程度増加した(ラッカ県農業局資料)。また、トラクター等を購入した農家では、小麦等の食糧作物以外にも、綿花等の栽培にも農機を活用しているなど、ラッカ県における農業生産物全般の増産にも貢献している。

4 妥当性

 農業の機械化は、持続的な農業開発、食糧増産体制の整備にとって必要不可欠な項目であり、また、ラッカ県は当国有数の穀倉地帯でもあることから、案件の選定はほぼ妥当であったと考えられる。但し、灌漑ポンプについては、一部の地域でポンプ出力の不足から、売却が進まない状況が生じたが、その後販売地域、価格の変更により、昨年度8月には全ての機材が売却された。

5 自立発展性

 供与されたトラクターは全てラッカ県の農家に対して売却された。その維持・管理は各農家によっておおむね適切に行われており、同県農業局は各農家の要請に応じ操作等に関する技術指導を行っている。スペアパーツはラッカ県農業局の倉庫に保管されており、必要に応じて各農家に売却されている。トラクターの修理等は、基本的に民間の修理工場にて行うことになっているが、問題が生じた場合には農業局に問い合わせ、必要に応じ農業局の指導者が出張指導を行っている。

5 環境への配慮・影響

 以前は人手に頼っていた収穫物等の運搬作業について、トラクターが担うことになったため、女性の負担が軽減したといえる。

6 今後必要とされるフォローアップ

 トラクター修理技術の指導およびスペアパーツの手頃な価格での調達等に対するシリア側からの希望があり、受注業者及びメーカーによるアフターケアが期待される。


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