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エジプト アラブ海運大学校新訓練船建造計画


(1998年3月、在エジプト大使館)


〈プロジェクト概要〉
 援助形態  無償資金協力
 協力年度  1990年度,91年度
 協力金額  28.33億円
 相手国実施機関  運輸・通信省、アラブ海運大学校(AMTA)
 協力の内容  既存船に替わり、STCW条約(船員の訓練、資格証明及び維持・管理の基準に関する国際条約)等の国際条約で要求されている船員の技術レベルに対応する教育・訓練を実施するのに十分な設備を整えた船員教育専用の訓練船を供与することにより、AMTAを名実ともに中近東・アフリカ地域における中核的な海事教育機関として機能させる。


〈評価要旨〉

1 効率性

 AMTAに対しては、1976年から6年間にわたり、海員訓練センター、航海学部、機関学部に対してプロジェクト方式技術協力を実施したほか、1985年から10年間にわたり第三国研修を実施した経緯があり、本プロジェクトがこれらと密接に関わりが深かったという点で、プロジェクトの効率性を一層高めた。

2 目的達成度

 訓練船供与後、アラブ・アフリカ諸国から3,000名を越える実習生が、国際条約で要求されている船員の技術レベルを満たしうる極めて質の高い乗船、訓練を受けており、プロジェクトの目標は十分に達成されているといえる。

3 インパクト

 供与した訓練船はエジプトを含むアラブ・アフリカ諸国を対象にした実習訓練に使用されており、人材育成のインパクトは広域的である。また、その教育の質の高さから、同校はIMO(国際海事機関)の模範校といわれるまでに成長している。さらに、日・エジプト協力の象徴としてアレキサンドリアのみならずエジプト国内においての浸透度、知名度は極めて高く、学内に沢山の親日家が育っている。

4 妥当性

 エジプトは、アラブ・アフリカ地域における有数の海運国であり、古くから周辺国へのリーダーシップを発揮した政策を実施している。また、訓練船供与後、優秀な船員が実際に育っており、日本が協力の重点分野としている人材育成という観点からも、計画は妥当であったと評価できる。

4 自立発展性

 訓練船の運行経費は自力で賄われているほか、船体、機関その他においてもよく整備されており問題は発生していない。

5 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 本プロジェクト実施の際に、既に「人」をベースとする強固な協力関係が「プロジェクト方式技術協力」によって形成されており、このことが本プロジェクトを円滑かつ効率的に進めることが出来た大きな理由であると考えられ、このようなモノとヒトを有機的に連携させたパッケージ的な協力は極めて有効である。


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